「落語はお好きですか?」私は3年前からの新参ファン。好みの噺家も出来、少しずつ面白さがわかってきたところ。何度か聞いていると噺の中に出てくるお店や登場人物のいた場所に行ってみたくなりませんか?そんな方にぴったりの講座が、「名作落語で楽しむ江戸東京の世界」(中央区民カレッジ早大連携講座)です。第1回目は5月11日、「宿屋の富と人形町」。講師が噺の舞台となる宿屋のあった馬喰町、富くじ抽選の行われた椙森神社、富くじ興行についての説明をされたあと、志ん朝の演じる「宿屋の富」(平成6年収録)のDVD鑑賞。テンポのよい志ん朝を聞いているうち、部屋を暗くしているのとまだ抜けない時差の相乗作用で猛烈な睡魔に襲われ三分の一は夢の中!(講師、志ん朝さんごめんなさい)「宿屋の富」は落語の中でもよく知られた噺ですが、説明によると「元々上方で『高津の富』といった噺で二代目の小さんが東京に移したもの、従って場所も高津神社から椙森神社へ。志ん朝は湯島天神で演じています」とのことです。早速舞台に行ってみましょう。
椙森神社に向かう途中に幟がたくさん。例大祭の日だったのです。
神輿に出合えました。椙森神社は平安時代の創建と伝えられ江戸時代には烏森、柳森と並ぶ江戸三森のひとつに数えられ人々の信仰を集めていました。江戸時代に流行した富くじ興行の場所としても有名でよく時代小説にも登場しますね。江戸の富くじは一枚一分が相場で通常一等が100両。庶民にとっては高額(一両10万円として2万5千円です)であったため共同購入することも多かったとのことです。椙森神社には「富塚」の碑が建てられています。
また宿のあった馬喰町は馬市の立つ場所で公事宿も集中していたようです。人形町には「派手彦」(まだ聞いていません)に登場する板東お彦や「百川」の常磐津の師匠歌女文字も住んでいた「三光新道」もあり、昭和45年に惜しまれて閉場した寄席の「人形町末広亭」(創業は慶應3年)もありますので、落語の登場人物に思いを馳せながら「落語散歩」と洒落るのも如何でしょうか。「百川」は江戸後期に日本橋浮世小路(室町1丁目辺り)実在の料理屋でこの噺は「百川」が宣伝のために落語化したものと云われています。「高座」ならぬ講座の次回からは「百川」「佃祭」「小猿七之助」と続きます。図書館で志ん朝のCDを借りてきました。聞きそびれた三分の一を聞きながら「もっと早く落語に目覚めていれば生の志ん朝が聞けたのに。。。」残念至極!