佃島を舞台にした小説、「佃島ふたり書房」(出久根達郎さん著)は、登場人物のひとりが渡船で隅田川を渡り、佃島にやって来るところから物語が始まります。
この「佃の渡し」の歴史は古く、開通したのは正保2年(1644年)、摂津国佃村(大阪市西淀川区)の漁民が、徳川家康に従って江戸に入り、佃島を築造した翌年のことでした。
佃島と江戸市中を結ぶ水上の足として始まった「佃の渡し」は、その後、江戸・明治・大正・昭和と時代が移っても、重要な交通手段として人々に利用され、 隅田川流域最後の渡し船として活躍していましたが、昭和39年(1964年)、 佃大橋が完成したのに伴い、320年間の長い役割を終えました。
現在、隅田川の両側、佃と湊にそれぞれ「佃島渡船」と記された石碑が建っています。昭和2年(1927年)、東京市がそれまでの手漕ぎ船を廃止して、無料の曳船としたときの 記念に建てられたもので、中央区民文化財として登録されています。
(左)佃側
(右)湊側
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「佃の渡し」からバトンを受けた「佃大橋」。
今週末(28日)に開催される東京マラソンのコースでは、ちょうど36キロ地点にあたります。
かつて渡し船に乗って隅田川を渡っていた古の人々が、32000人ものランナーたちが頭上を駆け抜けていく様子を見たら、どんなにか驚くことでしょう・・。