いまどき、ありそうで、中々見つからないのが、「下駄やさん」だ。
月島西中商店街を、「月島駅」からのんびり歩くと、垂れ幕が四の部にかわる十字路に、いつも笑顔で迎えてくれるお店がある。
下駄やさん 「あづまや」は、創業から4代にわたり履物の暖簾を守り続けている。
主人の 楠香一さんと 奥さんの「サッチャン」が、
この店の笑顔の源。
行き交う人々に、「いい天気ですね」 「どちらへ・・・・?」「昨日はお世話。。。」と語りかけてゆく。
呼びかけられたひとたちも、足を止め、笑顔で答え、月島の賑わいを醸しだす。
「下駄」について伺うと、
はき方からの薀蓄、・・・・・・いや、本当目から鱗・・・。写真参照。
足の指は奥まで入れないこと。 指で下駄を挟む。 こうすると歩きやすいし、疲れない。これで下駄と足とのバランスが取れるそうです。
通信販売はしない、 とのこと。
お客さんの足を見て、鼻緒を挿げる。
そうしないと下駄が足になじみにくいそうだ。
私も昔、祖父母の履物を、思い出した。懐かしい形の(サッチャンの)下駄を見て、なにか風格もあり、またまた、目から鱗。
この店には、あちこちに、粋が感じられる。小唄の募集広告、浮世絵、・・・。
「素敵ですね。。。」、とほめると、「イヤー 暦を切ったんだよ。。」と笑って答える。
一緒に聞いているお客さんも大笑い。本物らしく見えるのは、主人の風格からかも。
主人が、「是非、見てほしいものがある。」と言って、工具箱の鋏と、クジ(抉)リ、を見せてくれた。
年代ものの鋼でできている。これ一本で気持ちよく、仕事ができるそうだ。今はこの工具も少なくなって、新しいものは望めないとのこと。
お店では、傘も販売している。100円とかの傘でなく、2000円以上の高価な傘。
傘も本物は美しい。
奥さんのサッチャンは、余暇に趣味を満喫している。 「落語」鑑賞 「ウエスタンダンス」など、お稽古事にも、下駄でカラコロと出かける。
何か、下町の「粋」が垣間見えてくる。
今年の夏は、佃島住吉神社の本祭り、その日を目指して一生懸命働いて、
祭に備えるそうだ。 二人とも氏子さんたちとの交流をとても楽しみにしている。
帰り際、主人に、「下駄を長持ちさせるには」 と問うと、
上目遣いに 「はい、...ハカナイこと ですよ」 なんて、答えてくれた。
皆さん 月島で、「カラコロ」下駄の音が聞こえたら、 「あづまや」さんが、すぐ近くですよ。
● 「あづまや」さん
住所 月島3-17-10 電話03-3531-0926
地下鉄大江戸線「かちどき」駅 月島駅から西中商店街へ・・・徒歩5分くらいです。