中央区にお住まいされている方、あるいは勤められている方の中から、素敵な人をご紹介することにしています。今回は第3回目です。
お訪ねしたのは、銀座2丁目にオフィスを構える「飯沼総合法律事務所」の顧問であり、法学博士である胡健芳さんです。
銀座のメインストリートにひときわ眼を引くオシャレな〔ティファニー〕のビル。その7階に「飯沼総合法律事務所」が入居されています。ある日の夕方、こちらに胡さんをお訪ねしたところ、気さくにインタビューに応じていただきました。にこやかに丁寧に対応していただいたので、少し緊張していたぼくの気持ちもすっかり和らぎました。
胡さんは、中国・上海のご出身。名門・復旦大学をご卒業後、海外への留学を決意されました。米国、豪州、日本の3国に絞り込んだ結果、日本に決められたそうです。日本を選んでいただき、嬉しく思います。ただ留学前には日本のことをそんなに詳しく知っていたわけではなく、日本語もほとんど話せなかったそうです。そんななか勇気をもって決断し実行された行動力に頭が下がります。
日本では上智大学で法学を学ばれました。大変良い先生にめぐり合えたそうです。その後も法律の勉強を続けられ、今では、諸外国とのビジネスにおける契約のアドバイスやコンサルティングを主なお仕事にされているとのことです。著書もいくつか上梓されています。海外ビジネスがますます進化する現代においてはご活躍の場が一層拡がっているようです。
トム 「海外でのビジネス展開において必要な考え方はどのようなものでしょうか?」
胡さん 「哲学+ビジネス+法律の3つがきちんとつながることです」
トム 「そうですね。うっかりすると目先の利益に眼を奪われて本当にやりたかったことを見失うことにもなりかねませんね。〝哲学〟って大事ですね」
胡さん 「そのとおりです。何か迷ったら一度原点に戻って考えてみるということが大切です。すなわち〝哲学〟の無いビジネスは長続きしません」
胡さんは「ビジネスには〝哲学〟が大事」とおっしゃるように、普遍的な価値について深く考察されているようにお見受けしました。事実、高校時代から興味があったという「兵法」をどうビジネスに生かせないかと思案されているとのことです。日本でもよく知られている「孫子の兵法」のほか、有名な「兵法三十六計」の一部を教えていただきました。36のうちの一つ「抛磚引玉」というものは「価値の無いものを敵に渡して、価値の高いものを手に入れる」という意味だそうですが、確かに現代の外交やビジネスでも使える教訓だと思います。ちなみに「三十六計逃げるに如かず」という言い草はこの兵法には直接関係無く、恐らく誰かが「兵法どころかとにかく逃げろ」というような意味で用いたもののようです。
胡さんと話していると、けっこう話が弾んで、とてもリラックスした気分にさせていただけました。胡さんのお人柄だと思います。日中間では政治的にはギクシャクした部分もありますが、こうして身近なところから心を開いて交流することの重要性を再認識しました。隣国同士なんですから〝日中友好〟を進めたいものです。
帰りがけに胡さんに〝おすすめのランチスポット〟を教えていただきました。同じ銀座2丁目にある〔ミキモトブティック〕3階にある〔ミキモトラウンジ〕。1,500円でゆったりと豊かなランチタイムを愉しめるとのことです。う~ん、確かに素敵そうだけど、男一人では入りにくい感じがします。でも一度訪れてみようと思いました。
胡さんとの爽やかな会話を終えて銀座の町に足を踏み出せば、夏の宵の薄明るさの中に都会のおしゃれなセンスが風に舞っていました。