[滅紫]
2015年6月18日 09:00
6月16日は「和菓子の日」です。お菓子屋さんの入口ののぼりをご覧になった方も多いことでしょう。この「和菓子の日」のもとになったのが「嘉祥」です。起源については平安後期に仁明天皇が御神託に基づいて十六の数に因んだ菓子を神前に供え疫病を除け嘉祥と改元、その後、室町時代には「嘉定通宝の錢16文を賭して楊弓をした」とあります。江戸時代には年中行事となり登城日のひとつで、江戸城大広間で諸大名・旗本に菓子を配ったそうです。東都歳事記にも「嘉祥御祝儀、諸侯御登城。良賤佳節を祝す」とあります。「厄払いとして神に供えた菓子を食す宮中儀礼を踏襲したもの」とのことです。因みに「嘉定通宝」は宋銭で日本でまだ錢貨が作られていなかった頃宋から輸入していたものです。「江戸城大広間にお菓子2万個が並べ」(とらやのHP)とありますのでその前に正装した大名や旗本が将軍から麗々しくお菓子をいただくというのは想像しただけで何だか楽しいですね。庶民も「嘉祥喰」として16文で菓子や餅を求め食べるしきたりがあったとのこと。「疫をのがれ健康招福を願うめでたい行事」として定着していたようです。
たねやさんは御承知のように近江八幡市が本店で、東京進出は昭和59年(1984)なのでもう30年以上。すっかり東京に溶け込んでいます。そのたねやさんで「嘉祥」の日一日だけの限定発売の「吉兆嘉祥」を作っていらっしゃると伺い予約しました。初めてなのでわくわくしています。ちょうどお茶のお稽古の日なので仲間にも見せたいと思い2折求めました。1折6個入り800円です。こしあんを団子生地で包み、道明寺をあしらいました(お店の方の説明)。仲間にも大好評でした。
たねやさんは季節菓子も数多くの種類をお作りですが、中には「オリーブ大福」や「寒天トマト」といった洒落た創作和菓子もあります。6月末は「夏越しの祓え」につきものの『水無月』も6月29日30日2日間だけ発売されます。季節を感じさせてくれる和菓子を目と舌でお楽しみください。
たねや銀座三越店 TEL3535-9640
[滅紫]
2015年6月13日 09:00
関東地方の梅雨入りが報じられた翌日、律義に雨。こんな日にぴったりなのはそう美術館です。前から気になっていたミュゼ浜口陽三にでかけることにしました。水天宮TCATのすぐそばにあります。受付の方によると元ヤマサ醤油の倉庫スペースだったとのこと。版画家の浜口陽三は10代目社長の浜口儀兵衛氏の三男なのです。この美術館はパリ・サンフランシスコでの永い海外生活を終え帰国した彼の作品を展示する場所としてヤマサ醤油が1998年に開設したものです。浜口陽三といえば黒い背景に赤いさくらんぼや西瓜の作品がすぐ思い浮かびますが、このカラーメゾチントというモノクロのメゾチントに色をつける技法を開拓したのは彼です。今回は同じメゾチント作家の丹阿弥丹波子との二人展です。一階と地下60点の作品を見ると少し疲れます。この美術館は入口にカフェを併設していてカフェだけの利用もできます。入館料を支払うとカフェの割引券150円をいただきましたので、早速カフェに。「マーブル醤油アイスクリームセット」800円と「チーズケーキセット」900円のどちらにしようか迷いましたが、「ヤマサ醤油の黒蜜風しょうゆをバニラアイス混ぜ込みました」という案内につられこちらに決定。ガラス越しに降る雨を眺めながらコーヒーをいただくのはとても贅沢な時間です。
「雨の日には美術館」おススメですよ。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 日本橋蠣殻町1-35-7 開館時間 11:00~17:00(土日祝は10時から。月曜休み)
最寄駅 水天宮前 3番出口そば、人形町A2出口8分
浜口陽三・丹阿弥丹波子二人展は6月30日まで
[滅紫]
2015年6月 6日 18:00
六月は「新薄雪物語」の昼夜通し公演。役者が揃わないと上演できないと言われているお芝居ですが今回は菊五郎、幸四郎、吉右衛門、仁左衛門と凄い顔合わせとなりました。今日3日目のお昼にやってきました。まだ3日目なので役者さんたちの奥様がたも受付付近にずらりと勢ぞろいですっきりした着物姿を見ることができるのも楽しみのひとつです。満員です。もうひとつの話題は薄雪姫を昼の部の「花見」では梅枝さん、「詮議」では児太郎さん、夜の部の「広間・合腹」「正宗内」では米吉さんと今売り出し中の若手女形がかわるがわる演じること。昼の部は真山青果の「天保遊侠録」と夜の部は「夕顔棚」です。通しのお芝居は昼夜続けて見ていたのですが、さすがに草臥れるようになり夜の部は来週のお楽しみ。大顔合わせの贅沢な舞台をぜひご覧ください。
千穐楽は25日です。お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489 (10時~18時)