Hanes

現存最古の日本映画もみられる!
日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」


こんにちは。アクティブ特派員のHanes(ハネス)です。
先日、今年は日本オーストリア友好150周年にあたる年だとご紹介しましたが、その他にも記念すべき年を迎えたものがあります。
それが、日本映画です!

1897(明治30)年10月、小西本店(現・コニカミノルタ)が「活動写真器械の到着」という見出しで映画カメラの広告を雑誌に掲載。
同店の店員だった浅野四郎が、日本人として初めて映画フィルムの撮影・現像・焼付に成功し、顧客だった写真師の柴田常吉もいち早く映画の撮影に着手しました。
そして1899年6月、当時活動写真の興行で成功を収めていた広目屋(ひろめや)がこれに目をつけ、東京の本郷中央会堂歌舞伎座などで日本製活動写真の興行を開始。
これが日本映画の最初の公開とされており、今年はそれから120年目にあたります。

その記念すべき年の6月27日16時、明治時代の日本の貴重な映像を見ることのできるウェブサイトが公開になりました。

【トップ画像解説】
『日本橋
1897-1899(明治30-32)年頃 浅野四郎撮影 日本大学芸術学部映画学科所蔵
日本橋を南詰東側、京橋方面から撮影。浅野四郎が機械の到着後に初めて撮影したフィルムの一つとされています。鉄道馬車や大八車の往来のダイナミックさ、忙しげに行き交う人々の息遣いまでが鮮明に伝わってきます。また、現在の石造アーチ橋に架け替えられる1911年以前の記録としても貴重です。
(提供:国立映画アーカイブ)

ウェブサイト「映像でみる明治の日本」について

貴重な映像を見ることのできる新しいウェブサイト「映像でみる明治の日本」は、国立映画アーカイブと国立情報学研究所により制作されました。
このサイトでは、時代を記録した国立映画アーカイブのコレクションを多くの方に見ていただき、デジタル時代において貴重な映像を幅広く利活用していただくことで、歴史・文化への理解や研究の発展、新たな創造への貢献を促すことが期待されています。

ということで、歴史好きの私もサイトにアクセスしてみました!

 現存最古の日本映画もみられる!日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」

(ウェブサイト使用イメージ/提供:国立映画アーカイブ)


ウェブサイト(公開時点)では、明治期の日本映画をより身近に感じることのできる5本の動画配信が行われているほか、日本大学芸術学部映画学科のコレクションから発掘された「最古の日本映画」のフィルムのコマ(35mmフィルムの一部)を高精細画像にしたもの4枚を静止画のギャラリーで公開しています。

どれも一見の価値のある貴重な資料ばかりですが、今回はトップ画像の日本橋の他に、中央区に関するものをピックアップしてご紹介します。

『紅葉狩』

『紅葉狩』 現存最古の日本映画もみられる!日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」

(九代目市川団十郎(右)と五代目尾上菊五郎(左)/提供:国立映画アーカイブ)


最初にご紹介する動画は現存最古の日本映画で、2009年に35mm可燃性デュープネガが映画としては初めて重要文化財に指定された『紅葉狩』。
1899(明治32)年、前述の柴田常吉によって撮影されたこの映画は、歌舞伎座の「紅葉狩」上演にあわせて、九代目市川団十郎と五代目尾上菊五郎の至芸を記録したものです。
当時のフィルムの感度や照明技術の問題から、撮影は実際の舞台ではなく屋外に即製の舞台を組んで行われたといいます。

7分という短いサイレントの白黒映像ですが、歌舞伎役者の動きのしなやかさやキレのよさといった動きのみならず、ストーリー自体も生き生きと伝わってきます。
サイトでは動画内の注目ポイントも分かりやすく解説されており、私のような歌舞伎初心者にもやさしく、興味を持ってみることができます。

『日本南極探検』

『日本南極探検』 現存最古の日本映画もみられる!日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」

(明治45年6月20日 品川湾に帰航する開南丸/提供:国立映画アーカイブ)


この映像は、白瀬矗(しらせのぶ)陸軍中尉が率いる南極探検隊が、当時人類未踏であった最南の地点に到達するまでの偉業を1910-1912(明治43-45)年にわたって記録したものです。
この映像に出てくる南極探検船「開南丸」が出航したのは芝浦ですが、ケアリイさんがご紹介していたように、今年4月には南極観測船「しらせ」が晴海ふ頭に停泊したこともあり、中央区は南極観測船と関係があるのです♪

 現存最古の日本映画もみられる!日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」

(南極大陸で撮影されたアデリーペンギン/提供:国立映画アーカイブ)


今回このサイトで公開されているものは、日本南極探検40周年記念会が1950年に作成し、翌年に文部省が購入したダイジェスト版(19分)です。
後援会長の大隈重信や南極大陸のアデリーペンギンアザラシの姿も収められており、南極点到達を試みた数々の探検家たちに思いを馳せることのできる見ごたえのある作品です。

『忠臣蔵』

『忠臣蔵』 現存最古の日本映画もみられる!日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」

(浅野内匠頭、無念の切腹/提供:国立映画アーカイブ)


最後にご紹介するのは、1910-1915(明治43-大正4)年頃に撮影された『忠臣蔵』です。
こちらは、”日本映画の父”牧野省三”日本映画最初のスター”尾上松之助(おのえまつのすけ)のコンビによる現存最古の「忠臣蔵」映画です。
この映像内では、浅野内匠頭と大石内蔵助がいずれも松之助によって演じられています。

こちらもサイレントの白黒(一部染色)映像ですが、50分という大満足のボリューム!
中央区内にも「忠臣蔵」に関連するスポットがいくつかありますので、ご興味のある方はぜひ関連づけてご覧ください!

おわりに

このサイトの記者会見時には、貴重なフィルムのネガを見せていただくことができました。
今や代表的な娯楽として定着し、家に居ながらにして手軽に映画鑑賞ができるようになりましたが、日本映画が誕生したのはまだ120年前のこと。
その後の急速な普及と発展に驚かされるとともに、ますます日本映画に対する興味が深まりました。
サイトには今後もコンテンツが追加されるそうなので、皆さんもぜひアクセスしてみてください^^

 現存最古の日本映画もみられる!日本映画生誕120年記念サイト「映像でみる明治の日本」


映像でみる明治の日本
URL:https://meiji.filmarchives.jp/
制作:国立映画アーカイブ、国立情報学研究所
(「文化芸術振興費補助金(美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業)」による)
公開開始日時:2019年6月27日(木)16:00