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心豊かに、健やかに。

[小江戸板橋] 2018年5月 8日 12:00

まるで五月人形のような、可憐さ。健気さ。

静御前と忠信が、扇をかざして舞を決めると、

すかさず、『ご両人!』

演じる子供役者も、気分が乗ってくるところです。

もう、かつらや衣装の重さなんて感じません。

振りやせりふの一つひとつを、一所懸命に稽古してきたのでしょう。

師匠や先輩たちからの、厳しい激励があったのでしょう。

所作の隅々に、そうした稽古の跡が表現されていました。

境内を埋め尽くした観客から、温かい拍手が止みませんでした。

時は、平成30年5月5日。

子供の日で、端午の節句。菖蒲の節句。

所は、中央区湊1丁目の鐵砲洲稲荷神社の神楽殿。

演じますのは、「新富座こども歌舞伎」の面々。

鐵砲洲稲荷神社御鎮座千百七十八年例大祭の奉納公演の演目は、

口上に始まり、「寿式三番叟」、「義経千本桜の吉野山」、「白波五人男の稲瀬川勢揃の場」の豪華三本立て。

平成という年号で行われる最後の公演は、五月晴れの下で行われました。

太陽を隠す一片の雲もなく、境内の大樹の葉がつくり出す日影が上席。

舞台は、花の盛りの鎌倉稲瀬川堤。

「志ら浪」の文字が入った番傘に、ど派手な模様の紫地の衣装。

「問われて名乗るもおこがましいが、・・・」

待ってました。連ねのせりふ。

勢揃いした五人の男が、次々に名乗りをあげます。

あなた、誰がお好みですか。

非道はしない悪の頭目、日本駄右衛門。

娘にも若殿にも化ける、変幻自在な弁天小僧菊之助。

利平、十三、力丸も頭級の悪者です。

あれっ。でも、捕手に囲まれて窮した時に、いちいち名乗りを上げるもんなのですかね。

名を惜しむ武士同士の戦では、名乗りを上げるのがたしなみ。

桃太郎侍だって、遠山の金さんだって、決め台詞があります。

そうそう、戦隊ヒーローも敵に対して、ごあいさつのポーズを決めてから攻撃していましたよね。

いつもかっこよく、決めて行きたいものです。

小さなころから芸能に親しむ機会があって、新富座こども歌舞伎の小学生たち、素敵だと思います。

本格的な指導をしていただける師匠がいらして、こんな整った神楽殿でお披露目ができるなんて。

多くの観客の前で演じる楽しさを知ってしまった子供たち、将来の活躍が楽しみです。

 

 
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