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今年は縄文が熱い!中央区でタイムトラベル

[Hanes] 2018年6月22日 18:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
歴史にもある種のブームのようなものがありますよね。
明治維新から150年の今年はというと、それに関するイベントやツアーが目白押し!
関連人物である西郷隆盛も大河ドラマをはじめ注目を集めています
 
しかしそれと同時に、古墳に次いで縄文が熱いってご存知でしたか?
 
「世界で最も美しい謎」、「ニッポンの、美の原点」...
そう称され、世界的にも注目を集める縄文。
東京国立博物館では、7月3日から特別展「縄文―1万年の美の鼓動」が始まり、
同じく7月の上旬には、映画『縄文にハマる人々』が公開されます

DSC_1982.JPG

また、北海道と北東北の縄文遺跡群は世界遺産登録を目指しており、
縄文遺跡群ツアーが催行される等、空前の縄文ブームが到来しています
 
さらに、「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」は、2017年秋冬に縄文土器の装飾や文様に着想を得たコレクションを展開し、
今年の春夏ファッションには、土偶をモチーフとして取り入れています
縄文土器や土偶を、現代的なデザインであると述べる専門家もおり、
縄文は思いのほか華やかで魅力的な時代だったのかもしれません
 
今回は、「東京アート アンティーク」期間に古美術の老舗、繭山龍泉堂で開催された土偶に関するトークをはじめ、縄文時代頃の中央区や区内で楽しめる縄文時代がテーマのスイーツをご紹介します。
 
川島公之代表取締役によるトーク「DOGU -土偶いろいろ-」
他の文明と通じる部分があったり、当時の人々の日常や祈りが反映されていたりと、
学校では教えてくれない土偶の魅力を知ることができました
ここではトークの内容を簡単にご紹介します。

龍泉堂_外観4.jpg
(画像提供:繭山龍泉堂)
 
■世界共通!?
文明の前段階(特に後期旧石器時代以降)において、土製や石製の人形像が世界中で見つかっています
チェコのドルニ・ヴェストニス遺跡から出土した女性像は、
日本で出土した「縄文のビーナス」によく似ています。
また、ドイツ、スイス、インダス川流域でも同様の女性像が出土しており、
地球上の多くの人類集団が、このような制作技術を身に着けていたことが分かります。
しかし、紀元前6000年には既に顔料を使った土器が作られていた中国文明は例外!
黒陶武人や兵馬俑等が作られるようになったのは紀元前5世紀から3世紀の戦国時代でした
この点は、土偶の研究者間でも意外と盲点となっているようで、
詳細については、今後の研究で徐々に明らかになるものと思われます。
 
■生活様式の反映
縄文土偶からはその当時の生活を読み取ることができるといいます
草創期~前期:狩猟が主のため、携帯できる小さくシンプルな土偶が多い
中期:気候が安定し巨大な集落が生まれ、細部にこだわった華やかな土偶が増える
 
■モチーフは女性
多産・豊穣祈願から、古代より女性をかたどった偶像が多く作られてきました。
 例:身ごもる女性をイメージした「鳴る土偶」(腹部に土製の玉が入っている)
   出産シーンを表現した土偶(山梨県指定有形文化財)
しかし時代を経るにつれ、地母神と結びついた祭司的要素が加わり、
後期、晩期には、葬儀関連の要素や人間離れした要素を持つようになりました
 
縄文時代でひとまとめにしてしまいがちの土偶ですが、
実は意味も用途も多種多様であると改めて知ることができました
 
縄文時代前後の中央区
開府以降、徐々に埋立地が増え、栄えることとなった中央区。
そのため、それ以前のイメージはないに等しいと言っても過言ではありません。
しかし、『東京都埋蔵文化財白書』(1977)には、中央区に貝塚が2つあると記録されています
前々から陸地だったエリアには、縄文時代前後に既に人が住んでいたのでしょうか?
 
さらに1935年の講演で、東アジアの先史学・人類学の先達である鳥居竜蔵博士は、
当時白木屋だった場所から、シカの骨や旧石器時代のものとされる扁平な石器が出土したと述べています。
残念ながら、その発見例は講演の数年前の白木屋火事で紛失してしまっており、
これといった写真や記録は残されていないようです...
真偽はいかほどにせよ、ロマンがありますよね
 
1951年には、三井別館の工事現場から120cmで20歳程の小柄な女性の人骨が発見され、新聞は下町娘の祖先とばかりに「日本橋小町」として紹介しています!
調査した直良信夫博士は、骨の出土層から古人類と考え、「ホモサピエンス・ニホンバシエンス」と名付けたそうです
他の博士から、中世~近世初期の頭骨に近く、古人類ではないと批判もありましたが、
「日本橋小町」も「ホモサピエンス・ニホンバシエンス」もユニークな名前ですよね
 
結局、中央区においてこれといった縄文時代の遺跡は確認されていませんが、
予想だにしなかった興味深い事実がありました。
現代においても解明されていない謎が多く、ついつい夢中になってしまいますね
 
そして最後に、土偶がテーマのスイーツをご紹介します
そのようなユニークなスイーツを取り扱うのは、銀座NAGANO
長野と縄文の関係はなかなかピンと来ないかもしれませんが、
実はかの有名な「縄文のビーナス」が出土したのは、長野県茅野市にある棚畑遺跡なのです!

外観2.jpg
(画像提供:銀座NAGANO)
 
縄文に関する商品が並ぶコーナーにてまず目に飛び込んできたのが、
形だけでなく、どんぐり粉入りと材料までもが縄文らしいこちらのクッキー
どんな味がするのかは、食べてからのお楽しみ!

 

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さらに、プレゼントにもってこいの持ち運びしやすいパッケージに入った
立体的な縄文のビーナスや仮面の女神の羊羹も販売しています。
 
縄文マニアの方は勿論、縄文初心者の方も、
今年の夏は、古美術店で、博物館で、映画館で、アンテナショップで、
縄文の魅力を再発見してませんか
 
【縄文時代の遺物や土偶を取り扱う中央区の古美術店】
繭山龍泉堂
〒104-0031 東京都中央区京橋2-5-9
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜日・祝日
http://www.mayuyama.jp/
 
去来
「東京アート アンティーク」開催時に伺わせていただきました。
縄文関連の商品が常に店頭に並んでいるわけではないとのことでしたが、
考古遺物をはじめ興味深い商品を幅広く取り揃えていらっしゃいます

DSC_1941.JPG

〒104-0031 東京都中央区京橋1-6-14 佐伯ビル1階
営業時間:14:00~18:00
定休日:日曜・月曜・祝日
http://www.kyorai-art.com/
 
【縄文・土偶をモチーフにしたスイーツ】
銀座NAGANO
東京都中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル 1F・2F・4F
営業時間:10:30〜20:00(1F・2F)
定休日:年末年始
 
【縄文や土偶に関するイベント情報】
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」(縄文展)
日本全国から出土した縄文時代の土偶は10,000点を超えますが、
国宝となっているのはわずか5点!貴重な土偶を見る絶好の機会です
2018年7月3日(火)~9月2日(日)
東京国立博物館 平成館(上野公園)
http://jomon-kodo.jp/

 

映画『縄文にハマる人々』
上映スケジュールは後日発表になります。
シアター・イメージフォーラム(渋谷)
http://www.jomon-hamaru.com/

【参考文献】
北原進・山本純美(1979)『東京ふる里文庫21 中央区の歴史』東京にふる里をつくる会編,名著出版.
十菱駿武・野村正太郎編(1984)『遺跡が語る東京の三万年①』戸沢充則監修,柏書房.
MIHO MUSEUM編(2012)『土偶・コスモス』羽鳥書店.
 
※店舗のお写真につきましては、担当の方々より掲載許可をいただいております。