隅田の花火

隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

いよいよ陽気が良くなってきて、外を歩き回りたい気分満載なのですが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令もあって、外出を控えているこの頃です。好きな隅田川散策にも行きたいけれど、ここは我慢。過去に撮った写真を見たりして、頭の中でバーチャルな散歩やクルージングをするのであります。

隅田川にはいろいろタイプの橋がありますが、真っ先に頭に浮かぶのが美しい永代橋と清洲橋。2つとも、ここ中央区に架かっています。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

左:永代橋  と 右:清洲橋

今架かっている橋は、関東大震災の復興事業の時に架けられたものですが、特にこの2つの橋は対比して設計されたと言われ、永代橋の上向きのアーチは力強くて『男性的』、清洲橋の下向きの曲線は繊細で『女性的』などと形容されます。

バーチャル散歩をしていたら、永代橋と清洲橋の曲線が何だか同じようなカーブに思えてきて、とても変な想像をしてしまいました。

『永代橋と清洲橋って合体できそう』

昔のロボットアニメのような話なのですが、永代橋を上下逆転させて、2つの橋の曲線を合わせてみたら、もしかして、シンデレラの靴のようにピタリとはまっちゃうんじゃない?という、想像です。男と女なのですから、合わさってもおかしくはない気もするし。。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

 

 

勝どき・橋の資料館にある展示など、昔に撮った当時の設計資料を使って、強引に合わせてみました。

 

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

やっぱりダメだったみたいです。微妙にずれています。橋脚と橋脚の間の距離が違いますから、合ないだろうなぁと薄々感じていました。でも、もうちょっとで合うと思うんだけどなぁ。

 

ここで、橋の諸元を調べてみました。ネットの情報から探してみたところ、

【永代橋】 橋長:184.7m、幅員22.0m

【清洲橋】 橋長:186.2m、幅員22.0m

という数字を拾うことができました。

でも昔の設計図に書かれている数字を見ると、どうも違う。調べてみるとメートルではなくフィートの単位で書かれていることがわかりました。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

昔の設計図だと、『支間長』での数字の記載が主になっていまして、支間長を合計すると、両橋ともに600フィート。永代橋と清洲橋はなんと、同じ長さでした。

支間長というのは、橋脚や橋台にある支点と支点の間の距離のことで、両橋とも橋脚が2つなので支間は3つ。特に清洲橋の支間長は、キリの良い数字で設計されていることがわかります。

 

右側だけ拡大してみます。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

橋の真ん中から橋脚の支点までの長さは、永代橋が165フィートで清洲橋は150フィート。15フィート違います。また、両橋から出ている縦ラインの柱や吊し材は、数を数えて単純に割ってみると、ともに15フィート間隔であることがわかりました。

これを見ていたら、清洲橋の曲線に合わせる所は、150フィートの間の部分でなければならないと思いました。つまり、永代橋のアーチの外側ではなくて、アーチの内側。図だと、★と★の場所を合わせば良いのです。

 

再度、合体させてみましょう!

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

少しずれている感じもしますが、見た目として先ほどよりも違和感なく合体しているように見えます。

しかも、15フィート毎の縦のラインが一体化しているのが綺麗ですし、永代橋のアーチの外側が清洲橋の路面と綺麗に接していて、とても合体感があります。そして、実は幅も同じくらいだったりする。まさかここまで綺麗に合体するとは思いませんでした。ということで、

『永代橋と清洲橋の合体成功!』

と個人的には思いたいのですが、いかがでしょうか?

 

不思議なのですが、この合体した図を思い浮かべながら写真を見てみると、永代橋を見れば清洲橋が見えてくるし、清洲橋を見れば永代橋が見えてくる。

くだらない発想から合体させてみただけなのですが、やったことによって隅田川の2つの橋の共通点が見えてきましたし、合体させて綺麗に合わさった瞬間、この2つの橋に対する当時の設計者の意図が読みとけたような気がして、何だかよくわかりませんが物凄く感動してしまいました。

なぜ清洲橋は美しいのか

隅田川に架かる橋の中で、最も美しいといわれる清洲橋。なぜ、美しいと感じるのでしょうか。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

左:永代橋  と 右:清洲橋

 

見る人によって様々な感じ方があると思いますが、設計図から見てみると、キリの良い数字で設計されているのがひとつの理由ではないかと感じました。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

橋の右半分の300フィートを切り取ってみた清洲橋です。半分に切り取ってもキリの良い数字なのです。そして、橋塔の頂点から均等に伸びるなだらかな曲線ですが、どこかで見たことはありませんか?

 

日本人の誰もが誇る山だと思いますし、外国人の方もこの山を見て感動されると聞いています。この曲線は、難しい用語で『懸垂曲線』と呼ぶのだそうですが、たぶん人類が見て、とても美しく感じる曲線なのだと思います。

 隅田川の永代橋と清洲橋を合体させてみた

そしてこの曲線を逆さまにすれば、永代橋の曲線になりますから、永代橋を見て美しく感じてしまうのは、また当然のことだと思うのです。