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トリビア満載!中学受験問題に学ぶ中央区関連の歴史と文化

[Hanes] 2019年2月18日 12:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
2月は節分やバレンタインデー等、季節の行事もありますが、
もう一つ何かを挙げるとすれば、それは「入試」ではないでしょうか。
大学もそうですが、私立の中学校でも入試が行われ、
先日の雪まつりでも「試験どうだった?」というデリケートな話を耳にしました

中学受験とは無縁だった私ですが、「中学受験の歴史(社会)の問題ってどんなものなんだろう?」と気になり、
参考文献(※記事の最後に掲載)に載っている問題をパラパラ見てみたところ、
おそらくセンター試験には出ないだろうというマニアックな内容がずらり...
今回はそんな問題の中から、中央区に関するものをご紹介します!




■2014年度 東京・早稲田実業学校中等部〈社会〉

日本食は健康的な食事として世界から注目されていますが、特に寿司はしゃぶしゃぶなどと共に日本食の代表として人気があります。握った酢飯の上に新鮮な魚介を乗せる「江戸前寿司」は、その名の通り江戸時代に確立しました。江戸末期に書かれた『守貞漫稿』という本には、当時の寿司として玉子巻き・のり巻き(かんぴょう)・車エビ・コハダ・マグロさしみ・エビそぼろ・白魚・アナゴなどの名があがっています。
寿司ネタは江戸湾(東京湾)でとれるもので、当時は冷蔵庫がなかったため、( ① )のように酢でしめたものや、エビや( ② )のように蒸して火を通したものが中心でした。今は人気の( ③ )ですが、当時は安い大衆魚で、格式の高い店では扱われなかったそうです。脂肪分の多い「トロ」は、腐敗するのが早いので猫も食べない「( ④ )」と呼ばれて嫌われたそうです。また、魚介にあう濃口醤油は、江戸に近い( ⑤ )・銚子で作られていました。

【問】文章中の( ① )~( ③ )は本文に出てくる寿司ネタから当てはまるものを選び、( ④ )は呼び名を、( ⑤ )は地名を、それぞれ答えなさい。






皆さん、いかがでしょうか?
勿論即答できる問題もありますが、中には考え込んだり、
「そんなの聞いたことがないよ」と言いたくなったりする問題もあったのではないでしょうか。(私はありました!)

気になる答えはというと...
①コハダ ②アナゴ ③マグロ ④猫またぎ ⑤野田

今では信じられないかもしれませんが、
今人気のマグロやトロは、江戸時代では下魚(下級な魚)やまずい魚として扱われていました。

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(今では高級なイメージすらあるマグロ

その一方、コハダは最も粋なものとされ、
「コハダの脂を食べなければ鮨の通人ではない、通人どころか江戸っ子ではない」と言われたほどだったそうです
詳しくお知りになりたい方は、参考文献をご覧ください。

④の「猫またぎ」は、魚が好きな猫ですら食べず、またいで通るほど味の悪い魚ということからきているそうですが、
仮に冗談であっても、個人的には検証してみたくなります




■2014年度 北海道・函館ラ・サール中学校〈社会〉

問1 次頁の図は、蘭学を学ぶ人が出島のオランダ人をまねて太陽暦の新年(いわゆる「オランダ正月」)を祝っているようすを描いたものであるが、これはいつごろのようすか。正しいものをア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
※図はこちら(早稲田大学図書館のサイトにリンク)をご覧ください。

ア. 1650年ころ イ. 1700年ころ ウ. 1800年ころ エ. 1850年ころ

問2 このオランダ正月についての説明文X・Yの正誤の組み合わせとして正しいものをア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
X. オランダ正月は、当時の一般の人々が祝う正月よりもおよそ1か月遅い時期である。
Y. オランダ正月を祝う会では、テーブルに西洋の食器があることや、いすに座っている人は和服を着ていることが図からも読み取れる。

ア. X - 正 Y - 正 イ. X - 正 Y - 誤 
ウ. X - 誤 Y - 正 エ. X - 誤 Y - 誤




こちらは本文や図に大きなヒントが隠されている問題ですが、いかがでしょうか。
「オランダ正月」について初めて聞いた方でも、おそらく解ける問題なのではないかと思います

それでは答えを発表します!
問1:ウ 問2:エ
問1は、蘭学が成熟したのは化政文化なので、1800年ころ。
問2のXは、寛政6年(1794年)11月11日を正月(1795年1月1日)としたことから誤。
問2のYは、いすに座っている人が洋服を着ているので誤。

早稲田大学図書館のサイトで図の「内容記述」を読むと分かる通り、
このオランダ正月の祝宴は、当時京橋区水谷町にあった
大槻玄沢鎖国中の日本にビールを紹介した人としても知られる蘭学者)の自宅兼塾である「芝蘭堂」で催されました
図中に見られる招待客の中には、杉田玄白や彼の弟子に加え、
ロシアから戻って数年の大黒屋光太夫(床の間の前で紙と羽根ペンを持ち、キリル語を書いている人)もいます
そのような状況が分かるこの図は、江戸における最初のオランダ正月を描いた貴重な資料として重要文化財になっています。

しかし、異国の江戸でオランダ正月が祝われ始めた頃...
オランダのネーデルラント連邦共和国自体は存在していたのか...
そのような世界史とも絡む歴史・文化の詳細は、ぜひ参考文献でご確認ください

【参考文献(引用元)】
瀧島有『あり先生の名門中学入試問題から読み解く江戸時代』(エネルギーフォーラム、2015)
※中央区立京橋図書館地域資料室で借りられます

 

 

満足度五つ星!「第20回中央区雪まつり」

[Hanes] 2019年2月17日 09:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
2月10日(日)・11日(月・祝)にあかつき公園で開催された「中央区雪まつり」に行ってきました。
隔年開催ということで、私にとっては中央区に引っ越してきてから初の雪まつり...
昨年末からずっと楽しみにしていました!

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開催前日の9日(土)は非常に冷え込み、ほとんど積もらないものの雪が降りました。
そんな中、東根市から届けられた雪の量はなんとトラック20台分
東京ではまず見ることのない量の雪に、大人でもテンションが上がります
今回はそんな雪まつりの様子をお伝えしたいと思います。

■雪遊びコーナー
こちらでは雪のスロープをソリで滑り、
東京に居ながらにして雪遊びができるようになっていました。
普段こんなに多くの雪を見ることのない東京の子どもたちからしたら、
大興奮だったのではないでしょうか

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ソリと同様、ミニスキーにも長蛇の列ができていました。
子ども用のスキー板やストックは中央区から借りることができるので、
お手軽にスキーを楽しむことができます

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その他、周囲では親子で雪だるまを作る等、
思い思いに雪遊びを楽しんでいる様子が見られました

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■ミニ動物
乗ることもできるポニーをはじめ、アヒルやニワトリ、
うさぎ等の可愛い小動物も遊びに来ていました

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■歌のコーナー、オープニングセレモニー
各日2回ずつ行われた歌のコーナーでは、
子どもたちも一緒になって楽しめる「パンダ うさぎ コアラ」をはじめ
色々な歌が披露され、ステージ周辺には笑顔の子どもたちがたくさん

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(個人情報保護の都合上、表情までお届けできないのが残念です。)

そして10日は、11:30よりオープニングセレモニーが開催されました。
少々タイミングを逃してしまったのですが、
中央区長と東根市のご当地キャラクターで果樹王国の王様「タントくん」にはお会いすることができました

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■東根市PRコーナー
あかつき公園の一角では、東根市の特産品が販売されていました。
その中でも特に多くの方が購入されていたのは啓翁桜
冬に咲く桜で、一足早い春を届けてくれる山形県を代表する桜です(なんと、出荷量は全国1位)。

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他には、山形産の果物を使用したジュースやフルーツワイン、お菓子等もあり、
一定金額以上購入すると参加できる抽選も盛り上がっていました

そんな中、私は山形銘菓「寿松」で有名な「松扇堂」さんの「けやき焼き(ずんだあん)」を購入しました。
その理由は...中央区と東根市には、けやきを通した交流もあるから

さくらんぼと柳の交流だけと思いきや、区政年鑑には、
2007年2月11日に、「中央区・東根市友好都市提携15周年記念 東根市の大けやき後継樹植樹式」が行われたことが記録されています

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肝心のお味の方ですが、甘さ控えめで、生地の風味がとてもよく、
ずんだあんには枝豆の他に白隠元豆も加わることで、
より「あん」らしさが出ていたように思います!

そして来場者の中には、この雪まつりを機にずんだを初めて知ったという方もおり、
改めてこのような文化的交流は意義のあるものなのだと感じました

■リサイクル自転車販売
「限りある資源を大切に」とのことから、10日の午前中にリサイクル自転車の販売が行われました。
購入希望者は11:30までに所定の申込書を希望の自転車についている封筒に入れ、
12:00から抽選開始となります。

今回はシティサイクルが大半を占める20台程が販売されていましたが、
この企画の魅力は何といっても、防犯登録料込みで自転車が1台6,000円(※その場で現金払いが条件)だということ

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申込者は各自転車に対し、2人~30人強とややばらつきはありましたが、多くの方が抽選に参加されていました。
リサイクル自転車でもキレイでしっかりメンテナンスされているものばかりなので、
自転車の購入を検討されている方には格好の機会なのではないでしょうか

こちらのテントは、翌日11日には京橋消防団PRコーナーになり、
リーフレットの配布等を行ったそうです。

■味のコーナー
こちらでは、雪まつり名物の「いも煮汁」、東根市の味「玉こんにゃく」といった郷土料理、五目ごはん、チャーハン・スープ、たいやき、おしるこ、ホットカルピスと、
大人から子どもまで楽しめる飲食物の配布が行われ、とても賑わっていました。

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年始に東根市を訪れた際
には、郷土料理らしい郷土料理を食べ損ねてしまったので、
私もいも煮汁と玉こんにゃく、そしてたいやきをいただきました

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いも煮汁は豚肉の旨味がとても効いていて、
中には「すき焼きっぽい!」とコメントする方もいらっしゃいました
適度に弾力があり、味がしみていた玉こんにゃくも美味しかったです

■おわりに
今回初参加となった中央区雪まつりは、様々な企画やコーナーが充実した冬ならではのイベントでした。
子ども向けという感じはありますが、老若男女問わず楽しむことができ、
隔年開催ではもったいない気がしたのは、私だけではないのではないでしょうか。

そして、「中央区にはこんなにたくさんの子どもがいたなんて!」と驚くほど、本当に多くの家族連れでにぎわいました。
中央区では歌舞伎や伝統のあるお祭りをはじめ、子どもも楽しめる貴重な機会がたくさんあります
お子さんとともに中央区を楽しんでいらっしゃる
先輩特派員のえだまめさんお染さんマダムはるみさん(50音順)の記事やラジオ出演時の会話から分かるように、
「中央区は子育てしやすい」ということがより理解できたような気がします

友好都市・東根市の魅力は、雪、グルメ、特産品等を通して知ることができましたが、
新たに入手した情報もあり、近々改めて訪問したくなりました

 

 

シドモアが見た中央区(2)時代の変化と無縁な予期せぬ掘出物とは

[Hanes] 2019年2月14日 14:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
前回に引き続き、シドモアが見た中央区にフォーカスしたいと思います!

■江戸の面影(p. 75)
この箇所では、江戸の面影が残る東京の風景について、
当時の海外の人から見た忌憚のない正直な感想がつづられています

「初めて目に入る東京の風景は、横浜の最初の風景と同様、旅行者をがっかりさせます。銀座、この商業地区のメイン通りは、[新橋]鉄道駅の反対側にある橋から始まって、東海道の北端・日本橋へまっすぐ延びています。日本橋は全国距離測定の交通原点です。道路の大分部に、外国を手本にした月並の建物、縁石、緑陰が並んでいますが、その道を鉄道馬車[馬車鉄]がプープー音を響かせ、軽乗合馬車がガラガラ走るので、街の風景をかなり不調和にしています。これは観光客の夢見た大江戸ではなく、まして東洋の大都会でもありません。漆喰壁、木造円柱、ぎらつく店の飾り窓、けばけばしい模造品の山、このありさまに観光客はすっかり面食らいます。」

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初読時には、「そんなに言わなくても...」となんだか悲しい気分になりましたが、
外国の風景を見慣れた人からすると、このような厳しい感想が妥当なのでしょう。
そしてまた、私たちが海外でラーメンやお寿司を食べた際に、
「麺がのびていて残念...」「酢飯の部分がパサパサで食べづらい...」と感じたり、
日本式や日本風だという建物や庭園に中国要素を見つけたりと、
「あれ、なんだかイメージと違う...」と思うその感覚こそ、シドモアも体験したものなのではないでしょうか
そんなシドモアはこの後に一言、こう続けています。

「しかし、大都市特有の秘密の場所がたくさんあって、時代の変化とは無縁の予期せぬ掘出物が見つかり、当初の失望感を償うに足る純日本的な宝物が手に入ります。」

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(1932年竣工の高級デザイナーズマンション「奥野ビル」)

つまり、海外(特にヨーロッパ諸国)を手本に変化する中にも、不変の純日本的な場所がたくさんあるということです。
現代の私たちからしても、路地裏や大通りから少し離れたところにある日本ならではの歴史的建造物は、
まさに知る人ぞ知る「秘宝(hidden gem)」と呼べる魅力的な場所なのではないかと思います
また、中には「迷わなければ見られなかった」素敵な風景もあるかもしれませんね。
そのような予期せぬ掘出物があるのも、まち歩きの醍醐味だと言えます

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(1929年竣工の都選定歴史的建造物「宮川食鳥鶏卵」)

今回ご紹介したシドモアのコメントは、現代の訪日観光客が日本に求めていること、
そして海外旅行に行く日本人が求めていることにもつながるような気がします飛行機

ガイドブックに掲載されている王道のスポットを巡るのも良いですが、
伝統文化体験ツアーや「暮らすように旅する」タイプの旅行の人気も高まっています
また、「ザ・お土産屋」のようなお店で綺麗に包装されたお土産を買うより、
地元人の間で定評のあるものを買いたいという声も前より聞かれるようになりました。
そういった意味では、訪日観光客が何を求めているのかを考えるうえで、シドモアのコメントは参考になるのかもしれません

『シドモア日本紀行』には、軍隊や築地外国人居留地の当時の様子についても、
海外の人ならではの目線からの記録が残っています。
中央区立図書館に蔵書がないのは残念ですが、一読の価値がある書籍です
次回は、シドモアが見た新富座を取り上げます!

【参考文献】
エリザ R. シドモア(著)/外崎克久(訳)『シドモア日本紀行』(講談社、2002年).

 

 

夜も輝く中央区:「マイ夜景スポット」を見つけよう!

[Hanes] 2019年2月11日 18:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
「中央区の夜景」と言ったら、皆さんは何を思い浮かべますか?
中央区の夜景八選や晴海ふ頭からの景色等、代表的なものが挙げられるのではないでしょうか。

しかし、夜景としてはあまり有名ではなくても、中央区にはつい写真に収めたくなる
夜ならではの輝きで魅せるスポットがたくさんあるのです
その中から、今回は最近撮影した4スポットをご紹介します。

【建物編】
■PLUSTOKYO
昨年11月にキラリトギンザの12F/RFに華々しくオープンした「大人の社交場」
STEVE AOKIやR3HABといった世界的人気DJもパフォーマンスを行う等、
東京2020に向けたナイトタイムエコノミーの創出ともなる話題のスポットです。

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DJというとクラブのイメージが強いかもしれませんが、
PLUSTOKYOにはレストラン、バー、ギャラリーもあり、
少し贅沢なブランチも提供する等、昼夜問わず様々な用途で楽しむことができます

私はまだ行ったことがないのですが、中央通りで人目を引くこちらのフロアは、
写真の通り、間違いなく夜ならではの輝きを見せてくれています

■パークシティ中央湊 ザ タワー(2017年11月竣工、地上36階建て)
近年、湊の再開発が進み、タワーマンションが増えつつあります。
その中でもひときわ目を引くのが、こちらの特徴的な形の屋上
調べてみたところ、ここにはスカイガーデンがあり、
周りに高い建物がない分、非常に開放感のある空間になっているそうです

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ここから一度、中央区の夜景を眺めてみたいものです。

【橋編】
■高橋
亀島川に架かる橋の中にも、夜は素敵にライトアップされる橋があるんです

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ブルーにライトアップされた橋も見所ですが、川面に注目してみてください
周囲には、灯りがついていないビルが多いにもかかわらず、
川に映るのは、「地下帝国」を思わせるようなブルーとホワイトに輝く幻想的な風景...
ついつい想像が膨らみますね

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■南高橋
中央区内の橋の中で、デザインがお気に入りの橋の一つです。
橋の一部を被写体にすると、少しだけ海外で夜撮影したような写真に仕上がります

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中央区内には、キレイな夜景が見られる場所がたくさんあり、そのような場所は既によく知られていますが、
目線や見方を少し変えるだけで、それらとは別に、夜輝く素敵な場所が見つかるはず
退勤時や夜の観光時に、ガイドブックに載っていない「マイ夜景スポット」を探してみてはいかがでしょうか


 

 

シドモアが見た中央区(1)鰻は時代と国境を超える

[Hanes] 2019年2月 9日 18:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
あっという間に2019年の最初の月、そして節分が過ぎ、立春となりました。
北陸地方では随分と早い春一番が吹き、中央区にも春の足音が聞こえ始めてきたのではないでしょうか

時代を経るにつれ、先日先輩特派員ジミニ―☆クリケットさんがご紹介していた二十四節気を意識する方は減ってきているのではないかと思いますが、
立春の前の約18日間のことも、「土用」と呼ぶことをご存知でしたでしょうか?
「鰻を食べる土用の丑の日は夏だから、夏のことじゃないの?」と思いがちですが、
実は立春、立夏、立秋、立冬の前、つまり年に4度巡ってくる季節の変わり目ともいえる期間のことを指します
それらの期間には皆さんご存知の通り丑の日があり、鰻、うどん、梅干しのように、
「う」のつくものを食べて栄養を摂り、体調に気をつける風習がありますよね。

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それでもやはり夏のイメージが強い土用、丑の日、「う」のつく食べ物ですが、
今ちょうどインフルエンザが流行しているということで、
体調を崩されている方に少しでも元気になっていただければという意味も込めて、
今回は現代日本人とは異なる視点から見たをテーマにしたいと思います

時は 1885年...銀座に日本初の電気灯が点灯して3年後のこと...
後にワシントンの桜並木を実現した人として知られるアメリカ人女性、エリザ・R・シドモアが日本の土を踏みました。
(名前をクリックすると、ナショナルジオグラフィックのサイトに移動します。)
中央区を訪れた際の見聞を含む『シドモア日本紀行』には鰻料理に関する記述(pp. 129-130)があり、こう書かれています

「見栄っ張りには向かない肩の凝らぬ午餐会といえば鰻料理のパーティーです。日本のホストは、仲間の午餐会同様、外国の友達も楽しませてくれます。エドウィン・アーノルド卿〔英国の詩人〕も、料亭"ゴールデン・コイ"での鰻重のおいしさを褒め称えています。このようなおいしい鰻料理は、ほかの茶屋でも楽しませてくれます。料理屋に入ると、客は全員水槽へ案内され、綺麗な水の中で鰻がのたくるのを確認し、真剣に好みの獲物を指示します。まるで籤引きのように不確定にも見えますが、長い包丁を手にたずさえて見守る板前は客の選定を素早く了解し、のたうつ生け贄をぐっとつかまえ、台所にある首切り台[俎板]へと、かどわかします。」

ここからは、鰻は100年程前もごちそうでしたが、今よりもカジュアルな料理だった様子が見て取れます
そもそもうな丼の前身である「うなぎめし」は、文化期(1804~1818年)頃に中村座の金主大久保今助の工夫により生まれ、
葺屋町大野屋が売り出すと、瞬く間に江戸の人気料理になったと言われています

「鰻料理の午餐会は鰻スープ[肝吸い]から始まり、黒鰻白鰻が交互に出され、要望に従いいくらでも新しく注文ができます。鰻は平らに裂かれ短い断片に切られて、炭火で焼かれます。黒鰻と呼ばれる代物は本来こげちゃ色ですが、焼かれる前に醤油に浸すので、そういう色具合になり、白鰻の方は醤油なしで焼かれたものです。雪のような御飯と食べる鰻丼は、人前に供される最高においしい食べ物です。大勢の外国人、とりわけ真価を認めるかの英国詩人は、この卓越した美味に賛辞を惜しみません。河岸にある茶屋[京橋(中央)区霊岸島の大黒屋]では、鰻料理コースを待つ間、手品師や舞妓による楽しい演出で日本の歓待を最高に盛り上げます。」

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ここからは、当時から肝吸いが提供されていたことや、鰻は海外の方にも人気の料理だったことが分かります。
また、先輩特派員CAMさんが以前ご紹介した霊岸島大黒屋にも言及されています。
(霊岸島は俗称「蒟蒻島」と言うそうです。美味しそうな響きですが、由来が気になる方はCAMさんの記事をご覧ください
残念ながら、この鰻屋さんは今は残っていませんが、当時は海外の方へのおもてなしも素晴らしかったようですね

19世紀初めには土用の丑の日に鰻を食べる習慣が広まったとされていますが、
鰻は日本人のみならず、海外の方も美味しいと思えるものだったようです。
そして時代を経た今、21世紀を生きる私たちにとって、鰻はちょっと贅沢な食べ物として愛されています。
よってタイトルにある通り、「鰻は時代と国境を超える」と言えるのではないでしょうか

中央区内には五代目 野田岩さんのように、江戸時代から続く老舗の鰻屋があります。
夏の土用にはまだまだ早いですが、今のうちからこだわりの鰻屋さんを探してみるのもありではないでしょうか

【参考文献】
エリザ R. シドモア(著)/外崎克久(訳)『シドモア日本紀行』(講談社、2002年).

【類似記事】
「中央区×スペイン」(2)~ロドリゴの見た日本橋~

 

 

バレンタインまでもう少し!中央区内ハートスポット6選

[Hanes] 2019年2月 8日 14:00


こんにちは。新人特派員の(ハネス)です
銀座や日本橋の百貨店を覗くと分かる通り、バレンタインデーが近づいてきました!
普段なかなか買えない海外のチョコをはじめ、可愛いスイーツが店頭に並んでいます。
近年では女性が自分用にちょっと贅沢なチョコを買う傾向が高まりつつあり、
チョコのバリエーションがますます豊富になっているような気がします

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(松屋銀座8Fにて購入。女子好みの王道で、インスタ映えも◎)

中央区内には美味しいチョコのお店が多く、ご紹介しきれないので、
今回は少し見方を変えて、老若男女問わず楽しめる中央区内のハートスポットをご紹介します。
インスタ映えはもちろんのこと、訪れたら幸せになれるかも!?

■銀座エリア
・GINZA SIX屋上庭園(銀座6-10-1)
特派員デビュー後最初の記事でもご紹介しましたが、
ハートは屋上庭園からも楽しむことができます(どこにあるでしょうか?)
知られているようで実はまだあまり知られていないハートスポットです

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【関連記事】
Hanes「春は銀座で恋愛祈願!」

・天賞堂銀座本店(銀座4-3-9)
皆さんご存知の通り、こちらのジュエリーショップの角には、可愛い天使がいます
こちらは1997年の天賞堂リニューアル時に設置された、彫刻家山田朝彦氏の作品です。
特派員の先輩方も度々ご紹介してきたように、季節によってサンタ帽をかぶる等、
日本人にとっても、海外の方にとっても、格好のフォトスポットとなっています

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(見慣れた天使になっても、近くを通るたびに写真を撮ってしまいます。)

さて、そんな天使ですが、何をお持ちかご存知でしたでしょうか?
勘の良い方はなんとなく想像がつくと思いますが、そうです。ハートの矢なんです!
「頭をなでると恋が成就する」という話を聞いたことがあるので、
頭をなでるついでにこちらのハートもチェックしてみてくださいね

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(天使の頭は、多くの人になでられてきたことを物語っています。)

【関連記事】
ジミニ―☆クリケットさん「『DESTINY鎌倉ものがたり』と天賞堂」
朱房の十手さん「春とはいえ寒くない?」

・中央通り(銀座通り)
実は、銀座のメインストリートでもハートが見られるようになりました!
その正体は、街路樹「カツラ」の葉です
残念ながら今の季節は見られませんが、暖かくなったら見に行きたいと思います。

【関連記事】
佃のうさこさん「銀座通りの街路樹が『カツラ』に」
ジミニ―☆クリケットさん「銀座中央通りの街路樹植替え」

・地名看板(今回は、代表して銀座3丁目の写真を使用します。)
こちらは見つけたらちょっと嬉しい「隠れハート」です
少々無理やり感があるかもしれませんが、見つけられましたでしょうか?

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答えはこちらになります!

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この他にも、何度も横を通っているあんな場所やこんな場所にも、ハートが隠れているかもしれません

■築地エリア
・築地本願寺(築地3-15-1)
意外かもしれませんが、こちらにも「ハートのようなもの」があるんです。
それがこちらで、本堂を含め敷地内の随所に見て取れます。

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さて、あえて「ハートのようなもの」と書いた理由ですが、
実はこれ、ハートではなく、「猪目(いのめ)」と呼ばれるもので、
古来より魔除け招福の意味合いで神社仏閣等に用いられてきました

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そして「猪目」という名前ですが、文字通り「いのししの目」に由来します。
今年は亥年なので、神社仏閣訪問時に猪目を探してみてはいかがでしょうか

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■晴海エリア
・晴海ふ頭
私はまだ見に行けていないのですが、こちらには連なるハートが見られるスポットがあるそうです
それが、先輩特派員五月雨ジョージさんがご紹介していた、自称「幸せを呼ぶパワースポット」
これはインスタに載せたくなります
詳しくは五月雨ジョージさんの記事をご覧ください。

さて、ハートスポットを6ヶ所ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
「ここ、行ってみたい!」と思える場所が1つでもありましたら幸いです。
バレンタインの季節だからこそ、百貨店に買い物をしに来たついでに、
中央区内でハートスポット巡りをしてみませんか