もし台東区を案内するならば合羽橋の道具屋街から浅草六区・浅草寺・仲見世・雷門へ,さらに地下鉄移動で浅草橋の日本人形店へ,と案内箇所を思い浮かべるのですが,さて中央区ならば?
改めて地図を見返し,日本庭園と魚食文化と伝統芸能と日本仏教が近い場所に在るのだな,と思います。固有名詞で具体的に説明すると,浜離宮庭園と築地場外市場と(閉場中ですが)歌舞伎座と,そして築地本願寺を組み合わせて案内してみようかな。
2013年春に歌舞伎座が新開場(きっと見学コースも備えてくれるよね!)する頃には,地震と放射能懸念に起因する日本来訪敬遠気運も薄れているのでは,と期待しています。
上述をふまえて,4月15日(金)に築地本願寺へ行ってみました。9月末まで本堂工事中ですが,参拝は朝9時から夕5時まで毎日可能です。古代インド様式の石造りの外観だけでも感動できますが,(客人側に宗教上等の制約が無ければ)参拝することで,より非日常感を味わっていただけるでしょう。また日本のお墓も彼らの異国情緒を刺激するはずで,忠臣蔵を知る歌舞伎ファンの客人なら,ハラキリで最期を遂げた四十七士の一人,間新六のお墓に抱きついた記念写真を欲するかもしれません。でも並んで写真を撮るなら,土生玄碩の墓碑(上の写真)の方が写り映えがすると思います。(こう言う私は不謹慎でしょうか)
他にも石造りの碑が境内に在る中で,「台湾物故者の霊」と銘打たれた,広い曲面台座上の球体が現代美術風で異彩を放っています(下の写真)。碑の裏側に回って由来を読むと,当初は『台湾各地に散在する日本人(中略)一万三千余人の遺骨が納められた』のですが,その後,『戦後故国(※台湾)へ引き揚げて亡くなった方あるいは台湾縁故者で戦前故国へ帰還して亡くなった方の遺骨も(※分骨して)昭和六十年九月以降ここに納めることにした』とあります。ので,台湾からの客人にはご案内したい碑です。但し,台湾語とまでは言わずとも,せめて中国語の説明看板があると良いのにな,と思います。