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中央区観光協会実施の「中央区観光検定」に合格し、特派員登録をした観光ボランティアメンバーによる中央区の“旬な”情報をご紹介。

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キャプテンクックとオーストラリアワイン

[之乎者也] 2016年1月10日 14:00

正月休み明けに用事があって区役所へ行くと、1階ロビーの右側に「中央区観光写真コンクール」入賞作品の展示がされています。こちらについては既に特派員の隅田の花火さんからもご紹介/archive/2016/01/post-3012.html)されているとおり大変素晴しい作品が多かったのですが、その展示の裏側に中央区の姉妹都市サザランドについての常設展示があります。Sutherland1.jpg【中央区役所1Fロビーに常設展示されているサザンランドとの姉妹都市協定関係資料】

 

サザランド(Sutherland Shire)といってもピンと来ないかもしれません。こちらはオーストラリアの自治体です。オーストラリアと言われて先ず思い浮かぶのが、シドニー、メルボルン、ブリスベーンなどの大都市か、ケアンズ、ゴールドコーストなどのリゾート地かと思いますが、サザランドは、(大)シドニー市を構成する38区(自治権を持った特別区)のうちの一つで、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)にあります。1991年より中央区との間で交流が進められて来ました。

 

*注:Shireは英国のBoroughとほぼ同じ概念で、大都市を構成する自治区(local government area)の意味。中央区ではSutherland Shireの訳語として市を使っていますが、我らが中央区も特別区(自治区=英語ではChuo City)ですので、ここでは「(大シドニー市の)サザランド区」と呼ぶことにします)。

 

サザランド区は、シドニー中心部(CBD)から南に35キロ、シドニー・キングスフォード・スミス国際空港飛行機とボタニー湾をはさんだ反対側にあります。1770年に英国の海軍士官ジェームス・クックが世界一周航海の途上、豪州東海岸に到達した際に上陸した豪州発祥の地として知られます。区の名称はクック探検隊のスコットランド人船員で、この地に滞在中に結核で亡くなったサザランド(Forbes Sutherland)氏から取られています。Sutherland7.jpg

 私も時々仕事や個人旅行でオーストラリアに行くこともあるのですが、残念ながら未だサザランド区までは足を伸ばしたことはありませんので、どのような場所なのかは全く想像もつきませんが、写真を見る限りは自然が多く、また都心(シドニーCBD)からもさほど遠くない、暮らすにもうらやましい環境の場所のようです。

以前はオーストラリアは欧州やアメリカと比べて日本からの航空便飛行機も多くなくあまり行きやすい国ではありませんでしたが、LCCのジェットスターの成田便(ゴールドコースト、ケアンズ)はすっかり定着しましたし、昨年12月11日からはANAも羽田⇔シドニー直行便を飛ばしています。Sutherland9.jpg

【メルボルン空港に駐機中のJetstar航空

 

そんなことを考えているうちにオーストラリアワインが恋しくなりました。Sutherland8.jpg中央区にはオーストラリアワインを出す店もたくさんありますが、今日は中央区観光協会の近くの「ワイン屋 銀座1丁目店」に行ってみます。店の入り口には豪州の国旗があるのですぐに判ります。

お店に入ると、スペースも広く天井も高い店内は新年会のお客さんでいっぱいです。壁にはワインの瓶を飾ったオブジェやオーストラリア・ニュージーランドのワイナリーの説明などがあって気分を盛り上げます。Sutherland2.jpg

また、大画面のテレビでは昨年10月の日本VSサモアのラグビーW杯のビデオが流されており、まるでメルボルンのバーにいる気分です。Sutherland3.jpgフロアスタッフの広中さんのおすすめで、南オーストラリア州の赤ワイン「レシキ・ヴィトラス(Reschke Vitulus Cabernet Sauvignon)」と「マッシュルームのアヒージョ」を頂くことにしました。Sutherland4.jpgこのお店では豪州ワインはもちろんですが、つまみもチーズ、オリーブなどのワインのつまみ定番はもちろんのこと、今回頂いたマッシュルームのアヒージョ(以下、写真)やシーフードも含め美味でワインに合う味が揃っていますし、更には広中さんを始めとして、店員の皆さんも南半球的にフレンドリー、非常に気持ちの良いお店ですSutherland5.jpg

もうすぐオーストラリアの建国記念日のオーストラリアデイ(1月26日)です。銀座で食事をした後、ちょっと飲み足りないときなど、一度寄ってみたらいかがでしょうか!Sutherland6.jpg

 

【中央区役所内「姉妹都市・サザランド」常設展示】

所在地:〒104-8404 中央区築地1‐1‐1(中央区役所本館1階ロビー)

観覧時間:8:30~17:00(区役所執務時間内)

交通:江戸バス、地下鉄有楽町線・新富町駅、日比谷線築地駅、CCC(コミュニティサイクル)C01 中央区役所ポート

 

【ワイン屋 銀座1丁目店】

所在地:〒104-0061 中央区銀座1-27-10 ザアソシエイトビル 1F

電話:03‐3535‐6567

営業時間:18:00~25:00(土日祝は17:00~24:00)

 

 

アリババの洞窟@中央区

[之乎者也] 2016年1月 8日 12:00

年末年始のホリデーシーズン。最近の日本ブームもあり海外から友人が訪ねてくることも多いです。以前は銀座と浅草寺そして夕食は「和食」と相場は決まっていたのですが、最近は築地や伝統建築とかリクエストも多彩になってきています。先日もフランスの友人と銀座で夕食をしていると、突然「百円ショップ」に行きたいとリクエストが出ました。

「はて、このあたりに百円ショップあったかなぁ?」。

~~銀座のアップルストアや八重洲のヤマダ電機、銀座八丁目のドン・キホーテなど、外人に人気のありそうな店についてはそれなりに押さえていたつもりでしたがちょっと盲点でした。~~

「百円ショップって、ベッドタウンのある埼玉とか千葉とか郊外にあることが多いんで中央区には無いかも?」というとちょっと悲しそうな顔をします(ごめんね!)。

既に夕刻で時間にあまり余裕が無いのと、電車も混んでいるので、この時間からあまり遠くには行きたくないのです。めげずにケータイで調べているとなんと晴海にありました(区内の大きな百円ショップはここだけでした)早速、晴海通り沿いのバス停から「都05」に乗ってトリトンに向かいます。わずか10分で到着します。Daiso3.jpg

【晴海トリトンスクエア】

 

都心の百円ショップですが結構広く、品ぞろえも豊富です。友人もうれしそうな顔で「La caverne d'ali baba(アリババの洞窟)」と歌うように呟きながら、どんどん品物を買い物籠に放り込んでいきます。NHKラジオ講座でフランス人の講師が、百円ショップが「アリババの洞窟」としてフランスからの訪日観光客に人気だという話をしていたのを思い出します。Daiso1.jpg

【ダイソー晴海トリトン店】

 

閉店ぎりぎりまで1時間くらい居たでしょうか。満足そうな顔をして両手に大きな袋を下げて出てきます。

「せっかく安く買ったのにタクシー乗ったら割に合わないんじゃない?」と冷やかすと、

「いやいや、こんなに素晴らしい店フランスには無いよ!わざわざ飛行機飛行機で来ても良いくらいだよ。」

。。。飛行機飛行機というのはちょっとオーバーですが、なかなかヨーロッパには無い、豊富な品を安く買えるお店ということが魅力なようでした。訪日観光もどんどん姿を変えていくようです。Daiso2.jpg【晴海トリトンスクエア・グランドロビー内の大凧】

 

【ダイソー 晴海トリトン店】

所在地:〒104-0053 中央区晴海1-8-16 トリトンスクエア 2階

電話:03-6221-3048

営業時間:10:00~21:00

交通:

<晴海トリトンスクエア前/晴海三丁目バス停から>

‐ 都バス:都03(銀座4丁目経由四谷駅行)、都05(銀座4丁目経由東京駅丸の内南口行)、東15(新川、八丁堀経由東京駅八重洲口行)

- 晴海ライナー:有楽町、東京駅八重洲北口、日本橋高島屋方面。

‐ 江戸バス南循環:勝どき駅、中央区役所方面。

<コミュニティサイクル(CCC)>:桜の散歩道(D03)ポートそば。

 

 

すずらん通り小咄三題

[之乎者也] 2016年1月 5日 16:00

今日は、お題として「すずらん通り」を取り上げたいと思います。以前ある記事を書いたとき、この通り(「銀座すずらん通り」)について間違えてお伝えをしてしまいました(既にその箇所は修正済です)。中央区の観光情報を正しくお伝えする特派員として今後間違えないように、今回はこの通りについて更に深く掘り下げてみたいと思います

Majalis1.jpg

銀座すずらん通りといえば、中央通りの一本西側の銀座5丁目から7丁目までのタテの通りです。メジャーな中央通りに比べ、人通りもあまり多くは無い通りですが、晴海通り沿いには「SUZURAN ST」と大きく書かれたゲートがあり、存在感があります。Majalis8.jpg

 さらには12月30日付記事「MMM~銀座にヨーロッパの風を感じて(/archive/2015/12/mmm.html)」でもご紹介の通り、素敵なお店が立ち並ぶ通りでもあります。Majalis2.jpg【銀座すずらん通りの銀座木の実ビル】⇒何だこれは。。。ゴリラが壁を登ってる!

 

さて、そんな銀座すずらん通りですが、実は同じ銀座の中でも場所(南北)によって道の名前が変わります。晴海通りをはさんだ4丁目から北は「銀座ガス灯通り」、そして8丁目は「金春(こんぱる)通り」となりますMajalis11.jpg【ガス灯通りにある復元ガス灯】 

 

Majalis10.jpg【金春通り】

 

1本の通りに3つも名前があって「ぶり はまち、元はいなだの出世魚」ではないですが「(スズ)ラン (金春)芸者、いちに(1、2丁目)はあかり(=ガス灯)出世みち(=通))」などと下手な川柳ができそうです。しかし、銀座には実は他にも「出世通り」(あずま⇒信楽、レンガ⇒西五番⇒見番)があって、お店などの紹介の際には気を付けたいところです!Majalis12.jpg【銀座地域通り地図(中央区道路課作成地図を改変)】⇒①あずま⇒信楽(黄)、②ガス灯⇒すずらん⇒金春(赤)、③レンガ⇒西五番⇒見番(青)

 

さて、一件落着と思いきや「すずらん通り」には、更にもう一つお題がありました。12月29日付記事の「二つのMIYUKI DORI(/archive/2015/12/post-2960.html)」では区内にある2つの御幸通りを紹介しましたが「SUZURAN DORI」はなんとつもありました。ーーー銀座の他に八丁堀の「鈴らん通り」、そして薬研堀(東日本橋)の「すずらん通り」です。Majalis7.jpg

【八丁堀の鈴らん通り】

 

銀座すずらん通りも、素敵な通りですが「(八丁堀)鈴らん通り」も、戦前は映画館、寄席、ダンスホールなどが立ち並んで「下町の銀座」とも云われたそうです。更には江戸時代に遡ればそこはかっこいい八丁堀の旦那(与力、同心)の住む粋なエリアでした。こちらには「八丁堀与力・同心組屋敷跡」の教育委員会による説明板があり、現在も8月18日付ブログで紹介した「コピティアム 新加坡小餐館(/archive/2015/08/kopi-tiam-in.html)」など魅力的なお店が多く立ち並ぶエリアです。Majalis5.jpg【薬研堀のすずらん通り】

そして「(薬研堀)すずらん通り」ですが、こちらは銀座や八丁堀と比べるとちょっと静かな通りですが、享保2年(1717年)創業というお茶屋さん「ほりつ茶舗」があるほか、「金鳥(キンチョ―)」のマークで知られる大日本除虫菊の東京支店があり、こちらの赤いマークもかなりインパクトがありますが、なんといってもこの通りの名物は、通りの中央、大川の向こうに聳える見事なスカイツリーの風景でしょう。Majalis9.jpg

【薬研堀 すずらん通り】

 

 「すずらん通り」は、その名の親しみやすさや清らかなイメージのためか非常に人気もあり、全国に同名さんはかなりの数がありそうです。その元祖は神田のすずらん通りのようですが、今では神田を中心に8つのすずらん通り(赤羽、阿佐ヶ谷、荻窪、経堂、銀座、立川、成増)が集まる「東京すずらん通りサミット」まで結成されているとか。

 

追記:ガス灯通りはこれまでの説明だけでもすでにややこしいのですが、更には、2丁目部分は以前は「観世(かんぜ)通り」と云ったそうです。江戸時代、ここに観世屋敷(猿楽(能楽)の家元観世太夫のお屋敷)があったことが名前の由来だったようですが、このあたりは8丁目の金春通りと同様な歴史的な経緯のようです。平成16年に地元からの改名申請もあり、1丁目から4丁目まで一緒に銀座ガス灯通りと改名された(中央区役所道路課工務係)そうです。Majalis13.jpg【区内3つの鈴らん通り(中央区道路課作成地図を改変)】

 

 

【銀座すずらん通り】

所在地:〒104-0061 中央区銀座5-6から7-8まで

【銀座ガス灯通り】

所在地:〒104-0061 中央区銀座1-7から4-4まで

【金春通り】

所在地:〒104-0061 中央区銀座8-7から8-8まで

【銀座 木の実ビル(ゴリラの壁登り)】

所在地:〒104-0061 中央区銀座6丁目8−6

【鈴らん通り】

所在地:〒104-0032 中央区八丁堀1-8から3-18まで

交通:地下鉄日比谷線・JR京葉線八丁堀駅下車

【八丁堀与力・同心組屋敷跡】

所在地:〒104-0032 中央区八丁堀3-17-9(京華スクエア目の前)

交通:地下鉄日比谷線・JR京葉線八丁堀駅下車30秒

【すずらん通り】

所在地:〒103‐0004 中央区東日本橋2‐4から2‐19まで

交通:地下鉄都営浅草線東日本橋駅下車

 

 

江戸時代の新年会~芝蘭堂とおらんだ正月~

[之乎者也] 2016年1月 4日 18:00

お正月です。友人からも謹賀新年のメールとともに新年会のお誘いが入って来ます。今回は季節の話題でもある江戸時代の「新年会」~「おらんだ正月」~についてお話したいと思います。

 

年末に岩手県から友人が上京して、銀座で一緒に飲んでいると「もうすぐお正月だね。正月といえば『新年会』だけど、一関(いちのせき:岩手県)出身で江戸時代に活躍した蘭学者の大槻玄沢(げんたく)って歴史の授業で習ったと思うけど、彼も新年会が大好きで、毎年必ずやっていたって知ってた?それもこの銀座で。。。」と江戸時代の新年会が話題になりました。Otsuki2.jpg

【大槻 玄沢像(小田 海僊(かいせん)画、重要文化財。出所:早稲田大学図書館)】

 

大槻玄沢(1757年~1827年)は一関藩出身、「ターヘル・アナトミア(解体新書)」を翻訳・出版(1774年)した杉田玄白と前野良沢に蘭学を師事し、二人から一字ずつ貰って玄沢と名乗っています。

両師匠が解体新書の翻訳、そして弟子の稲村三伯、宇田川玄随、岡田甫説が日本初の蘭和辞典である「ハルマ和解(わげ)」を完成(1796年)という偉業をそれぞれ成し遂げたものの、玄沢本人はむしろ後進教育やプロデューサー的な役割に熱心(世話焼きタイプ?)だったためか、蘭学(蘭学概論、オランダ語文法)入門書の「蘭学階(=楷)梯(かいてい:1788年創刊)」を著し弟子を教育する場所として京橋に「芝蘭堂(しらんどう)」を開いた(1789年)ことが実績として知られています。Otsuki3.jpg

【蘭学階梯(出所:京都外国語大学附属図書館)】

 

玄沢の門下には最盛期には100名の門下生がいましたが、蘭学者の集まりでもあり談論活発。玄沢の性格や蘭学塾の雰囲気、またオランダ商館長一行の江戸出府の際、長崎屋で対談したのをきっかけに、玄沢は1794年11月11日(旧暦)に芝蘭堂で「新元会(新しい元日を祝う会)開きます。蘭学者同士の親睦を深めて情報交換を行う場、今風に言えば西洋学会の新年会のようなものを企画、玄沢が自ら幹事役も買って出たというところでしょうか。Otsuki1.jpg【芝蘭堂新元会図(部分)(市川 岳山(がくざん)画、重要文化財。出所:早稲田大学図書館)】⇒岳山も玄沢の弟子のひとりであるので、おそらくこの新元会にも参加して楽しんだ一人ではなかったかと思われます。

 

11月11日(旧暦)がオランダ暦(すなわち現在の我々が使っている新暦)の1月1日にあたるということで、オランダの正月をお祝いするという宴会を開いたのでした。普段は難しい勉強ばかりしている蘭学者の集まりだったのかと思いますが、結構楽しそうな雰囲気です。玄沢は自宅を芝蘭堂として使っていたので、引越しの度に移転(京橋、本材木町、三十間堀町、南紺屋町、木挽町、築地小田原町など中央区内が多い)を繰り返していますが、最初の「おらんだ正月」は、京橋水谷町(現在の銀座1丁目の水谷橋公園あたり)で行われたようです。Otsuki4.jpg当時は、鎖国時代とはいえ、長崎出島を通じたオランダとの交易は許されており、特にこの時期、8代徳川吉宗の享保の改革の結果、実学奨励の方針が取られ、1720年以降漢訳洋書の輸入も一部解禁され、蘭学研究が盛んになった時期であったという背景もあったようです。この催しは好評だったようで、その後も毎年行われ玄沢の死後も長男の磐里(玄幹)に引継がれ44年間続いたようです。

 

【芝蘭堂跡(推定)】

所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座1丁目12-6(水谷橋公園)

 

 

平成の蔵屋敷 in 中央区~その3~

[之乎者也] 2016年1月 3日 14:00

前回の「平成の蔵屋敷 in 中央区」(/archive/2015/08/-in-5.html)では、中央区にある地方銀行についてご紹介しました。3回目となる今回はそれから5か月ぶりとなりますが、今回は中央区に進出している外資系金融機関としてHSBCグループ/香港上海銀行を取り上げたいと思います。

 

東京駅前から八重洲通りを真っ直ぐ歩き、昭和通りと交わるところに、16年4月に地銀最大手の横浜銀行と経営統合することが決まっている第二地銀、東日本銀行の本店があります。その昭和通り沿いの北隣には、ガラス張りのビルが屹立しており、上部に赤地の6角形(Hexagon)に白抜きの蝶ネクタイのような形を合わせたマークの隣に、大きくHSBCの4文字が描かれています。こちらは、その香港の本部と似たガラス張りのデザイン、そしてマークからわかるようにHSBCグループ/香港上海銀行の東京拠点です。HSBC1.jpg

【HSBC東京支店ビル】⇒八重洲通りと昭和通りの交差点の近くにあります。


HSBCといえば、香港をはじめとするアジア地域、ロンドンやパリなど欧州では街中で普通に見かける銀行ですが、日本ではあまり見かけません。

日本ではもともとリテール事業を行っておらず、一時(2008年以降)展開したプレミアバンキング(プチ富裕層向けサービス)もプライベートバンキングとともに2012年に撤退しており、現在、日本においては貿易金融などをはじめとする法人向け商業金融サービス(香港上海銀行)、アセットマネジメント事業(HSBC投信)、証券会社ビジネス(HSBC証券)といった限定された範囲でのサービス提供となっています。

しかしこの銀行、実は日本とのゆかりは非常に深い銀行です。一般に、東京における外資系の銀行(投資銀行、商業銀行)は、赤坂や丸の内周辺に立地するケースが多く、中央区に拠点を設けている有力な銀行では、このHSBCのほかには、アメリカ銀行・メリルリンチ(@コレド日本橋)が有りますが、今回あえて香港上海銀行/HSBCグループをお題に選んだのは、日本とこの銀行のゆかりの深さによります。HSBC5.jpg

【1930年頃の香港上海銀行上海支店】⇒現在は、上海浦東発展銀行の外灘12号ビルとして使われています。

 

香港上海銀行は、1865年にスコットランド人のトーマス・サザーランドにより、香港にて設立されましたが、香港上海銀行が最初に日本へ進出したのは、設立の翌年の1866年です。それは、今を遡ること150年前、明治維新の前ですが、既に居留地があった横浜に最初の拠点を設けたのを皮切りとして神戸(1869年)、大阪(1872年)、長崎(1896年)と支店を開設していきます。明治以降の日本政府の富国強兵政策にも対応し、日本国内の鉄道、水道、港湾等のインフラ整備のために、2億5千万ポンドを貸付け日本の経済成長を支えました。

1923年の関東大震災により、横浜支店が倒壊したのをきっかけに、翌年東京支店を開設し、第2次大戦後も1947年以降、東京と神戸で営業を再開し、その後も日本において貿易金融等の分野を中心に日英間のビジネスをサポートした、まさに英国の在東京蔵屋敷のような役割を果たしてきた金融機関といえるでしょう。HSBC4.jpg【HSBC 香港本部ビル】

 

香港にあるHSBC本部ビルは、全面ガラス張りで更には風水を考慮した設計となっています。こちらについては預金、両替などのリテールバンキングも行っているので内部の見学も可能です。日本橋にある東京支店も、香港本部同様モダンなガラス張りのビル(1998年竣工)となっており興味をそそられますが、こちらについては、残念ながら現在リテールビジネスを行っていないため預金などこちらでは行うことはできず、従って一般には内部見学の機会は有りません。

なお、旧香港上海銀行長崎支店は、記念館として一般開放されており内部の見学も可能です。こちらはガラス張りではなく、明治の銀行建築ではありますが、長崎への旅行の際には見学のため訪れてみるのも一興です。

 HSBC3.jpg

【旧香港上海銀行長崎支店記念館】

 

【香港上海銀行東京支店】

所在地:中央区日本橋3-11-1(昭和通り沿い)

*文中説明の通り、東京支店ではリテールビジネスは行っておらず、基本的にビル内部には入れません。見学の場合は外部から見ることに止めましょう。

 

 

築地本願寺~2015年除夜会~

[之乎者也] 2016年1月 2日 14:00

12月31日の夜、近くの築地本願寺の除夜会に行って来ました。Honganji1.jpg

22時45分、正門前に到着すると既に構内には篝火が焚かれ古代インド様式建築、国の重要文化財でもある本堂(1934年竣工)は昼間のように明るくライトアップされています。Honganji2.jpgわくわく感を押さえながら入っていくと「甘酒とココア

いかがですか!」と温かい飲み物を無料でサービスしてくれます。しばし甘酒で温まりながら、築地本願寺のロゴマークと2016 PEACEの文字を描いたキャンドルアート・平和の灯を眺めます。Honganji3.jpg

それまで流れていたパイプオルガンの穏やかな音楽が終わり、23:00「讃仏偈(さんぶつげ)」作法による法要が始まります。雅楽演奏と声明が30分ほど続いた後、宗務長(築地本願寺の事務部門の長)の安永雄玄(ゆうげん)さんからお話がありました。安永さんは今までずっと仏門にいらっしゃったわけではなく、大学卒業後、22年の都市銀行勤務と経営コンサルティング会社の立ち上げを経て、この2015年の7月に築地本願寺の宗務長に抜擢された方。実社会での経験も踏まえたわかりやすい法話を聞けました。Honganji4.jpg

カウントダウンも終わりいよいよ2016年です。安永さんから今年の字「志(こころざし)」が披露されました。「小さな課題を『志(=目標)』をしっかりと持ちながら一つ一つたゆまず解決していくことで、気が付いたら大きな進歩が得られるようにしたい」というお話でした。Honganji5.jpg【築地本願寺】

所在地:〒104-8435  中央区築地三丁目15番1号

電話:03-3541-1131

本堂参拝時間:6:00~17:00(4月から9月は~17:30) 

 

 
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