広重が描いた日本橋。
背後には美しく凛とした富士の姿。
・左:日本橋雪晴、右:する賀てふ(駿河町)
・いずれもネット・ウィキペディアから引用
江戸のシンボルに日本のシンボルをここまで大胆に重ね合わせるとは、華麗な感性と深い思い入れが伝わって来ます。
転じて、今の日本橋からは、高いビルにでも上らない限りその姿を見ることはできないのでしょうが、富士を思う心は実は街の中にもあるのです。
そこで、中央区にもあります、こんな富士。 3件ご紹介します。
まずは"世界湯富士"。
人形町の銭湯、世界湯さんの浴室の壁に描かれた富士山です。
青い空と海の間にある秀麗な姿は、西伊豆の雲見海岸からのものと思われ、湯船を海に見立てると、本当にこの光景の前にいるような気持ちになります。
次は"白雪富士"。
茅場橋の畔にある小西酒造さんのビル(白雪ビル)に描かれた富士山です。"山は富士・酒は白雪"にちなんでいるものと推察します。
蛎殻町交差点付近からの眺めが良く、特に今の季節だと午前8時前頃に東からの陽射しを受けて山の輪郭を模る黒い部分が金色に輝き、富士の姿がまるで白雪のように浮かんで見えます。
最後は"鉄砲洲富士"。
鉄砲洲稲荷神社さんの富士塚です。
社殿の右奥にあり、山頂まで登れるように造られています。山頂に置かれた祠は、はまさに富士山頂の浅間神社奥社を思わせ、江戸時代の人々の富士信仰への思いが、その存在感と共に感動的に伝わってきます。
(記事上の富士の呼称はあくまで投稿用の仮称であり、公称ではありません。) (ww)