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日本一の「福の酒」

[小江戸板橋] 2017年8月28日 09:00

「日本酒を飲む女性のイメージは」

そうだな、和服が似合う女性。目元涼やかでね。

そして、仕事のできるキャリアウーマン。

億単位の数字なんかをさらりと使いこなす様な。

いずれも、きりっとした辛口の印象だ。

そんな人が仕事終わりには、絶対にカシスオレンジではなくて、

大吟醸を「もっきり」でやっている姿を目にすると、キュンとなってしまう。

独断だが、かつて日本酒は、仕事の憂さをはらす酔うための道具であった。

それが、今や日本酒はできる女性のアイテムに変化している。

確かに近年の日本酒は、格段に美味くなった。

飲み口の軽やかさ。芳醇な香り。

日本酒をたしなむ女性を、より華やかに演出してくれる。

女性が酒のトレンドを先取りしているとさえ言われる。

 

では、「どの日本酒がうまいのか」

これは、もう先に言ってしまおう。

今飲んでいるやつが一番だ。

百の酒あれば、百の美味さがある。

千の肴があれば、千の広がりになる。

十の人がいれば、十の生き様がある。

ひとりの時ですら、酒は美味くも、辛くも、苦くも感じられる。

 

うまい酒に出会うための道しるべとなるのが、「全国新酒鑑評会」の金賞だろう。

今年、都道府県別の金賞受賞数で、5年連続日本一になったのが福島県である。

日本酒は、良い米、良い水、良い風土に支えられ、蔵元と杜氏の精進によって生み出される。

必ずしもビッグネームが鑑評会に出品しているわけではない。

が、真摯に、頑なに酒造りに向き合ってきた地域だということは、間違いなく言えるだろう。

福島県の金賞受賞数は、22銘柄。

それを片っ端から飲むとしても、相当な労力が必要となる。

 

日本橋室町4-3-16にある、日本橋ふくしま館MIDETTE。

ここの日本酒のコーナーは充実している。

大きな保存庫を備えており、中で一本一本が大切に出番を待っている。

今週の飲み比べセットが、500円で提供されている。

ガラスの酒器に3銘柄が並ぶのだが、味の違いを楽しむにはもってこいである。

イートインの福島の食をつまみにするのも、面白い。

 

日本一のふくしまの酒『福の酒』として、福島県は県産の日本酒を取り扱っている、23区内の飲食店マップを公開している。

宣伝広告活動の下手な福島にしては、なかなかの快挙である。

ファーストクラスの機内酒として用いられたり、様々な国際会議時の酒として選定されたり、その実力は確固としたものになっている。

 

私は「福の酒」を痛感している。

初めて、妻の両親を訪ねたとき、

「挨拶はもういい。まず飲め。」

剣道教士の義父が酒を進めた。

私も体育会で生活し、「仕事ができるやつは、酒も飲める」という理不尽な職場風土で生きてきた。

なに、こんなおやじに負けるものかと気を込めて、居住まいを正し、杯を受けた。

人生の中で、最も飲んだときだった。

「おう」「いただきます」「どうぞ」「おう」というテンポで、

前のめりに、泳ぐように、のどに流し込んだ。

徳利が一升瓶に、猪口がグラスに変わっていった。

ヘビー級とフライ級のウェイトの差は、瓶を空けるごとにでてきた。

胃の中がひっくり返って、暴れ出した。

 

戦国末期、黒田家家臣の母里太兵衛は、福島正則との酒比べで、

名槍「日本号」を呑み取ったという。

私もまた、ぶざまな姿ではあったが、義父の「娘を頼む」という言葉とともに婚約が成った。

空になった数本の酒瓶にはいずれも、福島の会津のラベルが貼られていた。

あたたかい「おもてなし」だった。

私の「福の酒」になった。