「歌舞伎の正月」といわれる恒例の顔見世が11月1日から始まりました。私が出かけたのは5日、2日から片岡仁左衛門さんが休演となり夜の熊谷は尾上松緑さん、昼の南与兵衛は梅玉さんが代役です。
梅玉さんは2ヶ月続きの代役。仁左衛門さんは10月の名古屋御園座の顔見世から始まって、11月の演舞場、12月の南座と3ヶ月続きの顔見世出演が予定されていたので心配なファンの方も多いと思います。代役の方も翌日からすぐ舞台に立つわけですから本当に大変。僧形姿の松緑さんが花道を引っ込むと熱演に大きな拍手が。いつまでもお若い藤十郎さんの「汐汲」の後は菊五郎さんの「四千両」です。安政2年(1855)に実際にあった江戸城のご金蔵破り事件を基にした作品で初演の時の富蔵役は五代目菊五郎。珍しいのは「伝馬町の牢内の場」で牢内の序列や風習、新入りに「牢の規則を読み聞かす場面など江戸時代の牢内の場面がリアルです。黙阿弥は実際に牢番人役を勤めた田村成義からの情報を基に書いたといわれています。昼は「双蝶々曲輪日記」「文七元結」です。今月は明治座も猿之助の昼夜公演。「顔見世」は季節の風物詩。今年一年も終りに近づいた感じが強くなってきます。昼の部を見るまでに仁左衛門さんが復帰できることを祈りつつ。
チケットホン松竹:0570-000-489(10:00~18:00)千穐楽は25日です。