下も向いて歩こう!ちょっと不思議な「街燈」のフタ
新人特派員の苔です!
今回ご紹介するのは、道路に設置されたこちらの「フタ」。
どこにでもありそうなメンテナンスホールのフタの一種に見受けられますが、上段にはなにやら歯車のようなマーク。そして下段には「街燈」とあります。
「街燈(「燈」は「灯」の旧字体)」という言葉から推測するに、周辺の街灯をメンテナンスするために設置された穴を塞ぐ目的で設置されたものと考えられます。
実はこのフタ、中央区内の昭和通りにしかに現存しないとされる非常に珍しいものなのですが、よく観察してみると不思議なことが起きています。皆さんお気づきになりますでしょうか?
上段のマークは「アレ」…じゃない?
注目していただきたいのは「街燈」の文字の上に付いているマークです。
普段路上観察している方や都内をよく散歩している方であれば、このマークは「東京都(東京市)章」だろうと思うかもしれません。中央区では日本橋の獅子像が抱えていることでもお馴染みのあのマークです。
参考:月刊日本橋4月号 日本橋の麒麟と獅子の像 by おむおむ氏
しかし、よく見ると放射線上に伸びる線の数が街燈のフタは「8本」なのに対し、東京市章は「6本」と異なっています。
どうしてこんなことになっているのか、これには下の2つの説があるようです。
①都章(市章)を間違えて線を8本にしてしまった説
なかなかあり得ない事かもしれませんが、単に間違えてしまったという説です。
近年ではデザイン性を重視したフタも多く見られるようになりましたが、時代を遡るにつれて必要な情報だけわかればよいという考えのもと製作されたフタが多くなります。
発注時なのか製造時なのかはわかりませんが、誤ったデザインのまま作成し、特にそれを修正することなく実用化してしまったということです。
②「灯台」のマークを用いた説
このマークとまさにドンピシャのものが、地図記号で用いられる「灯台」の記号です。
灯台を上部から見たときに光が放射状に伸びる様子を図案化したものですが、明治42年(1909年)からほぼ現在の形で地図記号として利用されています。
言われてみれば街灯は小さな灯台に見えないこともないので、あえて灯台の記号を使ったのかもしれません。
たまには足元にも目を向けてみよう
今回写真で紹介したフタがあるのは「昭和通り」と「永代通り」が交わる「江戸橋一丁目」交差点付近。地下鉄日本橋駅D1出入口の脇に目的のものがありました(写真赤矢印下)。
この交差点の他に、宝町歩道橋の下などにも同型のフタを見ることができます。いくつ現存しているのか探して見るのも面白いかもしれません(ちなみに私は5箇所発見しています)。
昭和通りが開通したのは昭和3年(1928年)ですが、もしその当時から設置されていたものであれば、相当古いものとなりますね。
中央区には歴史的な「モノ」が点在しているのは皆さんご存知の通り。それは建物だったり、お店だったり、様々な姿で残っていますが、皆さんが見逃しがちな「道路」にもモチロン歴史が宿っています。
特派員ブログでは過去にも路上のフタを題材にした記事がいくつか掲載されていますので、足元の構造物に興味を持った方は是非こちらもご覧ください。
思いの外、深〜い世界が待っているかも知れませんよ。
参考:
一部残ってます。by パッシブたわし氏
中央区に “城“??? by パッシブたわし氏
中央区の歩道っておもしろい!31【マンホール編】 by 湊っ子ちゃん氏