晴れた休日の午後、晴海埠頭に父と息子がいました。
子「お父さん、すごい。
この船、大き過ぎ。」
父「世界各地を結ぶ船だ。大きさは半端じゃない。」
子「このデッキから、紙テープを投げて見送りするんだよね。テレビで見たことがある。」
子「お父さん、向うにレインボーブリッジが見えるよ。」
父「いい眺めだね。橋全体が、はっきり見える。
去年、歩いて渡ったろう。この船が余裕で通れるくらいの高さだから、下を見た時、怖かったな。」
子「僕は、怖くなかった。」
父「そうかい。強いね。
橋の上から北の方向に、きらきら輝く建物が見えていただろう。
それが、ここ、晴海客船ターミナルだよ。」
子「覚えている。 きらきらって光って見えたんだよね。」
父「展望がいいので、5月の東京みなと祭や夏の東京湾大華火祭には、最高の見物場所になるんだ よ。
夜景もきれいだろうな。」
子「あの高い煙突はなに。」
父「あれは、中央清掃工場の煙突だよ。
ネットで検索してみよう。
177.5メートルの高さは、都内では豊島清掃工場に次いで2番目なんだって。
焼却能力は、1日当たり600トン。
余熱を『ほっとプラザはるみ』に供給しているんだ。」
あまり興味を示さない息子の顔をのぞき込んで、
父「イメージが湧かないかな。
無料の見学会があるから、今度、申し込んでみるか。」
子「それって、面白いの。」
父「面白いかと言われると、ちょっと困るけど。
焼却時に炎が走る様子など、規模の大きさには驚くだろうな。
学校や家庭・会社などから出たゴミが、どのように処理されるか。
それを知ることで、見えてくるものが違ってくると思う。」
しばらく間があって、
父「お父さんはね、震災後の状況を見ている。
言葉が出なかった。
テレビの画面なんかじゃ伝わらない。
だから、東京ががれき処理に、いち早く動いた事がとても嬉しかった。
胸を張れることなんだ。」
子「お父さん、春の海は穏やかだね。」
父「春の晴れた海。」
・・・海は世界につながっている。