商業の中心地・
地元から愛され、住民とともに栄え、親しみのある商店街を、特派員が訪ねて、見て、聞いた商店街の"今日そして明日"。そのイキイキとした魅力と活力、とっておきの情報などをお伝えしている、
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◎特派員の商店街訪問(第13回)◎
安心・安全・清潔な街づくり/銀座1~4丁目並木通り会
新旧のお店が立ち並び、銀座の歴史を色濃く反映する通りである並木通り。晴海通りを境に、並木通りは1~4丁目と5~8丁目に大きく2つに分かれます。
今日は、独特な発展を遂げた、銀座1~4丁目並木通り会について、通り会の松崎会長にお話を伺いました。
①商店会の沿革はどのようなものですか?
銀座中央通りと並んで、銀座の1~8丁目を横断して1本でつながる並木通りですが、晴海通りを川に見立てると、1~4丁目と5~8丁目は対岸同士となり、街の組成(成り立ち)自体が違っているという歴史を持っています。
5~8丁目は、飲食店やバーといった個店が多く、それに付随してブランド店などが増えていったという街の成り立ちを持っています。
それに比べて、1~4丁目は新聞社や大きな会社などが居を構えていたため、比較的間口の広い土地が多く、建て替えが行なわれたあとも、大きなビルが点在する街並みになったという成り立ちを持っています。
商店会自体の創立は平成6年(1994年)で、銀座の中でも新しい通り会(商店会)です。
20年ほど前に、並木通りの歩道を広げて人が歩きやすい通りに変えようという話が5~8丁目から持ちあがり、大理石を敷きつめた歩道が出来上がりました。
その数年後に、1~4丁目でも歩道を整備する計画が持ちあがり、そのための管理組織である「銀座1~4丁目並木通り会」が設立されるに至りました。
歩道を広げて、街をきれいに保つことが目的で設立された歴史を持つ「通り会」ですので、商店が自然発生的に集まって出来上がった他の商店街とは成り立ちを少々異にします。
なお、1~4丁目の歩道には、インターロッキングというコンクリート製のブロックが敷きつめられています。
歩道の材料の違いを見ながら並木通りを歩いてみるのも面白いかもしれません。
②商店会の規模や特徴は?
商店会は1丁目から4丁目までの並木通りに面した部分になります。
現在の加盟店舗は約70店です。
現在、大きな商業ビルになっているところは、以前大きな会社があり建て替わったところです。
プランタン銀座(旧 読売新聞本社)、ベルビア館(旧 冨士フィルム)、ZOE銀座(旧 東邦生命)などの大きな建物と、比較的小さなセレクトショップなどが、うまい具合に混在しているため、メリハリが利いて、歩いていて楽しい通りになっていると思います。
また、路地に入ると庶民的な飲食店などがあり、高級店から赤ちょうちんまで、多岐にわたるお店が併存している、銀座ならではの魅力が堪能できる通りだと思います。
③お客様の層は?
近頃は、若い女性の来街者が増えてきました。
有楽町の駅前に出来た大規模な商業ビル(有楽町イトシア)から、プランタン銀座、マロニエゲート、そしてマロニエ通りを通って、銀座中央通りへと向う人の流れが、ここ数年で固定化しました。
その途中にある並木通りにも個性的なお店が増えてきたこともあって、マロニエ通りから並木通りへも人が流れるようになってきています。
並木通りでも5~8丁目は高級ブランド店が軒を連ねていますが、1~4丁目はセレクトショップや個性的な品ぞろえのお店が多く、結果的に若い女性を引き付けているように感じます。
④商店会で行なっている独自のサービスやイベントはありますか?
通りの美観を守るということを前提とした「通り会」であるため、商店会独自のサービスやイベント、そしてセールなどは現時点では特に行なっていません。
10月末に行なわれる銀座全体のお祭りである「オータム銀座」では、銀座1~4丁目並木通り会も協賛をしていますが、独自のイベントを開催するまでには、まだ至っておりません。
⑤会長の熱い想いとして・・・
「安心・安全・清潔」であることを、通り会として一番重要なことと位置付けています。
この3つが並木通りに来て下さるお客様への最大のサービスであると考えています。
「銀座に行けば、安全で、安心して買い物ができる」という街づくりを心掛けているとともに、並木通り1~4丁目だけでなく銀座の街全体として、この「安心・安全・清潔」を守っていかなければならないという共通した認識のもと、街づくりを行なっています。
また、外国からのお客様も増えてきていることから、「安心・安全・清潔」であることは、銀座だけでなく日本のイメージアップにもつながると考えています。
これからも、この3つのキーワードを守り続けて、より良い銀座になるようにしていきたいと思います。
<追加のお話>
商店会の中で一番古いお店は、松崎会長が社長をされている「松崎煎餅」さんとのことで、200年近くの歴史があるとのことです。
現在でこそ、おしゃれで最先端の並木通りですが、もともとは生活道路であったとのことです。
以前は、京橋に青果市場があったため、千葉方面から船で運んできた野菜を、木挽町の船着き場で大八車に載せ替えて、馬で引っ張りながら並木通りを通っていたとのことです。
また、昔は、並木通りの真ん中ほどに、馬に水を飲ませる水飲み場があったそうです。
このように、もともと並木通りは、お店が連なった商店街から始まったのではなく、生活道路が発展したのがその成り立ちだそうです。
今の並木通りからは想像もつかないお話でした。
<取材後記>
銀座の生き字引のような松崎会長ですが、とても柔らかい雰囲気で、インタビュー中もいろいろと気を遣っていただき、気が付けばインタビュー時間を大幅にオーバーしてしまいました。
昔からある老舗のお店だけでなく、新しく銀座に出店されるお店も、こよなく「銀座」という街を愛していて、より良い銀座にするよう個々でも努力されていることが良くわかりました。
銀座の散策がより一層楽しくなるようなインタビューでした。松崎会長様、本当にありがとうございました。