「七世松本幸四郎 追遠」と銘打った10月演舞場公演は「勧進帳」の弁慶と富樫を七世の孫にあたる当代の団十郎さんと幸四郎さんが昼夜交替で勤めるのが話題。記録を調べてみると、1965年2月~4月に行われた「7代目幸四郎17回忌」は東京宝塚劇場、歌舞伎座、大阪新歌舞伎座と3ヶ月連続の大興行で当代の父親である七代目の3人の息子、11代目団十郎、8代目幸四郎、初代松緑が日替わりで弁慶、富樫を演じるという空前絶後の公演で女形が演じる義経も延若、雀右衛門、福助がやはり日替わりで演じ、3月の歌舞伎座公演前には日にちによる配役表が張り出され観客はそれを見ながらどの日にするのか悩んだという。ファンにとっては本当に嬉しい悩みだったことだろうと今読んでもわくわくする。
私が観たのは幸四郎さんが弁慶、団十郎さんが富樫、藤十郎さんが義経を演じる夜の部。太刀持ちの金太郎くんが可愛い。これで予定であれば染五郎さんが出ていたので孫、ひ孫、玄孫と揃ってさぞかし七代目も喜んだことだったでしょう。七代目は弁慶を生涯で1600回以上演じたとのこと、当代の幸四郎さんも既に1048回(本公演前)。余裕の弁慶でした。うっかりして最前列をとってしまったので花道で六方を踏む弁慶の後ろ姿を見ることになってしまいましたが。それにしても藤十郎さんはお若い。「本当に80歳?」と隣席の方と同時に口に出してしまいました。
来年4月開場の新歌舞伎座上演演目希望のアンケート募集中です。抽選で「開場式」の入場券が当たるそうなので応募してみようと思っています。ご興味のおアリの方は松竹HPをご参照ください。
夜の部のもう1幕は「御所の五郎蔵」です。今回は仮花道がないので上手と花道を使っての五郎蔵と土右衛門の出になるのと、めったに上演されない「五郎蔵内腹切」が出ます。平成15年以来です。
心中する2人が尺八と胡弓を弾きながら息絶えるーというちょっと無理と思われる設定ですが黙阿弥が小団次の「役者が困るようなものを」との依頼で書いたものとのこと。結果の気になる方は劇場へ。昼の部は「国性爺合戦」です。
お問い合わせ:チケットホン松竹0570-000-489(10:00~18::00)25日千秋楽