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浮いた浮いたの浜町河岸

浜町河岸といえば、粋なきれいな感じのする地域と思いますが、今回はちょっとおどろおどろした話をさせていただきます。若い方にはなじみがないでしょうが、新派の演目として有名な「明治一代女」で有名な、

『浮いた浮いたと 浜町河岸に
浮かれ柳の 恥かしや
人目しのんで 小舟を出せば
すねた夜風が 邪魔をする』

という歌を知っていますか?この歌に浜町河岸という言葉が入っていますので、この氏素性を説明しましょう。

この曲「明治一代女」は、花井お梅事件(別名箱屋事件)を題材にした川口松太郎の小説を元に作られたものです。小説、戯曲の方は歌舞伎役者や道楽者など男女間の愛憎が複雑に絡まった物語ですが、実際の事件は比較的単純です。とは言っても「殺人事件」を題材にしています。一番の歌詞からは想像もつきませんね。二番・三番は相当のものです。

美貌で勝気な芸者(写真)のお梅は二十歳そこそこで待合を持ち女将となりますが、名義人を父にしたばかりに自分の待合から締め出されてしまいます。何とか店を取り戻そうと、相談したかつての朋輩は欲に目がくらんで、父親側の味方をしてうまくいきません。逆上したお梅はこの朋輩を浜町河岸に追い、殺害します。お梅は日本橋久松署へ自首しました。ちょっと見きれいな歌詞と浜町河岸にも凄惨な事実があったのですね。この事実を知って浜町河岸を見ると、淀川長治ではないですが、「怖いですね!怖いですね!」

 

 

浜町河岸

浜町河岸 浮いた浮いたの浜町河岸

「♪ ~ 浮いた浮いたと浜町河岸に、浮かれ柳のはずかしや ・・・」 と歌われたのは昭和10年。「明治一代女」が生きた頃の浜町河岸がどんな様子だったのでしょうか? 

浜町川は戦後まもなく埋め立てられてしまったし、河岸などは見えません。新大橋通りを跨いで上流方面は、かつての浜町川に沿って緑地遊歩道ができ、その両側が道路になっています。下流方向は高速からの浜町出口になっていて、新大橋通りに向かっています。写真の場所には、かつて「中ノ橋」が架かっていました。

 

 

 

中ノ橋

中ノ橋 浮いた浮いたの浜町河岸

中ノ橋全景 (昭和5年5月) かつての「中ノ橋」から、「浜町川」上流を望むと、真ん中に緑地遊歩道、その両脇に道路が出来ています。下流を望むと、かつての「箱崎川」あたりから上を通る高架の高速道路の浜町出口となっています。この辺がかの「明治一代女」の舞台、浜町河岸ですかね?おお、怖!!!!