水面の高さから、東京の街はどう見えるのでしょう。
まち歩きの途中、橋の上から、流れる川面を見ながらそう思ったものです。
先日、中央区観光協会特派員を対象とした限定ツアー『Eボートdeエコツアー"水都 中央区"を体験しよう!』の募集がありました。
もちろん、即、参加を申し込みました。
Eボートという、10人乗りのオールを使った手漕ぎボートに乗るツアーです。
ルートは、亀島川を出発し、水門を潜り、日本橋川をさかのぼって、外堀に架かる常磐橋付近までの、往復90分ほどの行程です。
ライフジャケットを着込み、表情の引き締まった参加者に、ツアーを開催してくださったNPO法人地域交流センターの皆さんが、丁寧に事前指導をしてくれます。
一人づつ注意してボートに乗り込みます。
空気で膨らませたゴムボートなのですが、予想以上に安定性に優れていました。
これならば、お年を召した方も、安心して乗れます。
護岸の様子。係留された船舶。川に窓を向けた店舗。水面を飛び交う水鳥。
潮の満ち干きを目の当たりにし、スカイツリーのビューポイントに歓声が上がります。
コンクリートで高くガードされた両岸と、高速道路の曲線が空を覆う景色は、都会ならではのシーンです。
日本橋を水面から見上げたときは、胸が高鳴りました。
橋側面の獅子のレプリカが、こんなに近く見える。
焼夷弾が落ちて焼けた後が、橋の裏側に今でも残っている。
橋を通る人が、私たちに気づいて手を振ってくれました。
「わーい。こんにちは。」
視点が変わると、単純にはしゃげるものなのですね。
実は私、オールを漕ぐこと自体が、もう楽しくて。
大型レジャー施設の、何とかクルーズのようで。
ツアー終了後、都市における水辺の環境、景観保全、防災・緊急時対応など、視点を変えると見えてくる様々な課題を、地域交流センターの皆さんが、「都市の宝である、水辺、川」について、熱く語ってくれました。
舟運が輸送・物流の主役であり、河川、掘割が縦横に張り巡らされた江戸の町。
明治、大正、昭和と激動する時代の中で、様々に役割を果たしてきた河川。
河川の周囲の建物に残る、諸活動の痕跡。
そして現在も、先人たちから受け継ぎ、私たちが生活する空間でもある水辺。
多くの気づきがありましたが、とにもかくにも、Eボートをたっぷり楽しんでしまいました。