「昔ながらの喫茶店が少なくなった」という話をしていたところ、「自家焙煎の美味しいコーヒーを飲ませるお店がある」という友人に案内されたのがこちら、「十一房珈琲店」です。
お店に入る前から珈琲のいい匂いが漂ってくるのは入り口に焙煎室があるからです。一階なのですが入り口が少し奥まっているため気をつけないと通り過ぎてしまいそうです。
一歩入ると、少しレトロな雰囲気のインテリアで統一された空間に静かにオールドジャズが真空管から流れていて、外堀通りに面した銀座の街中とは思えません。
広いカウンターの向こうにはコーヒー豆の入ったガラス瓶がずらり。瓶のラベルを見るとタンザニア、ケニヤ、ブラジル、グアテマラ、メキシコ、インド、スマトラなどなど、居ながらにして世界の旅が出来そうです。私は「期間限定」のボリビア産コパカバーナ(800円)を友人はいつものイタリアンロースト(650円)をお願いしました。注文の度毎に豆を量って挽き、ネルドリップします。銅製のポットから少しずつお湯を注いでいくのは結構な力技。
「腱鞘炎になりそうだ」と冗談のつもりで話していたら実際に腱鞘炎にかかったことがおありとのこと。さあ出来上がりです。カップは何とウェッジウッドです。お勧めのガトー・ショコラを一緒にいただきました。次々と来るオーダーに応えているドリップの手許を眺めているだけで飽きません。
少しお客さまが落ち着いたところで女性の店長さんにお話を伺いました。
お店の創業は1978年なので35年営業されているとのこと、店名のCAFÉ BECHETはファンだったジャズのシドニー・ベシェットから取り「十一房」は孔子の言葉に由来しているそうです。追加で今度は私はフルシテイロースト(650円)を、友人は同じイタリアンローストを。今度のカップは白磁です。ウエッジウッドのホテル仕様のものとのこと。気のせいかコーヒーの温度が先ほどと違っているような。・・・伺うと「お砂糖とクリームをお使いの方には冷めやすいので少し温度を高めに、ブラックの場合はすぐに飲みやすいように少し温度を下げています」!!素敵な心配りですね。時々「ぬるい」というお客様もいらっしゃるそうですが。・・・・
真空管から流れるどこか懐かしいジャズを聴きながらドリップの芸術的ともいうべき手許を眺めていると静かに贅沢な時間が流れます。気がつくと「あらこんな時間!」。気持ちの良い午後のひとときでした。
次回は10年以上寝かせたヴィンテージ、'93ペルー(1000円)を試してみたいと思います。(実はコーヒー豆にヴィンテージがあるというのは恥ずかしながら本日初めて知りました。)
銀座一丁目4番出口のすぐそばなので美味しい珈琲とゆったりとした時間を楽しみたい方は是非のぞいてみてください。勿論珈琲豆の販売もしています。
十一房珈琲店 CAFÉ BECHET
銀座2-2-19 藤間ビル1F TEL3564-3176
平日10:30~22:30、土日祝12:00~21:30