隅田川と友好河川であるパリのセーヌ川との比較を通じて、中央区の魅力を再発見しようという想いで始めたこの企画も「その5」を迎えました。
今回は≪塔≫をテーマにします。
パリで≪塔≫といえば、言わずと知れた〔エッフェル塔〕ですね。
1889年に開催された万国博覧会にあわせて建造されたこの塔は、提案者の一人であるギュスターヴ・エッフェル氏の名前から〔エッフェル塔〕と名づけられました。現在の塔の高さは324メートル。100年以上たってもその斬新なデザインと風格はパリの風景にアクセントを与えています。
当初は20年で解体される計画だったところ、軍事面での必要性から免れ、現在に至っています。
当初「パリの品格を害する」として建造反対の声が大きかったこの塔も、今ではすっかり風景になじみ、この界隈のセーヌ川地域は1991年に世界遺産に登録されました。
多くの映画や小説の背景としても日本人の記憶に残り続けてきました。塔が建っているのは港区ですが、今回のテーマである〝川からの眺め〟の視点では、中央区の風景の一つと言っていいでしょう。橋の上や船上から眺める〔東京タワー〕の姿は愛らしくも思えます。
東京のシンボルとして長くそびえてきたのは、無論〔東京タワー〕です。戦後復興が本格化した1958(昭和33)年に完成しました。高さ332.6メートル。
そして、来年5月に開業を迎える予定の〔東京スカイツリー〕は全高634メートル。自立鉄塔としてはもちろん世界一の高さを誇ります。
こちらの所在地は墨田区。しかし、この塔も隅田川からの眺めがとても絵になります。浅草界隈で間近に見上げるのもいいですが、隅田川を下って、中央区に入った頃にはちょうどよい高さに見えて、まわりの町景色に溶け込みます。これから多くの物語を生み出してくれることでしょう。
二つの都市にそれぞれ〝顔〟となる塔があり、川からの眺めが人々の憩いを誘っているのも、不思議な共通点です。澄んだ空にそびえる〝塔〟の姿が凛々しく望める季節です。