中央区にお住まいされている方、あるいは勤められている方の中で、自身が出逢って感銘を受けた人や共感した人などをご紹介していきたいと思います。
第2回の今回は、東銀座駅近くの飲食店で店長を務められている宮下正幸さんです。
築地の〔ADK松竹スクエア〕は近代的なフォルムが美しく、一階ロビーの開放感もとてもお気に入りです。大階段も印象的です。時々ドラマのロケにも使われています。
ここにはかつて松竹の映画館があって、〝寅さん〟シリーズ全盛の頃は多くのシネマファンが通っていました。今では飲食店とオフィスの入居するビルですが、3階には「松竹大谷図書館」があり、歌舞伎を中心に専門書や資料が収蔵される貴重な施設があります。
今日はこのビルの2階にある〔串焼・炭火焼肉 Yagura〕をお訪ねします。前述の1階ロビーからエスカレータをあがると、ゆったりとした導線の先に落ち着いたエントランスが見えてきます。和風のセンスを活かしたしっとりとした雰囲気は、仕事の得意先との商談だけではなく、家族団らんにもピッタリです。
店長の宮下さんはタフで優しいリーダーとして従業員の皆さんに慕われています。ほとんど休みなしにこの店を守り立てるために頑張っていらっしゃいます。いつ訪れても笑顔を絶やさず、お人柄はソフトですが、店内の隅々まで眼を光らせて状況把握されている姿は厳しいプロフェッショナルを感じます。
宮下さんの座右の銘は「公認無私」だそうです。何でも昭和天皇のお言葉だそうですが、意味合いとしては自らのわがままを捨ててみんなのために尽くすということかと思います。ホスピタリティの意訳としてその世界の権威である力石寛夫さんが取り上げていらっしゃったとも伺いました。いずれにしても、サービス業の原点である「おもてなしの心」を追求し、それをどう形にするかを宮下さんは考え続けているんだな、と実感しました。
最後にお店を出るときに玄関口まで見送ってくださった宮下さんは、短くても心のこもった挨拶をして下さいました。いただいた食事にはもちろん満足しましたが、やっぱり食事は良い環境でいただくことが大切だと納得しました。お店の皆さん、お世話になりありがとうございました。