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湊のテラス モザイク壁画の散歩道

[湊っ子ちゃん] 2019年1月10日 09:00

湊二丁目東地区は、いま生まれ変わろうとしています。
この地域は、東京駅から1.5kmという好立地にあり、かねてより良い環境に恵まれた町でした。しかし、昭和の終わり頃からバブル経済等の影響を受け、空閑地が散在するなど、防災・防犯上の課題が生じました。
平成7年より、まちの再生に向けた地域の取り組みがスタートし、当初の計画より20余年を経て、平成28年11月に湊公園が開園、平成29年11月に湊二丁目東地区市街地再開発事業建物工事が完了しました。
 
湊二丁目より隅田川を望む湊公園には、シメイヨシノやオオデマリ、ドウダンツツジ・ムクゲなど、四季折々の樹木があり、ゆるやかなスロープと芝生にベンチ、ユリカモメなどの水鳥も訪れる、憩いの場となっています。

そして、テラスの歩道には、全長約50メートルほどのモザイク壁画が設置されています。今回ご紹介するのは、こちらの壁画です。

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このモザイク壁画は、中央区立福祉センターの皆さんによる作品です。

歌川広重、葛飾北斎などの浮世絵より、江戸時代の湊界隈にゆかりのある風景や人物を中心に、ガラス片や陶器のかけらなどを使って描かれています。

図柄は15枚ほどあり、水のきらめきや泡粒を思わせる模様や、湊の氏神、鉄砲洲稲荷神社の大屋根を形作ったと思われる造形などが、散りばめられています。 それではゆっくり歩きながら、鑑賞してみましょう。
 

♪ 歩道美術館へようこそ!
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こちらの絵は、鉄砲洲稲荷神社ですね。創建は今から千年前の平安時代。土地の産土神であると共に、水の安全を守り、「江戸湊に鉄砲洲あり」と称されるほど、船乗りたちの信仰を集めました。
 
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こちらは、湊のお祭風景ですね。鉄砲洲稲荷神社の例大祭。鳳凰を掲げた大神輿を、氏子衆が担ぐ躍動感あふれる構図です。力強い歓声が聴こえてきそうですね。宮元大神輿は、町神輿としては最大級、品格・伝統ともに日本一と称されます。
 
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「冨嶽三十六景 武陽佃島」葛飾北斎 天保2年(1831)
富士を背景に、漁師町であった佃島を中心に据え、今まさに漁舟や荷舟が佃島に向かって漕ぎ出してゆく瞬間を捉えた作品です。葛飾北斎の代表作、「冨嶽(ふがく)三十六景」シリーズの一枚です。

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「江戸百景余興 鉄砲洲築地門跡」歌川広重 安政5年(1858)
鉄砲洲前の江戸湊から、築地本願寺の大屋根を描いた作品です。本堂の大屋根は、舟が江戸湊に入るときの目印でした。じつは、安政3年(1856)に、大風雨で本堂は倒壊しています。この絵は再建される2年前に描かれたもので、広重は実際にはない大屋根を、描き込んだのです。人々の、復興への願いを表現したのかもしれません。

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「江戸名所百景 市中繁栄七夕祭」歌川広重 安政4年(1857)
富士山と江戸城を背景に、江戸の町を彩る、七夕祭の情景を描いた作品です。町屋の屋根の上、高く掲げられた短冊竹がどこまでも続きます。 旧暦7月7日が近くなると、江戸では大勢の竹売りの姿が見られました。当日は、子供の有無や貧富の差なく、誰もが葉竹に短冊をつけ、星に願いました。紙で作られた算盤や、大福帳、ホウズキ、西瓜などもあります。じつに趣ある光景です。
 
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しゃぼん玉売り
夏になると、「玉ヤ~~~」と歌いながら売りにきたそうです。シャボン玉粉を水に浸し、細い管を吹いてシャボン玉を作りました。
 
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太神楽(だいかぐら)
江戸時代のなかでも、時代ごとに形はすこし変わったそうですが、笛・小太鼓・大太鼓・鈴などで賑やかに小唄や狂言を歌い、毎日江戸の町中を歩き回ったそうです。
 

この他にも、図柄はまだたくさんあります。"モザイク壁画の散歩道"は、隅田川のきらめきと、中央大橋の勇姿、対岸には佃島を望む、リバーサイドの空間です。
 
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また、公園内に設置されているソーラー照明灯は、停電時でも灯りを確保できる仕組みになっており、ベンチにおいては、災害時に座面をはずし、かまどとして使用できる造りになっています。

天気のよい日など、お散歩がてら鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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中央区観光協会特派員 湊っ子ちゃん
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第30号 平成31年1月7日