このほど新設された中央区教育委員会の史跡説明板を簡単に紹介したい。
つぎの「蔦屋重三郎「耕書堂」跡」(写真中)は、大伝馬町本町通りに立てられた。蔦屋重三郎は「蔦重」と呼称され、書店・版元・プロデューサーとして活躍した。寛延3年(1750)新吉原で生まれ、天明3年(1783)この地、通油町に進出し、地本屋として「耕書堂」を開いた。大田南畝、山東京伝などの戯作者や北斎、歌麿、写楽といった絵師の作品を出版してきた、江戸文化形成の立役者といえよう。
最後は、昨年9月設置であるが、「馬込勘解由屋敷跡」(写真下)で、宝田恵比須神社近くの大伝馬町にある。馬込勘解由は家康入府で江戸城内の宝田村(呉服橋御門辺り)を与えられたが、江戸城拡張でここ大伝馬町に移転してきた。南伝馬町とともに道中伝馬役を務めた。屋敷内には旧地の鎮守、恵比須神が祀られ、それが「べったら市」で知られる、現在の宝田恵比須神社となった。●巻渕彰