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中央区にそびえる「富士の山」

[小江戸板橋] 2012年1月19日 08:30

新春を迎えると、すがすがしい気分の中で、必ず見たくなるものがあります。

雪をいただく、神々しい富士の姿です。

「一富士、二鷹、三なすび」は、めでたい初夢のベストスリー。

 

関東地方の冬は晴天が続き、高層ビルの窓越しに、引き締まった空気の中に立つ「富士山」を見ることができる日が多くあります。

 

絵のような姿に見とれてしまいますが、見れば登ってみたくなるもの。

とはいえ、日本一の高さを誇る富士の山。

おいそれと近づけるものではありません。

 

さあ、ここに登場するのが、中央区湊1丁目に鎮座する、鐵砲洲稲荷神社。

この神社の右奥、北西方向に進むと現れるのが、富士の溶岩を積み上げてできたミニチュア版の富士山。

富士塚です。

 

急な岩場を登ると、頂上に浅間神社を祀っていました。

登り口には、ご胎内(ぽっかりと開いた穴)も造られています。

現在は6メートルほどの高さで、裏手はマンションに囲まれています。

江戸時代の書物、「江戸名所図会」にも描かれたというのですから、山開きの旧暦6月1日には、なかなかの人出だったのでしょう。

 

富士塚と呼ばれる人工の山は、江戸時代から、富士信仰、富士講によって造られました。

関東地方を中心に広く分布しています。

街歩きの途中、品川区北品川の品川神社や、渋谷区千駄ヶ谷の鳩森神社、文京区本駒込の富士神社境内に、登りがいのある富士塚も見つけました。

 

遥かに仰ぐ富士山に、一度は登ってみたい。

でも、簡単には登れない。

ならば、せめて名残をうつす富士塚の頂上に立ちたい。

切ない夢を叶えてくれる、祈りの姿がうかがえます。