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中央区の産業遺産---晴海鉄橋--

[之乎者也] 2017年2月28日 14:00

江戸期以来文化・経済の中心地として発展してきた中央区には国指定重要文化財をはじめとして様々な史跡が残ります。主に商業地域として発展してきた中央区ですが、今回は産業に関わる史跡を訪ねてみたいと思います。2015年に「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されてから、産業に関する施設も世界遺産に登録されることが広く知られるようになりましたが、これまでにも外国(オーストリア、インド、スペインなど)では、現役の鉄道や橋が世界遺産に登録されています。中央区には土木遺産に認定されている永代橋、東洋一の可動橋としてのユニークさを誇る勝鬨橋などがありますが、今回の主役はこちらの橋、晴海鉄橋です。HarumiB7.jpg

晴海のトリトンスクエアから晴海通りを豊洲地区に向かって行くと晴海運河に架かる春海橋を渡ります。その春海橋の南側に寄り添うように掛かっているのが晴海鉄橋です。新しい春海橋や豊洲の高層マンション群とは対照的に錆びたアーチとコンクリート橋がインパクトのある姿を示していますが、こちらは昭和32年(1957年)に東京都港湾局晴海線として作られ、国鉄と臨港鉄道網を通じて結ばれる越中島(貨物)駅から晴海埠頭の間で、晴海埠頭で貨物船から降ろされた新聞巻取紙、輸入小麦、大豆、セメントなどを運ぶ貨物鉄道として活躍した鉄道の一部です(下記地図参照)。HarumiB2.jpg

 

【東京貨物専用鉄道路線網地図】(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

 

先に再開発が進んだ豊洲地区も、元々は石川島播磨重工業(IHI)の造船所でしたが、対岸の晴海2丁目地区でも、元々あった専用線、上屋やセメント工場などが徐々に撤去され、現在では高層マンション、晴海臨海公園などに生まれ変わりつつあります。HarumiB5.jpg

貨物輸送のトラックへの転換により平成元年(1989年)、港湾局晴海線はわずか32年の歴史を閉じましたが、その後も晴海鉄橋は、撤去費用の負担のためか、現在まで残っています。HarumiB3.jpg

【東京貨物専用鉄道晴海鉄橋】(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

 

もちろん現在では貨物線が廃止されたのでこの橋は使われていませんが、世界的に見ればこのような歴史的な橋が観光名所として生まれ変わっている例も少なくなく、隣接する晴海公園とともに、水の都中央区を象徴し晴海埠頭の歴史を語る遺産として残したい史跡です。対岸の豊洲の石川島造船所跡では、跡地にできた商業施設のららぽーと内で、もともとあった造船用のクレーンがライトアップされ、観光名所となっています(その様子は中央区からもよく見えます)。現在世界遺産に登録されている文化財にもかつては廃虚同然に放置されていたものを地元の努力でその潜在的価値を復活させたものも多く存在します(例:マカオのセントポール寺院跡やフランスのシトー派修道院など)。HarumiB4.jpg

【東京貨物専用鉄道晴海埠頭駅】(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

 

以下の写真は、まるごとミュージアムの時に船上から撮影した晴海大橋です。桁下ぎりぎりを通るスリル満点のクルーズでした。HarumiB6.jpg

【晴海鉄橋】

〒104-0053 中央区晴海2丁目春海橋西詰(最寄駅:地下鉄有楽町線・大江戸線月島駅から徒歩15分くらい)

 

 

 
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