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漱石のおもかげ

[海舟] 2009年7月10日 16:00

 

落語を好み、江戸情緒豊かな下町・日本橋をこよなく愛した明治の文豪・
夏目漱石の石碑が、ここ5、6年の間に、3基建立されています。

一つは、ここ日本橋三越本店屋上に設置された『漱石の越後屋』。

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朝日新聞連載中の長編 『虞美人草』 は宣伝効果もあり大きな反響を呼び、
三越はその名にちなむ 「虞美人草 浴衣」 を発売。これが大評判。需要が
多く生産が追いつかず大いに売れたようです。

また、コレド日本橋 (ここは三越のライバル白木屋跡) アネックス広場には
『漱石 名作の舞台』の碑。
青春小説『三四郎』では三代目小さんを聴きに寄席へ、秀作 『こころ』 では
往時のグルメ街・木原店で主人公達に食事をさせる場面を描いています。

そして、清洲橋たもとの中洲には 『漱石「猫」上演の地 真砂座跡』
が置かれています。「猫」とは、勿論、代表作 『吾輩は猫である』。

 いずれの碑文も早稲田大学の第14代総長・奥島孝康教授の
揮毫になります。若き日の漱石が、東京専門学校(現・早稲田大学)で
約3年余り、講師をしていたからでしょう。

江戸のこころと明治の近代的思考、漢学と英文学の融合。
高踏派というジャンルに色分けされる漱石ですが、その持ち味は
あんがい、江戸っ子気質、庶民の匂いのする洒脱さに隠されて
いるのかもしれません。