隅田川とセーヌ川の友好河川の縁に沿って、比較しながらも改めて中央区の魅力を再発見するシリーズの第3回です。(〝プロローグ〟は≪序≫の項をご覧下さい。 『隅田川とセーヌ川』≪序≫
川の流れにアクセントを与え、風景に広がりを与えてくれるのは≪島≫かもしれません。川岸から島を眺めるもよし、島に渡って一種の〝別世界〟を楽しむのもよし、というところでしょうか。
セーヌ川には有名な2つの島が浮かんでいます。一つは〔サンルイ島〕。落ち着いた古い町並みを残す小さな島です。散策しながらパリの雰囲気を楽しむのには絶好の場所です。
もう一つはパリ市発祥の地といわれる〔シテ島〕。著名な〔ノートルダム寺院〕を中心に、賑やかな観光スポットとしていつも多くの人が集まってきます。賑わいがあるというのはやっぱり都市の魅力ですね。
さて、中央区にもいくつか島があります。隅田川に浮かぶのは〔石川島〕と〔佃島〕。そもそもは江戸の海に浮かぶ浅瀬のような島だったとのことです。今では海から離れましたが、隅田川の下流の風景として馴染んでいます。
佃公園の一郭に昔の石川島燈台のモニュメントが復建され、風情を醸しだしています。〔石川島〕は江戸後期にかの〝鬼平〟こと長谷川平蔵の建議により「人足寄場」(無宿人の更正施設)が置かれたことでも有名です。〔石川島〕の名はかつてこの地に屋敷を持っていた旗本・石川氏の名に因むそうです。さらに明治近くになって幕府の造船所が置かれ、現在のIHIにつながっています。
〔佃島〕はこの広重の浮世絵にも描かれたように、江戸時代から風光明媚なスポットとして知られています。当時はちょっとした近郊気分を味わえたのではないでしょうか。
この島の歴史については、徳川家康公と摂津・佃の漁村とのつながりなど、多くの方が述べていらっしゃいますので割愛しますが、今でも古い町屋の雰囲気と人情を残す町として大切にしたいと思います。
両都とも、歴史と文化を今に残す島々の味わい深さをお伝えしました。
それぞれのお気に入りの場所を選んで、隅田川探訪をお楽しみ下さい。きっとますます魅力にひきこまれることでしょう 。