一月の東京は演舞場、国立、平成中村座、浅草公会堂、ルテアトル銀座と5館で賑やかに歌舞伎公演の幕が開いています。ルテアトル銀座では昨年に引き続き玉三郎さんの新春特別公演(26日千秋楽)が行われ、公演期間限定で特別メニューが用意されています。
B1ケーキショップでは公演演目の「妹背山婦女庭訓」に因み「三笠山」(5コ入り1,250円)、シェフパテイシエのオリジナルどら焼きです。お店の方の説明によると「銀座みつばちプロジェクトの支援で栽培されている無農薬のもち米(岡山・新庄村)のもち粉に沖縄の黒糖、ラム酒を加えた生地に熊本産の和栗を使ったクリームをサンドしたもの」とのこと。確かに和洋ミックスの従来のどら焼きの概念を覆す新鮮さです。
もう1点は「歌舞伎ギモーブ」(1箱1,050円)
ギモーブ(guimauve)はフランス語でマシュマロのこと。歌舞伎座定式幕にちなんだ、チョコレート、アプリコット、抹茶の3色。こういう遊び心が嬉しいですね。こちらは昨年から作っているそうです。そういえば海老蔵さんが出演できなくなった1月の舞台を玉三郎さんが座頭となり大入りとなったことはまだご記憶に新しいことかと思います。
現在歌舞伎座で使用されている定式幕は舞台左手から「黒」「柿色」「萌黄」、国立は「黒」「萌黄」「柿色」、中村座は「黒」「白」「柿色」です。中村座が一番古く初代の中村勘三郎が幕府の御用船「安宅丸」の幕を拝領し、それに柿色を加えて3色にしたのが始まりで、現在の歌舞伎座の定式幕は「森(守)田座」、国立の定式幕は「市村座」のものを踏襲しているといわれてきました。ところが最近「通説は事実誤認に基づいていて歌舞伎座のものが市村座、国立のが「森(守)田座」のものと色調が同じである」という学説が発表されているそうです。(松竹の公式サイト)これから検証が進めば長い間の通説が覆されるかも知れません。興味津々です。
皆様ご存知のことと思いますがルテアトル銀座の中央通りを挟んだ反対側の交番の傍に「江戸歌舞伎発祥の地」の碑があります。そうです。ここが猿若勘三郎が寛永元年(1624年)「中橋南地」に開いた芝居小屋があったところなのです。ご参考までに右は京都南座の入り口にある「阿国歌舞伎発祥の地」の石碑です。こちらは慶長8年(1603)。「江戸歌舞伎発祥の地」の碑の近くに「大根河岸跡」の石碑もありますので観劇前後にちょっと散策されてみては如何でしょうか。