浜離宮恩賜庭園では、先月末に満開となった「ソメイヨシノ」に続き、主として「潮入りの池(大泉水)」の「御伝い橋」から「横堀」の「海手御伝い橋」までの池畔に植栽されている、所謂「サトザクラ」が見頃を迎えています。
一括して 「山桜」とも称せられる野生種のサクラ(約10種)に対し、サトザクラ(里桜)は、広義には作出された園芸品種、狭義にはオオシマザクラを母種とする園芸品種の総称とされます。
華麗な花を咲かせる品種が多く、八重桜と云われるものの大半はこのグループに属するようです。
一般に非常に微弱な香りのサクラの中で、オオシマザクラやヤマザクラの系統のサクラの中には芳香の強い品種があり、「匂い桜」と呼ばれています。
中でも「駿河台匂」は代表的品種。
江戸時代駿河台の武家屋敷に植えられていたと伝わる種で、ヒヤシンスにも似た清涼感のある香りとされます。
桜葉漬けのクマリンの香りも仄かに感じます。
この他に、純白の一重の大輪「白雪」、純白の八重の大輪「白妙」、「五色の八重桜」と称せられる、"花の中心から葉化した1本の雌しべが突き出る様が名の由来と云われる" 白色~薄桃色の「一葉」、"花の中心から葉化した2本の雌しべが突き出て先端が反り返った様を普賢菩薩の乗る象の鼻(牙)に見立てたと云われる" 薄紅色の「普賢象」、"塩漬けは桜湯として用いられる" 鮮やかな濃桃色の「関山」、"ショウガ科のウコンの根茎から得られる着色料の色に似る" 黄色の「鬱金」、"高貴な貴族の衣装の色のイメージから名付けられたと云われる" 「御衣黄」が楽しめます。
色や咲き方がそれぞれ異なる多様なサトザクラは、ソメイヨシノとはまた違った趣です。
左から、駿河台匂、白雪、白妙、一葉
左から、普賢象、関山、鬱金、御衣黄