人形町の人形美術館「ジュサブロー館」をご紹介します。 「人形町」の名の由来は、江戸時代、この界隈に人形職人が多く住んでいたことから。辻村ジュサブロー氏は、日本を代表する人形作家、そして、人形町の最後の人形職人かもしれません。 美術館、と書きましたが、ちょっと違う...「辻村ワールド」といったらいいでしょうか。一歩中に足を踏み入れたら、もう別世界です。http://www.konishi.co.jp/html/jusaburo/home.html 入ってすぐ、氏が現在取り組んでいらっしゃる「平家物語」の人形たちが迎えてくれます。その人形たち、何とも人間くさい。悲劇の物語の登場人物たちが、酔っ払っていたり、笑っていたり、青ざめていたり。お喋りが聞こえてきそうな魅力的な人形たちです。貝殻が土台の人形もあります。見事な変身ぶりに、きっと貴女は貝殻と気付かないはず。展示室は1階と2階。残念ながら「新八犬伝」の人形たちは展覧会に行っていて留守でしたが、「十勇士」はじめ沢山の人形たちがいます。また1階奥は「目玉座」というスペースで毎月第三火曜日にシャンソンと人形の舞台コンサートが開かれるそうです。勿論、来月の予約をしましたよ! 運がよかったら、辻村氏にお目にかかれるかもしれません。館内は辻村氏のアトリエでもあるのです。作業台には細々とした道具や材料が所狭しと並んでいます。製作途中の作品も見られるかも、です。 そして、私は運がよかった!辻村氏が人形制作のお話を聞かせて下さったのです。辻村先生が歴史の講釈をして下さると、あら不思議、人形たちから「うんうん」と声が聞こえてくるよう。辻村氏の人形が人の心を掴んで離さない魅力があるのは、辻村氏がこうして歴史上の人物を研究し、心を持った人形にして制作しているからなのですね。子供心にも忘れられない思いを刻んだあの「八犬伝」の迫力も、こうして人形に「魂」があったからだったのですね。 ジュサブロー館は「人形町」(日比谷線、浅草線)または「水天宮前」(半蔵門線)から歩いてすぐです。ジュサブロー先生は着流しに銀のピアスの粋ないでたちです。お見逃しなく!