いつでもどこでも同じ品物が買える―それは消費者にとって、とても有難いことですよね。
けれど、その日その時そこでしか手に入らない品が買える―れもまた嬉しいものですよね。
そう言うと、ブランド品やスィーツ等の「限定品」と思われるかもしれませんが、よく考えてみると、生鮮食品のほとんどは、天候など様々な条件に左右されるもの。
昨日と同じ物が、今日あるとは限らないはずですよね。
特に市場は、そうした変化がはっきり分かる場所で、思い通りの品が手に入らなかったり、思いもよらなかった品にであったり。
いつも意外な発見があって、毎日が「限定品」ばかりのワンダーランドです。
先日、久々に築地市場の『場内』に行ったら、思いもよらない物がありました。
それは「鮭のハラスの串刺し」
鮭のハラスは、鮪のホホ肉やカマなどと共に、かなり一般にも出回るようになってきましたが、串に刺した物は初めて見ました。
お店の看板を見たら、鰻・スッポン等を専門に扱うとなっていましたので、それで「串に刺す」という発想が生まれたのでしょうか。
自宅のグリルで網焼きにしたら、まるで焼き鳥感覚で、本当に美味しかったです。
ただ、お店の人からは「今日はたまたまあったけで、いつもあるとは限らないからね!」と言われました。
これこそまさに、限定品ですよね。
そして肝心のお目当ての品「生の本鮪のブツ」も入手する事ができました。
ちょっと遅くなってしまったので、いつも行くお店は、もう閉店してしまったかと心配だったのですが、「今日は忙しくて、なかなかブツ切りを小分けパックにする時間がなくて、ちょうど今出すところです」
そう、築地の場内市場では「早く行けば良い品が手に入る」というのは『シロウト』に限って言えば、大きな間違いなのです
早い時間帯は、プロの料理人や常連客に対応するので、お店の人たちは手一杯。
9時前後から、そうした人たちが退いて、9時半から10時位になると、ホッと一息つけるのです。
昔なら、そのまま閉めてしまうので、11時も過ぎれば、ガラガラになってしまっていましたが、最近では一般客や観光客が増えてきたので、お昼近くまで営業する店も増えました。
そこで、その日の半端な品などを、2~3人分用に小分けにしてパックにしたり、1キロ単位で売っていたものを、100gからでもいいよ~、となったりするのです。
時にはキャンセルになった品があったりして、値切るのは御法度の魚河岸で「安くしとくから持ってかない」なんて、お店の方から声をかけてくれたりします。
この日買ったのは、その二点の他に、シシャモと大船渡産のサンマの干物に合鴨の燻製にシュウマイ。
みんな、その日その時その場所に行ったからこそ、買えた品ばかりです。
自宅に帰って、買ってきた品々を冷蔵庫に入れる時、ちょっと大袈裟かもしれませんが、「今日は本当に良いものに出会えてよかった。
これらの品々に関わった全ての皆さん、有り難うございました」という気持ちになります。