滅紫

孝玉コンビの「土手のお六」と「鬼門の喜兵衛」ー四月大歌舞伎

待ちに待った桜もまだ5分咲きですが、舞台には南北の悪の華が満開です。四月大歌舞伎2日目。満席です。「桜姫」で玉三郎と仁左衛門さんの往年の孝玉コンビが復活してから「四谷怪談」「与話情浮名横櫛」と次々と名コンビの舞台が観られ、往年のファンも初めてご覧になる若いお客様も増えているのが分かります。

今月の「於染久松色読販」(おそめひさまつうきなのよみうり)は18世紀の初めに大坂で実際に起きた「お染久松」の心中事件を題材にしたものの一つ。この作品は「お染の七役」というお染を演じる女形の七役早替わりで上演されることが多いのですが、今回はその中の「土手のお六」と「鬼門の喜兵衛」が登場する「小梅莨屋」「瓦町油屋」「柳島妙見」の場の上演です。孝夫・玉三郎のコンビでの上演は昭和46年(1971)新橋演舞場が最初で前回は令和3年、今回が7回目です。昭和46年6月の共演がコンビ誕生の最初の作品だと仁左衛門さんがインタビューで語っています。強請の場面の悪党夫婦の息もぴったりでコンビの歴史の長さを感じさせてくれます。

続く「神田祭」もお二人のためにあるような作品で、ファンにはたまりません。渡しは最前列のまん中の席で見ていたのですが、初めてのコンビ誕生から53年、時の流れが止まってしまっているようです、

舞踊「四季」は九条武子の最後の作品とのこと。13年ぶりの上演です。

四月大歌舞伎は26日千穐楽(10,18日は休演)

昼の部 11時開演 「双蝶々曲輪日記」(引窓)「七福神」「夏祭浪花鑑」

夜の部 16時30分開演「於染久松色読販」「神田祭」「四季」

お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489、チケットWEB松竹まで