人形町交差点を少し堀留町方面に入った右側に、近代的なビルと古風な仕舞家(しもたや)風の店構えが並んでいるところがあります。
このあたりは、かつて〔玄冶店〕(げんやだな)と呼ばれた町並みです。歌舞伎の世話狂言『世話情浮名横櫛』(よはなさけうきなのよこぐし)に」すなわち、「お富さん」で有名な舞台です。通りにはその縁を示す説明板が設置されています。
先ほどのビルの1階部分には、1968(昭和43)年までこの地にあった、『人形町 末広』の跡を示す標識が埋め込まれています。
昭和の名人たちが芸を競った名物寄席でした。歌舞伎や落語に限らず、この辺りは江戸文化の風情を色濃く残す町です。
少し懐かしい気分に浸りつつ、散歩するのも楽しいですよ。