5月も半ばを過ぎると汗ばむ日が多くなってきました。「今日はもう単衣でもいいかな?」と着るものに迷う時期でもあります。そろそろ「衣替え」の季節です。袷を片付けようとして染みを見つけました。いつもは呉服屋さんに依頼するのですが、今回は散歩の途中で見つけた「悉皆屋」さんにお邪魔することにしました。ではちょっと薀蓄を。
現在では一般的に6月1日と10月1日を「衣替え」の日としていますが、元々は平安時代の「更衣」といわれる宮中行事から始まった習慣。当時は4月と10月の朔日を衣替えの日として冬装束から夏装束(10月は逆)としていました。この行事は宮中に限られていましたが江戸時代に入り木綿の普及によって着衣が多様化したことから幕府は武士に対する年4回の衣替えの日を定め、この習慣が後に庶民の間にも浸透し春と秋は袷、夏は帷子、冬は綿入れを着るようになった(「日本の暦と年中行事」より)とのことです。
「悉皆」(しっかい)というと字面から「悉皆成仏」など抹香臭い印象を受けますが「悉皆屋」はその名の通り、きものに関する「悉皆」(ことごとくみな)(染み抜き、洗い張り、染め替え)などを扱うお店です。江戸後期の風俗誌「守貞謾稿」には「京阪にありて江戸にこれなき生業」の中に挙げられています。
今回伺った「扇屋」さんは1898年四谷で創業、1936年に佃に移り営業されている100年以上も続く老舗です。染み抜き、洗い張り、染め替え、仕立て直し、およそ着物に関することは何でもOK.。HPに料金表も掲載されており、メールで見積もりをお願いすることもできるので、初めてでも安心です。「染み抜き教室」も開催されており、簡単な染み抜きは自宅でも出来るそうです。
いただいた着物や帯のサイズや色が「ちょっと」という時、ご相談なさってみては如何でしょう。箪笥の中で眠っていた「着物」が甦るのは楽しみですよ。
きもの工房扇屋:
中央区佃2-13-8 地下鉄月島駅 4番6番出口から3分
TEL3531-6892、FAX3531-6893(10:00~19:00) 第2,3土曜,日祝休み