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聖地が形つくられる予感がします。

[小江戸板橋] 2018年6月23日 09:00

銀座5丁目5-11。

みゆき通りから北に入った路地にその集団はいました。

明治から昭和の古風な衣装を身に着け、スマホやデジカメにポーズをとって雰囲気を創り出します。

どこで手に入れた品物なのでしょうか。

古着屋からの掘り出し物。

それとも、おじいちゃん・おばあちゃんが愛用していた、若かりし頃の輝ける衣装でしょうか。

セピア色の写真から抜け出して来たようです。

カフェの女給さんかな。いや、与謝野晶子風、樋口一葉風、泉鏡花風。

ブラウン系のマントを来ているのは、太宰治なのでしょう。

ご本人はそのつもりなのでしょうが、どうも判別不明な人物もいます。

彼らを引き寄せているスポットが、文人が足しげく通った老舗バー「ルパン」なのです。

路地を覗くと、シルクハットに片眼鏡をかけたアルセーヌ・ルパンの看板が存在を主張しています。

太宰が写真家林忠彦氏に撮らせた、バーカウンターの椅子で足を組む写真。

太宰の代表的な写真を生み出す、二人の出会いの場でもありました。

コスプレ集団は、太宰の足跡を求めて、路地に引き寄せられていたのです。

 

どうやら、若いコスプレイヤーを活性化させたのは、「文豪ストレイドッグス」という漫画です。

文豪をキャラクター化し、作品名を冠した異能力で戦うバトルアクション。

太宰が駆使する異能力は「人間失格」。

直接触れると、あらゆる異能力を無効にしてしまう能力です。

現実でも「人間失格」には、読み手の頭の中をかき乱す特殊効果が込められていますよね。

他の文豪も、彼らの作品にちなんだ異能力を繰り出すのです。

入学試験に近代文学史的な出題があるのならば、この漫画でアウトラインを押さえられそう。

 

数年前に冬の津軽を旅しました。

斜陽館の近くにある津軽三味線会館の展示コーナーの隅に、黒マントと角巻を見つけました。

見ただけという手はありません。

さっそく、着用。

しばれる寒さが、太宰っぽさを醸し出してくれました。

 

6月19日は「桜桃忌」。

70年になるのですね。

映画や漫画のヒットともあいまって、三鷹の禅林寺には、海外からのファンも訪れるとの事。

それから、言っておきますが、私、太宰の作品は、好きではありません。

 

 
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