8日から開幕した西の「熱闘甲子園」、対する東の今月の演舞場では海老蔵さんが十役早替りの大奮闘!話題の「伊達の十役」が幕を開けています。「海老様いのち」の友人と二人で早速出かけました。
「満員御礼」の大盛況。幕開け口上では背景に「善方」「悪方」に分けた演じる10役のパネル を前にした海老蔵さんが、本外題の「慙紅葉汗顔見勢」(はじもみじあせのかおみせ)というのは「大汗をかきながら十役を早替りし紅葉のように真っ赤になった顔をお見せする」という 意味だと説明して
「だまし、だまされ」「殺し、殺され」「裁き、裁かれ」 十役を勤めるので日ごろの「10倍のご声援」をと締めると期待で場内が盛り上がるのがわかります。
この狂言は江戸の三大お家騒動として知られている伊達騒動を基にした「伽羅先代萩」と「累の怪談」を綯い交ぜにして南北が書いたもので「先代萩」の主要な登場人物、乳人政岡、仁木弾正、細川勝元など10役を文化12年(1815)に7代目団十郎が早替りで演じて大当たりを取ったと云われているものです。その後上演が途絶え昭和54年に明治座で先代の猿之助さんが復活上演し、以後猿之助さんの当たり役のひとつになっているのはご存知のことと思います。海老蔵さんは平成22年に初役、2年7ヶ月ぶりの再演です。2回目となると流石に早替りも慣れたものでいつ替ったのかわかりません。4時間近いお芝居で10役を50回近く早替りすることになるので体力的にも本当に厳しいものだろうと察せられますが、なんだかとても楽しそうに余裕で坊主姿の土手の道哲から高尾大夫へ、仁木弾正から裁き役の勝元へ、果ては宙乗りまでと大活躍。早替りがメインなので都合よくダイジェストされていて「先代萩」や「累」の話とは全く同じではありませんが、楽しめること請け合いです。
残暑を吹き飛ばす海老蔵さんの舞台を是非ご覧ください。
今月はお昼も南北狂言で「桜姫東文章」こちら福助さんと愛之助さんが共演です。千穐楽は23日。
チケットホン松竹0570-000-489(10:00~18:00)