2011年3月11日午後2時40分、みなさんはどこにいらっしゃいましたか? 私は日本橋三越前の地下コンコース、あの熈代勝覧の壁面のすぐ近くで、生れてこの方初めての長く激しい揺れに襲われましたが、奇しくもその同じ場所で『東日本大震災の記憶と復興』展が開かれています。(30日まで。無料。)
死者・行方不明者約2万人、家屋の全・半壊約36万戸・・・大災害から600日余りが過ぎましたが、各地に地震・津波の痕跡が残り、避難生活を強いられる方もまだ多数おられます。被災者・被災地への思いを「忘れない」、大地震と戦った日々を「風化させない」との思いで、このたびの大震災への対応や復興の状況を伝え、今後の被害軽減につながるようこの展示を行ったと主催者は言っています。
展示内容は、大震災の被災物(道路標識、時計など)や津波被災前後の写真パネル、復興活動の紹介パネルなどですが、石巻北上川河口や高田松原の写真は、何度見ても肌に粟が生じる感があります。
その他、興味深いものに東北の災害伝承の紹介があります。岩手・山田町の船越山ノ内「役の小角伝説」、宮城・多賀城市の「末の松山・小佐治物語」など、過去の大津波の経験から安全な避難場所を後世に伝えた伝説です。
契りきな かたみに袖をしぼりつつ 末の松山 波こさじとは (清原元輔)
百人一首でお馴染の歌です。末の松山を波が越える・・・ 起こりえないことのたとえにされる言葉ですが、東日本大震災でも周辺まで津波が押し寄せましたが、末の松山だけが浸水せずに残ったそうです。
※日本橋『東日本大震災の記憶と復興』展
●11月30日(金)まで。 無料
●会場 中央区日本橋室町1-3 東京メトロ三越前駅コンコース
●主催 「東日本大震災の記憶と復興」展実行委員会
●協力 名橋「日本橋」保存会 ほか
●企画 特定非営利活動法人全国街道交流会議
●後援 中央区 ほか
あの3月11日、地上の中央通りでは、翌日開かれる日本橋架橋100周年『江戸古町祭り』の準備が大詰めを迎えていました。私もイベントの一つ「はしご酒大会」の前売りチケットを買って当日を楽しみにしていましたが、祭りはあえなく中止。いずれ東北の酒と肴でのはしご酒大会を復活させていただきたいですね。
【写真上】 会場正面
【写真下】 地震直後、地上の様子(2時55分撮影)。何が起きたのか、まだ誰も知らない。