風景画の最高峰はなんと言っても傑作「東海道五十三次」を描いた、江戸時代末期の浮世絵師、歌川広重です。
彼のもつ穏やかな画風は観るものの心をなごやかにします。
没後150年余。
のどかな6月の日曜日、今日の広重は、ここ佃島に現れます。
佃小橋、舟だまり、佃公園。
この下町情緒豊かな佇まいが日曜画家たちの琴線に触れるのでしょう。思い思いのタッチで愛用の画帳と静かに語り合っています。
佃島の「広重」たちが日がな一日、筆を運んでいるのを見ているとこの空間が他の喧騒から切り離され、まるで時がそこだけゆっくりと流れていくようです。
周辺は超高層マンション群ですっかり一変してしまいましたが、
昭和の面影を色濃く残し郷愁を誘うこのエリアは、休日の風景画家たちの心を捉えて放さないようです。