今月は東日本大震災からちょうど1年。各地で様々な企画・活動が行われています。
今日はそのひとつ、銀座のニコンサロンで開催されている「Remembrance 3.11」という連続企画展に行ってきました。「Remembrance 3.11」では、2月24日から3月26日までの間、8人の写真家の方々の作品の特別展と5つのシンポジウムを通して、写真の力で復興を支援しています。
3月14日から20日までは新井卓さんの写真展「Here and There ─ 明日の島」。新井さんが昨年来、福島とその周辺を何度も訪れて1枚ずつ撮影したダゲレオタイプ(銀板写真)で構成されています。
ダゲレオタイプとは、19世紀前半に始まった世界初の実用的な写真技術で、完全な鏡面に磨き抜かれた銀のプレートを直接カメラに入れて撮影し、水銀蒸気で現像するのだそうです。(Newsweek日本版3月21日号に掲載の新井さんご本人の記事より)
会場内に入り作品の前に立つと、灯りがともってひとつひとつの作品を鑑賞できるようになっています。照明を落とした会場に浮かび上がる、こちらを見つめる人々や動物の表情。作品のいくつかの背景はとても広くて何もない空でした。震災以前はきっとここに様々な建物や風景があったのでしょう。
ダゲレオタイプの特徴は、複製できないことと、像の左右が反転していること。私たちは誰しも複製できない存在です。そして私たちが日ごろ見ている左右反転の像といえば鏡の中の自分。新井さんの作品は、鑑賞する者自身の心をうつす鏡でもあります。
Here and There - 明日の島・新井卓写真展
会場:銀座ニコンサロン(中央区銀座7-10-1 ニコンプラザ銀座内)
開催期間:3月20日まで 10:30~18:30(最終日は15:00まで)