6月に引き続き澤瀉屋一門の襲名公演が行われている新橋演舞場の7月の話題は何といっても3代目猿之助改め2代目猿翁の舞台復帰だ。6月は襲名口上で登場しただけだったがいよいよ舞台での復帰とあって芝居好きの挨拶は「いつ行くの?」である。平成16年2月(2004年)に病に倒れてから8年と4ヶ月ぶりの舞台。開幕3日目の演舞場に出かけました。
場内満員の盛況です。一幕目「将軍江戸を去る」の後は口上、
先月の舞台一杯の勢ぞろいと変わり襲名の3人と成田屋さんのお二人だけというすっきりした口上です。成田屋さんのお二人のユーモアたっぷりのご挨拶に場内大爆笑。
新猿之助さんの「黒塚」が終わるといよいよ「楼門五三桐」「楼門」の場です。浅黄幕が切って落とされると桜満開の南禅寺の楼門、海老蔵さん扮する石川五右衛門の名せりふが終わるとせり上がってきたのは真柴久吉役の猿翁さんです。場内割れんばかりの大拍手!!黒子がついて合引に腰掛けての登場です。超人的な活躍だった元気な猿之助さんを見ている身にはまだまだ不自由そうなお姿には胸が詰まる思いがします。でも舞台でもう一度元気な姿を見ることができるのはやはり嬉しいのひとことです。ついうるうるしてしまいました。まだ完全な回復とはいえない状態で舞台に立つことについては賛否両論があるとは思いますが、お客さまの大多数にとってはやはり嬉しいことだと思います。幕末期に脱疽のため両足切断のあとも舞台に立ち続けたという美貌の女形、三代目沢村田之助の話を思い出しました。幕が閉まっても拍手が止みません。カーテンコールで海老蔵さんと握手、そして現れた黒子は中車さん!舞台上でさらにもう一つの親子のお芝居が進行中だったのです。初日から連日のカーテンコールとか。観客に嬉しそうに手を振っている猿翁さんを見ると役者魂、役者の執念を感じさせられます。話題の舞台へ皆様もどうぞ。
29日千穐楽 お問い合わせはチケットホン松竹:0570-000-489(10:00~18:00)
昼の部はスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」です。