[滅紫]
2012年2月23日 08:30
「槐」(えんじゅ)をご存知ですか?「槐」はマメ科の落葉高木で中国原産、夏に黄白色の蝶形の花をつけ、のち連珠状の莢を生ずる。蕾は漢方薬の原料](広辞苑)。銀座外堀通り(西銀座通り)の街路樹は以前はこのえんじゅが植えられていたそうです。
今回ご紹介するのはこのえんじゅの葉を象ったリーフパイです。
「風と土」は2009年創業で本店のあるのがこの西銀座通り。そこで当初植えられていたえんじゅに因んだパイを作ったということです。通常のリーフパイの2倍近くの厚みがあります。お店によると「国産小麦粉と100%北海道産バターのシンプルな生地を折り重ねアクセントに有機白胡麻を振った」とあります。「お菓子は風土にあり」と素材へのこだわりで最近人気が高くTVや雑誌での露出も目立つのでご存知の方も多いことでしょう。
リーフパイの箱の中に銀座の通りと街路樹の地図が入っていました。「煉瓦街の完成時、街路樹に松・楓・桜などを植えたがすぐ枯れたのでその代わりに柳を植え、それが根付いた。道路改修や火災などで何度か姿を消し、現在の柳は4代目」とたいていのガイドブックにあるので何となく「銀座の街路樹=柳」というイメージが固定していました。柳以外にハナミズキ、トウカエデ、コブシなどいろいろあるのですね。毎日のように銀座を歩いていながら桜の季節くらいしか街路樹を気に留めることがありませんでした(反省)。日毎に暖かくなるはず(?)のこれからの季節、街路樹を眺めながら散策という「銀ブラ」の新しい楽しみ方など如何でしょうか。それにしても街中のインフォメーションのところにある地図の通りの名前の横に「街路樹」の名前も入れてくれると嬉しいのですが。(マロニエ通りや柳通りなど通りについているのもありますが。)なお「えんじゅ」はみゆき通りと外堀通りに一部残っているようです。
写真は6個いりの箱(1.220円)カイエンヌクッキー(パルメザンチーズ味)(一袋500円)、焼ココナッツクッキー(一袋500円)雑穀サブレー(1個120円)
「風と土」銀座6-4-8 TEL6228-5731
営業時間月~金11:00~23:00、土11:00~19:00日定休
http://www.kazetotsuchi.com
[滅紫]
2012年2月17日 08:30
「東海の小島の磯の白砂にわれ泣き濡れて蟹とたわむる」
「砂山の砂に腹這ひ初恋のいたみを遠くおもひ出づる日」
などの歌で知らぬ人のない程有名な明治期の詩人・歌人の石川啄木は岩手県日戸村(現在の盛岡市玉山区日戸」に曹洞宗住職の長男として明治19年(1886年)2月20日に誕生しました。
昨年から「国際啄木学会」など関連イベントが始まっていますが、没後100年にあたる今年は縁の地の函館や釧路でもまた沢山の企画があるようです。
「恋と波乱に満ちた生涯」も良く知られているところですが、ちょっとおさらいすると、
― 明治35年上京。与謝野鉄幹の知遇を得て「明星」に詩を発表。20歳で処女詩集「あこがれ」を刊行。「天才詩人」と注目されたが、その後は職を求めて北海道各地を転々と流浪。41年再度上京、42年「東京朝日新聞」の校正係として就職。43年「一握の砂」発刊。実生活に根ざした1首3行書きの詩集は、没後発刊された「悲しき玩具」とあわせ近代短歌史上不朽の生命を持つ。45年没-(新潮日本人名辞典より)
郷里の先輩であるアイヌ語研究で名高い言語学者の金田一京助氏が蔵書や家財を処分してまで金銭的援助を惜しまなかったのも良く知られていますが、始終金の無心にくる啄木を子息の金田一春彦氏が「石川五右衛門の子孫かと思った」というのも有名な話のようです。お金を借りては放蕩三昧の生活をし、周囲からは「疫病神」のように思われていたらしいのですが、朝日新聞に就職してからは安定した生活になり(なおかつ借金をしていたそうですが)、歌の才能を評価され「出来るだけの便を与えるから自己発展をやる手段を考えてくれ」と当時の社会部長に言われた話が「啄木記念館」のHPにありました。そういえば昨年上演された「ろくでなし啄木」でも生活者としてはろくでなしの、でも愛すべき人間として啄木が描かれていました。
この朝日新聞時代に作った「京橋の滝山町の新聞社灯ともる頃のいそがしさかな」(初出東京朝日新聞明治43年5月5日号)の石碑が朝日新聞社の跡地に立っています。「没後100年」毀誉褒貶甚だしい歌人の短い波乱の人生に思いを馳せてみるのもいかがでしょうか。因みに昨年の「国際啄木学会」のテーマは「新しき明日、新しき啄木」でした。
歌碑は銀座6-6-7
朝日ビル(サンモトヤマが入っています)前の
路上にあります。
[滅紫]
2012年2月 3日 22:14
中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露の二月大歌舞伎が昨日2月2日幕を開けた。早速、開幕二日目の夜、演舞場へ。大入り満員と昼の部の終演が遅れたことも重なって、演舞場入り口前は人、ひと、ヒト。中村屋のハッピを着た劇場係員も整理に大童。積み物の薦樽を見ながら劇場へ。ロビー入り口正面からずらりと壁面に並ぶのはご贔屓からの「飾り絵馬」160枚あるそうです。劇場内にはお祝いの引幕が。まだ2日目とあって着物姿のお客さまが目立ち場内も華やかです。
今回六代目勘九郎を襲名する勘太郎さんは十八代勘三郎さんの長男、昭和62年(1987年)の初舞台の「二人桃太郎」がまだ目に残っているだけに「年とったな」としみじみ感じます。
父親の勘三郎さんが1代、46年間でこれほどに大きくした名跡ですからかなりのプレッシャーだろうと思います。さて、「口上」です。幕が開く前から凄い拍手が起きています。ずらりと並んだ大幹部から温かいはげましの言葉が、そして他の役者さんの襲名口上ではユーモアたっぷりで笑わせてくれる勘三郎さんが珍しく言葉につまったりするのが如何にも父親らしくてとてもいい感じでした。
新・勘九郎さんは夜の部では「春興鏡獅子」を勤めます。曽祖父に当たる六世菊五郎、父方の祖父先代勘三郎、母方の祖父の七世芝翫、父親の現・勘三郎さん(改めて凄いメンバーですね)と代々が得意にしてきた演目だけに演じる方もさぞかし大変なのだろうと思っていましたが、登場した途端「きれい!」と目を奪われ、奥女中に中村屋一門のお目付け役ともいうべき現役最長老93歳の小山三さんがしゃっきりとした姿を見せるとわれんばかりの拍手。そして後見には弟の七之助さんが。通常はお弟子さんが勤める後見を小道具を渡したり、汗をふいたりと本当に仲のいい兄弟なのだなとあらためて感じている内に一気に終幕に。お見事!
丁度節分でしたので豆まきと手ぬぐい撒きがあり、めでたく両方GETしました。てぬぐいは新・勘九郎さんが撒いたのを手に入れました!!
売店には襲名関連GOODSがたくさん並んでいます。今日はちょっと時間が足りず襲名記念チョコレートだけを購入。昼の部を観に来る時に他の商品の品定めをゆっくりしたいと思っています。タオルハンカチを全種類買っているヒトが居ました。
来月3月は平成中村座、9月松竹座、10月御園座、12月南座と襲名公演が続きます。歌舞伎界の名門のDNAを色濃く継いでいる新・勘九郎さん、父親の勘九郎さんとは違ったまた新しい勘九郎さんを見せてくれること期待したいと思います。大拍手。
夜の部は「鈴ケ森」「ぢいさんばあさん」、昼の部は「鳴神」「土蜘」(何と番卒が勘三郎、仁左衛門、吉右衛門の大ご馳走です!!)「河内山」
お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489 (10:00~18:00) 26日千穐楽
[滅紫]
2012年2月 2日 08:30
入館までの待ち時間30分、「清明上河図」前で210分という報道にビビッてはいたものの展示期間終了が近づいてきた雪の日の午後、東博に出かけました。
「入館待ち0分」を見た時は読みが当たったとほくそ笑んでいたものの、「清明上河図」前はそれでも180分待ち。
「清明上河図」の列の隣のレーン?から覗き見て雰囲気だけ感じて退散。それにしてもこの混み方は異常。「東博は貸出料にいくら払ったのか」と余計なことが気になりました。
ご高承の通り、「清明上河図」は北宋の徽宗皇帝が12C初めの開封(人口150万人)の都の繁栄振りを絵巻に描かせたものです。24cm、5mの絵巻に描かれた人は777人、人は5mm程度の大きさです。唐突な終わり方をしているので続きがあったのでは?と云われているようです。
そういえばと「熈代勝覧」を思い出しました。>ご存知の方も多いかと思いますが、こちらは地下鉄三越前駅の地下コンコース壁面に複製が約17mに渡り設置されています。
これは文化2年(1805年)当時の日本橋から今川橋までを東から俯瞰し、町人文化を克明に描いたものです。原画はたて43.7cm、長さ1232.2cm、地下鉄コンコースにあるのはこれを1.4倍に制作したもの。2009年に名橋日本橋保存会、日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会によって制作されました。
原画はベルリン国立アジア美術館に所蔵されています。1995年にベルリンの収集家が美術館に寄託し、1999年学芸員が日本の作品と確認したそうです。収集家に渡るまでの経緯は一切不明。資料によれば題字は書家佐野東洲ということがわかっているものの、絵師については現在のところ不明で北尾政演の名で絵師としても活躍した山東京伝ではないかという説が一般的とのこと。
「熈代勝覧」は熈(かがや)ける御代の勝(すぐ)れたる景観ーという意味で印から「当時の江戸の繁栄を後世に残す目的で制作された」と考えられているそうです。
では絵巻の一部を。
絵に登場する人物は1671人(誰が数えたの?!)
そのうち女性200人、人以外は野犬20匹、ウマ13頭、牛車4両、猿1匹、鷹2羽。買い物客、振り売り、辻占、読売、僧侶などがヴィヴィッドに描かれています。
説明によるとこの絵の真ん中で塗りの蒸篭様のものを重ねて持っているのは寿司売りだそうです。
細密な描写なので見ていても飽きません。
美術館と違って混雑もありませんのでゆっくりご覧になれます。おまけに入場料も不要です。江戸文化が一番成熟した時期の江戸の町にタイムスリップしてしばしの間遊んでみませんか。
場所:地下鉄三越前駅地下コンコース内