九月の演舞場は、昼夜ともに幸四郎丈の悪の華がみられる。 そして昼夜ともに頭を丸
めた僧侶の役どころである。 昼の部は 「河内山」、 夜の部が 「不知火検校」 である。
「河内山」 は仁左衛門丈や吉右衛門丈も演じられるが、夜の部の 「不知火検校」 は
昭和52年2月に新橋演舞場で 十七世勘三郎丈が上演されて以来となるそうです。
「不知火検校」 は桁違いの極悪人で、 強請・殺人など 悪事の限りを尽くし 師匠の不知
火検校をの殺害を手引きして盲人の最高位である検校に上り詰める。 不気味なほどに極
悪な按摩さんを 幸四郎丈が憎々しく、そして悪の持つ輝きを魅力的に演じておられます。
目の化粧もうまく雰囲気がでていますし、 なにより役に徹していらっしゃいます。 歌舞伎
以外の舞台の経験も上手くいかされて なんとも渋い、いい男で演じていらっしゃいます。
男の華をごらんになられてはいかがでしょうか。
この舞台では坂東三津五郎丈が 「元禄忠臣蔵」 や 「馬盗人」 をおやりになる予定で
たが、膵臓に腫瘍が見つかり 入院加療のため 代役となっています。