Hanes

「晴海に残る跡地」で高層住宅の先駆けに迫る


こんにちは。ここのところアクティブな活動はお休み中のHanes(ハネス)です。
外出自粛要請が出ていることを考慮し、撮りためておいた写真をもとに、家にいながらにして「へぇ~」と楽しめるような少々マニアックな中央区トリビアを3回にわたってご紹介したいと思います。
2回目となる今回は、「晴海に残る跡地」にフォーカスします!

お馴染みの「晴海に残る跡地」

早速ですが、皆さんに質問です。
タワーマンションや世界的なスポーツの祭典に向けた開発などにより、日々進化する街としてのイメージが強い晴海ですが、「晴海に残る跡地」と聞いて思い浮かぶものといったら何でしょうか?

 「晴海に残る跡地」で高層住宅の先駆けに迫る


そう、「日本万国博覧会事務局棟跡」です!
遡ることちょうど80年前の3月、晴海地区にて約6ヶ月間「日本万国博覧会」が開催される予定でした。
しかし、戦争の激化や参加国の減少により、開催直前に延期が決定。
建設された事務局棟は陸軍病院として使用され、戦禍によって姿を消すこととなりました。

しかし、晴海に残された跡地はこれだけではなかったのです。

まだあった!現在・未来へのかけ橋となった跡地とは

これからご紹介する「晴海に残る跡地」については、Google mapを見ていて初めて気づきました。
それが何かというと、こちらの晴海高層アパート跡です。


UR都市機構の資料によると、晴海高層アパートとは、来るべき高層化時代に向けて1957年に入居が始まった3層6住戸分を一単位とした高層集合住宅とのこと。
設計したのは、なんとあのル・コルビュジエに師事した前川國男氏。
そんなこともあってか、コルビュジエが設計したマルセイユの集合住宅(ユニテ・ダビタシオン)との共通点もあったようです。
(前川國男氏の代表作の遺構は中央区内に保存されています。詳しくは先輩特派員巻渕彰/写楽さいさんの記事をご覧ください。)

また、長期間の耐久性を重視しながらも、居住者の多様なニーズに応えて間取りや設備などの内装を自由に変えられるスケルトン・インフィル住宅(SI住宅)の先駆けともいえるようです。
従来の寸法にとらわれない畳などには、戦後日本における合理性の追求も見られたというので、ますます興味がわきますよね。
一方、当時建設するにあたって、中層住宅と同じコストで高層住宅を建てることという課題をはじめ、いくつもの制約が課されたそうです。
それらの課題をクリアするため、随所に様々な工夫が凝らされたこのアパートは、まさに近代建築における努力の結晶(詳しくは上記資料を参照のこと)!

さて、そんな晴海高層アパート跡地は今どうなっているのでしょうか。

 「晴海に残る跡地」で高層住宅の先駆けに迫る


現在その跡地には、高層マンション(晴海トリトンスクエアの一部)および誰でも利用できる晴海第一公園があります。
桜川屋上公園や先日ケアリイさんがご紹介していた水谷橋公園のように、地上階より高い位置に位置している公園を見ると、「どうなっているんだろう?」と好奇心をそそられるのではないでしょうか。
せっかくなので、しばしのバーチャル散策にお付き合いください^^
(STAY HOME週間の現在は、公園の利用に自粛要請が出ております。東京都や中央区の最新の指示に従ってください。)

 「晴海に残る跡地」で高層住宅の先駆けに迫る


近未来的な雰囲気の風景を前に階段を上ると、右に晴海第二公園、左に晴海第一公園が広がっています。
今回訪れたのは晴海第一公園、愛称・ふれあいの森です。
晴海といっても想像がつかない程落ち着き、自然が豊かな公園になっています。

 「晴海に残る跡地」で高層住宅の先駆けに迫る


他の公園同様、遊具やベンチが設置されているのですが、気になったのはこちらのオブジェ。
こちらは内田和孝さんによる「The Universal Language Of U」という作品です。
解説によると、「20世紀末東京晴海の状況、再開発で新たに生まれ変わった街という背景、配置される空間構成から、時間、歴史、記憶、物語、交流をKeywordとして、小宇宙とでもいうべき、無限の奥行きと繋がりを表現している」とのこと。

晴海高層アパートの歴史を示すものはここにはありませんが、そういった背景を念頭においてこの作品を見ると、戦後、20世紀末、そして今という時を超越した繋がりが見えてくるのではないでしょうか。

 「晴海に残る跡地」で高層住宅の先駆けに迫る


ここからは番外編(中央区外の話)ですが、嬉しいことに、UR都市機構の集合住宅歴史館(最寄り駅:JR八高線 北八王子駅)にある集合住宅歴史展示棟では、この晴海高層アパートの復元を見ることができるんです!
(※歴史館は新型コロナウイルス感染防止のため休館中です。)

現代の晴海に結びつく高層住宅の先駆け、晴海高層アパート。
復元であろうと、ぜひ一目見てみたい!
自由に外出できるようになり歴史館を訪れた際には、遠足シリーズとしてご紹介できればと思います♫