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中央区観光協会実施の「中央区観光検定」に合格し、特派員登録をした観光ボランティアメンバーによる中央区の“旬な”情報をご紹介。

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スイーツコレクション、今年の目玉は・・・

[にゃんボク] 2019年2月13日 13:00

バレンタインと言えば、以前は"女性が男性に告白する日"との「甘ずっぱい」イメージが強かったと思いますが、最近では
・女性が自分へのご褒美にする
・女性同士で(高級)チョコ等のお菓子を贈りあう
・なぜか男性が女性にチョコを買わされる、どさくさに紛れてバッグなども買わされる
・おじさんがイベントに紛れて自分で食べたいチョコを買う
など、「甘い」だけではない味のバラエティの増加さながら、楽しみ方/搾取のされ方も多種多様になっていると感じます。

その為、世界各国のチョコレートを買うイベントも、「バレンタイン」ではなく、「スイーツコレクション」や「サロン・ド・ショコラ」と銘打ち、かなりの甘党であってもブランドを追い切れないほど選択肢が増えています。

今期の注目は何と言っても!「ルビーチョコレート」ですね

これはダーク、ミルク、ホワイトに続いて80年ぶりに登場したチョコレートの新カテゴリーとのこと
ルビーチョコレートは希少性があり、繊細なことからごく限られたブランドのみが扱っているとのことで、私はこのルビーチョコレートを味わってみようと、日本橋三越本店でのスイーツコレクションを訪問しました

ちなみに高級チョコのブランドで有名なゴディバのアジア第一号店が、日本橋三越本店(1972年)であることは試験に・・・
は出ないかもしれませんが、豆知識です

最初に「とらや」さんで、「羊羹 au ショコラ」を購入。パリ店限定での商品で、ラム酒と羊羹をおりまぜた和洋折衷の大人の味です。
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続いて、スイーツコレクションの会場にて、ピエールマルコリーニのソフトクリームを注文。カカオの豊かなアロマと優しいストロベリーが調和する幸せの組み合わせ。
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ピエールマルコリーニと言えば、今から20年以上前に当時の上司とベルギーに出張した際の思い出にまで遡ります。
当時は今ほど高級チョコレート市場なるものが国内にはなかったと思います。出張飛行機に当たっての事前スタディ(?)として「ベルギーでは、ノイハウス、ヴィタメール、デルレイなどが有名なのか(全部、今でも有名ですね)」と浅はかな知識を得ていたのですが、ベルギーでお会いした旧通○省の方が「チョコレート選手権で優勝した新進気鋭のチョコレートパティシエのお店に行きましょう」と連れていってくれたのが、「ピエールマルコリーニ」だったのです。お店には宝石のようなチョコレートもありましたが、大きい板チョコのような「ブロック」単位での販売がメインだったように思います。


続いて、本命のルビーチョコレートですが・・・狙っていたデルレイのルビーチョコを買いに行くと・・・な、なんと、
売り切れ!!! (他のブランドも軒並み売り切れていました)
希少性があるためか、高級なチョコレート群の中にあってもさらに高価なので、「流石に売り切れることはないだろう」と甘い読みをしておりました。

ルビーチョコ"のみ"のセットは売り切れていたものの、ルビーチョコが入ったセットを販売していたピーターバイヤーを購入。ベリーのようなフルーツ特有の酸味と後から来る甘みのコラボレーション。これは・・・もっと食べてみたいと思える逸品です。もう少し一般的になるには少し時間がかかるのだろうか。

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(他にもプレミアム麦チョコ等を購入。いろいろな味が楽しめます。国産の小麦というのも嬉しいポイント)
mugichoko.jpgこれ以外にもたくさんのブランド、バラエティ豊かな楽しみ方、味覚、視覚、嗅覚、聴覚、触覚を最大限動員する必要があるほどの趣向が凝らされており、知れば知るほど奥の深さに気づくといった程でした。


なお、チョコレートに合う珈琲として激しくお薦めするのが、同じ日本橋三越本店に入っている宮越屋珈琲の「フレンチブレンド」。
少し濃い目に煎れたフレンチブレンドを嗜みながら、チョコレートを堪能したのは言うまでもありません

 

 

LIXILギャラリーの2つの展覧会

[滅紫] 2019年2月12日 14:00

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京橋のLIXILギャラリーで開催中の展覧会の内、2つをご紹介します。

一つは「富士屋ホテルの営繕さん」

箱根のランドマーク、富士屋ホテル。2018年に創業140年を迎えたクラシックホテルは「一度は、今度もまた泊まりたい」というファンが多いことでもよく知られています。今回は「箱根と云う立地もあって創業以来何でも自社でまかなう社風があった。かつては自動車会社や牧場までありランドリーは勿論、日々の印刷物も自前で行ってきた。

時代は巡り効率化の波の中で変化したことも多いけれど今なお昔ながらのスタイルを守り富士屋ホテルの建築や家具・備品の補修・修繕を行っているのが営繕である」とパンフにあるようにホテルの「営繕」職の仕事に焦点を当てた一味違う展覧会です。

目を惹くのはまず20x10cm程もある客室「花御殿のルームキー」。ホテル内の案内札もすべて「営繕さん」の仕事、何とメニューカードまで、当時使用されていた印刷活字も展示されています。

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もう一つは「クリエイションの未来展」シリーズ第18回の「《工藝》とは...」展です。

重要文化財保持者(人間国宝)2名を含む現代を代表する工芸作家12名による陶芸・染織・金工・竹工・截金の作品12点が展示されています。監修者の宮田亮平氏によれば「さまざまな素材と技法を生かした発信力のある作品が一堂に会することで工藝とは何かと根底から問うことができれば...」

 

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何と良い日でしょう!作品に囲まれ贅沢な時間を独り占めしてしまいました。撮影掲載許可をいただきましたのでまずは写真をお楽しみいただき、あとは是非会場でご覧ください。

LIXILギャラリー京橋3-6-18 TEL 03-5250-6530 http://livingculture.lixil/gallery/

「富士屋ホテルの営繕さん」最終日2月23日(土)

「工藝とは...」最終日 3月19日(火)

10am-6pm

 

 

 

FUSION FACTORY 春のガラス展    ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

[rosemary sea] 2019年2月11日 12:00

『ギフト、そして自分も楽しむ』をチュートリアルをつけて取材します、rosemary seaです。

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老舗刃物店の日本橋木屋本店さん、併設されたギャラリー izutuki では2月1日(金)から3月3日(日)まで、『FUSION FACTORY 春のガラス展』を開催中です。

昨年同時期にも、そして昨年8月にもFUSION FACTORYさんのガラス展は開催されましたが、今度も見事なガラス作品の数々が揃いました。

新作のお雛様や兜飾り、七福神や富士山のオブジェ、また、春色のジュエリーなど、展示販売されています。

なお、昨年8月開催の『FUSION FACTORY 夏のガラス展』はこちらです。

⇒  /archive/2018/08/post-5486.html

 

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株式会社 野口硝子 フュージョンファクトリー 販売/広報の下平恵美(しもだいら めぐみ)さんにお話を伺いました。

併せて、株式会社木屋 日本橋本店 金子店長にお世話になりました。

それではお品のご紹介です。まずは桃の節句のお品から・・・。

お値段は全て税込価格です。画像は全てクリック拡大できます。

また、『』内は下平さんのお言葉です。

 

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<錦雛>薄花桜(うすはなさくら)三段飾りセット  270,000円

ガラスのお雛様、三段飾り、豪華絢爛です。

実際はこれに花雪洞(はなぼんぼり)1対と赤布が付きます。

『屏風以外は水洗いもできます。綺麗に箱にしまっておけます。

屏風もお選びいただくことも可能です。』

 

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左:<錦雛>紅匂(くれないにおい) 座(すわり)  54,000円

右:<錦雛> 立(たち)  32,400円

錦、それは何色もの色系で華麗な模様を表した織物。鮮やかな礼装のお雛様です。

 

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左:<雛絵巻>  27,000円

右:<雛絵巻>  27,000円

雅な物語の風景の中に寄り添う男雛、女雛。

『一番人気です。』

 

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左:<雛絵巻>花宵(はなよい)  21,600円

夜桜観月を楽しむ二人。

右:風薫雛(ふうかびな)  21,600円

暖かで優しい風が花や若葉の薫りを運び、春の訪れを感じさせてくれる、そのようなお雛様。

 

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左:流彩雛(りゅうさいびな)  12,960円

鮮やかな色彩を流線で彩るお雛様。

『一番新しいお雛様です。』

右:白雛(はくびな)  12,960円

『作家は現在社長を含め女性4名、男性が2名の計6名おります。

わかりやすく、とか、雰囲気に奇抜にならない、とかのルールがあります。』

 

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左:うめ雛  12,960円

梅の花が咲くお雛様。

右:春のをどり  32,400円

舞妓さんたちが季節の風情にちなんだ踊りをしている姿。

『京都の踊りをイメージしています。』

 

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左:桃飾り S 5,400円 ・ M 8,640円

つや消しの硝子で桃の肌合いを見事に表現されています。

『こちらも大変人気です。厄除け・魔除けの意味でお求めになるかたもいらっしゃいます。』

右:桃花飾り  12,960円  季節の箸置き 早蕨 1,080円・桃花 1,620円・桜 花びら 804円・桜 つぼみ 1,296円・花見団子 1,080円

お雛様に添えても風情を盛り上げます。

『お雛様と一緒に飾っていただきたいです。』

 

次は端午の節句のお品・・・。

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左:<琳派流水紋>硝子兜  64,800円

琳派の絵画からインスピレーションを得てガラスで表現されています。

黄金色に輝く兜。

『琳派シリーズはお雛様にも酒器にもございます。』

右:菖蒲色の兜  54,000円

菖蒲の色をガラスに映した兜。

 

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左:蒼(あお)の兜  39,096円

深い湖水のような神秘的な色になっています。

右:翡翠(ひすい)の兜  32,400円

透明感のある翡翠の色の兜。

 

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左:<硝子兜>琥珀揃え  21,600円

逞しく立派に育つよう、願いを込めてガラスで表現されています。

右:<硝子兜>(すき)  21,600円

クリアでモダンです。

 

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左:鯱鉾(しゃちほこ)  43,200円

左右の口の表情で、「あ・うん」を表現されています。

『金箔をふんだんにあしらっています。海外のかたにもとても人気でした。』

右:金鯉のぼり  27,000円

跳ねる鯉、金箔で彩られています。

『おとうさん、おかあさん、子どもの3つのセットです。』

 

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左:菖蒲飾り  12,600円 ・ 季節の箸置き 花 1,620円 / つぼみ 1,296円

右:鯉のぼり 季節の箸置き 緑・赤・青  各1,620円

こちらも同様、兜に添えれば風情を盛り上げます。

『端午の節句とともに飾っていただいても、箸置きとしても。』

 

次は七福神・・・。

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上から左に、恵比寿 37,800円、大黒天 37,800円、毘沙門天 37,800円、福禄寿 32,400円、弁財天 43,200円、寿老人 37,800円、布袋尊 37,800円

一番前の恵比寿様にはグラスとマドラー 21,600円をセットすることもできます。

 

まだまだございます。花器・酒器・アクセサリーなどなど・・・。

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左:青竹 S 19,440円 ・ M 32,400円 ・ L 64,800円

美しいグリーンの竹をモチーフにした花器です。

右:FPモネ 銘々皿  5,400円

「FP」とはフェイマスピクチャーシリーズ(A famous picture series)のこと。

名画からのインスピレーションを色で表現されています。

 

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左:ガラスアクセサリー  4,320円~10,800円

右:ピアス / イヤリング  3,240円~7,560円

左画像の左のネックレストップは「若竹 KIMONO」。

着物をモチーフにした華やかさがガラスで見事に具現化しています。

左画像の右のネックレストップはこちらもFP。クリムトの名画として花畑をイメージ。

グスタフ・クリムトは1900年前後の帝政オーストリアの画家です。

『ネックレスは春をイメージしています。』

 

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左:浪裏(なみうら)と凱風快晴(がいふうかいせい)  各37,800円

浮世絵を立体化した作品です。葛飾北斎の「富嶽三十六景」のシリーズ。

「神奈川県沖浪裏」と「凱風快晴」をイメージしたオブジェです。

神奈川県沖浪裏・・・あの、富士を飲みこむような高波の絵。

凱風快晴・・・青い空、白い雲、赤い富士、の絵。どちらも有名ですね。

『360度見られるように、と、北斎の絵を閉じ込めた作品となります。』

右:富士と夫婦鷹  21,600円

昨年8月の「夏のガラス展」の際もご紹介させていただきました。

富士の上空を飛ぶ茶色い鷹2羽も見えますでしょうか。

 

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左:富士山一輪挿し 大 16,200円

富士山のかたちにしたガラスに銀箔をあしらい花器として作られました。

『山のてっぺんが空いている一輪挿しです。』

右:琳派雲海紋 酒器セット (ぐい吞 酒さし)  37,800円

琳派の絵画からインスピレーションを得て、ガラスで表現されています。

雲の流れが見えますでしょうか。

 

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左:富士雲海を臨む冷酒グラス 赤・青 各12,960円

右:逆さ富士 ぐい吞 赤・青 各16,200円

縁起の良い富士を眺めながら一杯、美味しいお酒になりそうです。

 

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左:扇向付(おおぎむこうづけ) 黒  4,860円

末広がりになっております扇型の向付。ちょっとしたお料理に。

『前菜などを盛っていただけるような入れ物ですね。』

右:硝子達磨 赤・炭・緑  10,800円

縁起の良いダルマのかたちにしたオブジェ。

一輪挿しとしても、また、専用のフックで吊るして飾ることも。

『小さなサイズのものですと、手許のバーナーワークでできるんですけど、(ある程度の大きさのものは)アクセサリーも他のガラス作品と同じように窯から取っているので、巻き取れる大きさが大きくなってしまうんですね。

1200度のガラスを巻き取って作って、徐冷炉(じょれいろ)という窯で1日かけて冷まします。

急激に冷やすとガラスは割れてしまいます。

また、冷ます際に空気が入ったりします。膨張して割れてしまうことも。

いざ開けてみると色が変わっていたり。100%はなかなか難しくて。

一点ものですと(変化が出ても)自由なんですけど。』

カタログに載るようなお品ですと、均一に仕上がるのが良いようですね。

下平さん、ありがとうございました。

株式会社 野口硝子 フュージョンファクトリーさんのホームページはこちらです。

https://fusionfactory.jp/

http://fusionfactory.shop-pro.jp/

 

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日本橋 木屋

日本橋2-2-1 COREDO室町1 1階

東京メトロ半蔵門線・銀座線 三越前駅 A6出口すぐ

03-3241-0110

営業時間  10:00~20:00

元日を除き休まず営業です。

木屋さんのホームページはこちら

⇒ http://www.kiya-hamono.co.jp/

 

 

 

 

信州感動健康料理 提案発表会

[サム] 2019年2月11日 09:00

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 「健康長寿県 長野」の「食」にスポットをあて、信州らしい新たなメニュー提案やお客様に感動していただけるような演出方法等を学ぶ「信州感動健康料理」アカデミー。

2月8日、アンジェロコート東京(八重洲1)にて、このアカデミーの受講者と、郷土料理家横山タカ子さん、職人館館主北沢正和さん、さらに長野県調理師会会長の湯本忠仁さん(何れも、長野県おいしい信州ふーど公使)が提案するメニューを試食するイベント「信州感動料理提案発表会」が開かれました。

18:30~20:30

長野県農産物や伝統食材・料理を用いながらも新たな長野県の名物となるように考案された新メニュー。

長野県産ワイン、日本酒と共に味わう、発酵食品や保存食などを含む「定番」と「多様性」を組み合わせ、美味しさ、心地よさ、驚きを追求した信州の「食」です。

 

 

◆ 京橋物語3~大正建築ロマン

[隅田の花火] 2019年2月10日 18:00

京橋物語の3回目。前回からの続きです。

前回まで→ 【京橋物語①】 【京橋物語②】

 

現在の中央通りと鍛冶橋通りが交わる京橋交差点に、大正時代の中期、円形ドームの塔屋のある建物が出現しました。今回はこの建物からお話を始めることに致します。

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これは、あの東京駅の駅舎や日本銀行本店で有名な、辰野金吾が設計した建築です。第一生命保険所有の建物で、名前は『第一相互館』。建設工事が始まったのは、東京駅が完成した翌年の、大正4(1915)年のことでした。

 

その当時、この辺りにあった高層のビルは、日本橋の三越本館、銀座の大倉組本館などの5階建てでした。第一相互館が完成すれば、それを上回る7階建て、屋上の塔屋まで45mの高さを誇る大建築となります。

 

当時は第一次世界大戦がもたらした好況時代であったものの、インフレによる建築材料不足が原因でなかなか工事が進まず、鉄骨が組みあがるのに2年もかかってしまいました。ご覧のように、異様な高さを誇る鉄骨状態の第一相互館がそびえていますが、度々工事が中断してしまったことで、お化け屋敷と呼ばれたこともあったようです。

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そんな中、辰野金吾が完成を待たずに急逝してしまいます。大正8(1919)年3月、今からちょうど100年前のことでした。その後の不況もあり、建設作業は困難を極めます。

 

第一相互館が建築中のさなか、その100年前の5月には京橋に奉祝塔が立っていました。三大祝典と称されたこの祝典。東宮殿下御成年式、市制三十年、奠都五十年の3つが重なったお祝いです。東宮殿下とは、後の昭和天皇のことで、この時に18歳を迎えられています。

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通りの右側には建築中の第一相互館が写っていますが、通りの左側では、大同生命ビルの向こうで何やらビルの工事が始まっています。元々4階建てだったビルを7階建てに改築している最中で、この年に完成したようです。

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このビルは、新興製薬会社の『星製薬』本社の建物で、創業者の星一(ほしはじめ)が建てました。星一は、アメリカに留学したあとこの会社を興し、特約店の方式を初めて取り入れるなどの経営手腕を発揮、この会社を東洋一とまで呼ばれる製薬会社に押し上げた人物です。

 

星一の息子は、SF作家として知られる星新一ですが、その後の星製薬の運命は、彼が書いた悲しい物語から伺い知ることができます。

s_hanabi_70-5.jpg建築中の第一相互館の斜め向かいに建てられたこの建物。銀座側から見ると正方形に近い窓の形が特徴で、この後も絵葉書の風景に度々登場してきます。屋上には「クスリはホシ」という看板が赤い文字で光っていました。

 

そんな星製薬のビルの完成を横目で見届けたあと、いよいよ辰野金吾の遺作・第一相互館は完成します。妥協を許さない施工を守り通し、予定より3年遅れ、工費は予算の倍、苦難の末の完成でした。大正10(1921)年3月のことです。

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辰野金吾建築の特徴でもある、古典的赤レンガスタイルが随所に生かされた建築でしたが、最大の特徴は何と言っても45mという建物の高さです。その塔屋からは、現在の中央区全域を見渡せていたはずです。

 

この写真は大正10(1921年)、第一相互館から見た銀座の方向です。

s_hanabi_70-7.jpg写真提供:中央区立京橋図書館

 

ご覧のように、銀座通りは京橋の所でカーブしているので、第一相互館の屋上は、銀座通りを真ん中から見下ろせる絶好のロケーションとなりました。この頃の銀座に見える背の高い建物は、通りの右側の大倉組本館だけであることがわかります。当時の銀座は、カフェーが隆盛を誇っていた時代でした。

 

一方の日本橋方面の眺め。同じく大正10(1921)年頃でしょう。こちらも大きなビルはあまり建っていないようです。

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左下には、田村の帽子店が見えています。以前に特派員のyazさんがレポートされた、レストランの鴻乃巣の場所はこの付近と思われます。当時の様子もよくわかりますので、是非こちらをご覧になってください。

★特派員yazさんの記事 → こちら

 

そして下の絵葉書、おそらく翌年大正11(1922)年の、銀座側から見た南伝馬町の風景です。

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南伝馬町が大都会の風景に変貌しています。その中でもモコモコモコッと短期間に現れた「3つのドーム屋根」は、銀座から見て、南伝馬町のシンボル的建物に見えたに違いありません。いつの間にか、大同生命ビル手前には『三十四銀行』の四角いビルが建ち、そして星製薬のビルの向こうにも新たなビルが建築中です。

 

手前をよく見ると、道路工事をしている様子も伺えます。南伝馬町は大正時代に入り、建築の分野で大変貌をとげましたが、それが土木の分野も呼応したのです。これはおそらく、京橋の架け替えに関わる工事と思われます。

 

京橋は、この大正11(1922)年に橋を拡幅、今までの江戸の伝統的な擬宝珠のついた親柱をやめることを決断します。そしてモダンなデザインの親柱を持つことにしました。南伝馬町の街並みにマッチした、近代的なデザインになりたかったのでしょう。この親柱は現在も1基、京橋跡の現地に残されていますので、ご存知の方もいらっしゃると思います。 

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こうやって見ると、この親柱のデザインは「3つのドーム屋根」が作り出す都市景観と調和し、銀座側から親柱越しに望む南伝馬町はまるで、上へ上へと伸びる、天に向かう街のように見えてしまいます。

 

周りにもビルが増えました。絵葉書の左上のビルは大正11(1922)年の竣工の『片倉館(片倉生命ビル)』。場所は現在の東京スクエアガーデンの鍛冶橋通り沿いで、数年前まで片倉工業ビルとしてこの地にありました。

一方、通り左側の一番奥に建てているのは、『千代田館(千代田生命ビル)』。翌年大正12(1923)年の竣工で、現在の京橋トラストタワーが建つ場所です。

 

このように大正時代は、第一次大戦による好景気の中で生命保険や金融会社が隆盛を誇り、南伝馬町には銀座に先んじて多くの高層のビルが建てられていきました。現在の我々から見れば、この頃に作られた南伝馬町の街並みは、大正ロマン全開といったところですが、当時の人々には、東京の代表的な都会の街並みとして知れ渡ったようです。

 

しかしこのあと、東京、そして南伝馬町は、あの日の出来事に襲われることになるのです。

つづく。

 

 

 

特派員のひとり反省会 その1~第11回中央区観光検定より~

[えだまめ] 2019年2月10日 12:00

子連れ特派員のえだまめです

去る2月3日(日)、第11回中央区観光検定が実施されました。

申し込んではいたものの、極端な準備不足だという自覚もありまして、

「もう受けるのやめた方がいいのでは?」

という悪魔のささやきが聞こえた気もしましたが

「参加することに意義がある!」と自分を奮い立たせ、前日に過去問を猛烈に解きなおしチャレンジしてきたのでした。

そして、終わった今。

「終わったから、まあいいか」で済ませてしまうとよくない気がして。

迷った問題、間違えた問題の中から気になったものを

いくつか重点的に確認しておきたいと思いました。

というわけで、「えだまめのひとり反省会」シリーズ、しばしお付き合いください。


まずは今年度のテーマ問題「平成の中央区」よりの出題です。

問5 中央区にある次の建造物のうち、国の重要文化財に指定されたのが

   平成ではないものは次のうちどれでしょう。

ア.勝鬨橋  イ.日本橋  ウ.三井本館  エ.日本銀行本店本館


・・・正直、そんな切り口もあったか・・・!と面食らった問題でした(大汗)。

確かに近代の建造物の歴史的価値が認められてきたのはここ最近の話のように思いますし

こうしてみると、どれもこれも平成に認定されたものっぽい印象です(滝のような汗)。

というわけで、本番ではまんまと外してしまったわけですが。

ちゃんと確かめてみます。


ア.勝鬨橋

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こちらの勝鬨橋、検定にもよく出てきますね。

「東洋一の可動橋」と呼ばれ、当初は1日5回跳開していましたが

船舶運航量の減少などの理由から現在は開閉を停止しています。

で。

「国内最大の可動支間を有する技術的完成度の高い構造物」などの評価により

国の重要文化財に指定されたのは・・・平成19(2007)年6月です!!

というわけで、こちらは答えではありません

イ.日本橋

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明治44(1911)年に現在の橋が架けられた日本橋も

トピックに事欠かない場所ですね。

4つの橋詰には広場があり、船着場があり、

観光案内所も出来て・・・と。

ですが、架橋100周年を超えた橋そのものも頻出問題ですし要チェックです。

写真に写っている獅子さんは「東京市の守護」を象徴するものですよね(頻出問題)。

で、日本橋が重要文化財に指定されたのは・・・平成11(1999)年5月!!

というわけで、こちらも答えではないのです

ウ.三井本館

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写真からも見える通り「コリント式(ここ頻出です)」オーダー列柱が

印象に残る三井本館。

昭和4(1929)年に三井の主要各社が入るオフィスビルとして竣工しました。

地下には50トンの重さの円形扉のある大金庫が設置されているそうですよ。

(これも過去出題されてます)

で、三井本館が重要文化財に指定されたのは・・・平成10(1998)年12月!!

なので、これも答えではありません

エ.日本銀行本店本館

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・・・「消去法で、エが答え!」といわずに、ちゃんと確認しましょう。

明治15年に日本銀行が我が国の中央銀行としての業務を始めた際には

永代橋のたもとにあった北海道開拓使東京出張所の建物を利用していました。

そちらの設計はジョサイア・コンドル。鹿鳴館の設計を担当したお雇い外国人です。

(こちらも以前から多く出題されているポイントですね)

しかし、施設が狭く、交通の便も悪かったので

明治29(1896)年、新たに建物を建造して移転することに。

それが江戸時代に「金座」のあった日本橋本石町にある、現在の日本銀行本店本館です。

設計を担当したのは辰野金吾。コンドルのお弟子さんです。

モデルとなったのはベルギーの中央銀行(これも過去出題されてます)。

デザイン様式はバロック様式とルネサンス様式を組み合わせている「ネオ・バロック建築」です。

関東大震災で館内の約半分を焼失しますが3年後に修理が行われ

昭和初期にも増築が行われて現在に至ります。

そして・・・重要文化財に指定されたのは・・・昭和49(1974)年!!!!

意外と他の3つより、だいぶ前の指定ですね。

というわけで、正解は「エ.日本銀行本店本館」でした!!


日本銀行本店本館の真向かいにある「貨幣博物館」もなかなか面白い展示が多いですし

検定の復習がてら、みなさまこのあたりの街歩きをしてみてはいかがでしょうか??

先日先輩特派員の「CAM」さんがかかれていた「江戸桜通り」も

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日本銀行本店本館前からコレド室町の方まで通り抜ける道ですが

こちらも日本橋三越本店の「デパ地下」なども含めて

美味しいものを探しながらのお散歩にも最適ですよ。

もう少ししたら名前の通りに桜並木が美しいので特におすすめです!!