中央区にも祭の季節がやってきました。この大型連休の真っ只中、1日~5日に〔鐡砲洲稲荷神社〕の例大祭が開催されました。
初日の1日の朝、参詣に訪れました。まだお祭の気配はほとんどなく、静かな境内に何人か地元の方の姿が見えました。これから徐々に盛り上がって、後半の"神輿渡御"や〝奉納こども歌舞伎〟などのお目当てへと続いていくんだという高揚感に包まれます。
隣の公園には〝宮元〟(湊一丁目・二丁目町会)のお神輿がお仮屋に安置され、出番を待っている様子が伺えました。
昭和11年製、行徳・第15代浅子周慶作という立派なお神輿です。
町内の誇りなんでしょうね、きっと。
パンフレットをいただきました。「平成23年例大祭」と書いてあるので「おやっ」と思いましたが、中に断り書きがあり「昨年3月6日に発行したものの大震災で祭が延期になりお蔵入りとなりました。資源を無駄にしないために再利用します」とのこと。なるほどと納得。改めて、今年の祭りにかける人々の想いが伝わってきました。
伝承によると、このお社の歴史は遠く平安時代にまで遡ることができるのだそうです。いくつもの変遷があって、江戸時代初期、1624(寛永元)年に現在地に近い場所に遷座したということです。当時の古図を見ると、確かに現在地とはやや離れた位置に〝稲荷〟と記されています。稲荷社から海を眺めたら佃島のほかには江戸湾が広がっていたんでしょうね。
この時代にはこの一帯は上方や各地から集まる諸物資の陸揚げの場所であり、船運の安全を願う人々の信仰を集めて賑わってきたということです。
なお、前述の古図には神社のそばに〔稲荷橋〕が記されています。今は埋め立てられた堀のあたりに、小さな石柱が残されています。往年の舟の行き交いや人々の歓声が遠く聞こえてきそうな、そんな懐かしさに触れたひとときでした。