今年4月に開場した第五代目の歌舞伎座。
外見は四代目を踏襲しながら、内部はエスカレーターやエレベーターができてバリアフリーになったり、女性トイレが増えたり、座席が広く見やすくなったりと、様々な改良がされています。
そんな中で、以前の歌舞伎座になかったのが、5階の屋上庭園と4階回廊の「想い出の歌舞伎座」の展示です。
嬉しいことに、ここは地下の木挽町広場と同様に、芝居のチケットが無くても、無料で入ることができます。
木挽町広場から専用エレベーターで行ける屋上庭園は、真ん中の芝生を囲んで、以前の歌舞伎座で使われていた「鳳凰」の屋根瓦や、河竹黙阿弥の家にあった石灯籠などが配されています。
そこから赤く塗られた階段を下りれば、4階回廊には「想い出の歌舞伎座」というタイトルで、明治22年に建てられた初代から、つい最近の四代目までの歌舞伎座の模型や、昔の名優たちの舞台写真などが展示されています。
ところで、5階から4階に下りる、この赤く塗られた階段は、南禅寺山門から「絶景かな、絶景かな」と言った天下の大泥棒、石川五右衛門にちなんで名付けられたそうですが、階段の途中で見ることができる「屋根瓦」に、ある秘密が隠されています。
なんとそれは、瓦の先端の「鳳凰」の中の一つだけが、頭が逆を向いているというのです。
もともと「鳳凰」は歌舞伎座のシンボルで、建物や内装、提灯など、色々な物に使われています。
いったい、どこが違うのか?
目をこらして見ても分からなかったので、近くにいた係りの方に伺ったところ「右から7番目の瓦のの先端です」とのこと。
あらためてじっくり見ると...。
有りました~!
確かに羽や胴体の向きは同じなのですが、他のが頭が右を向いているのに、ひとつだけ、反対の左を向いているのです!
ちょっとした遊び心なのかもしれませんが、見つけた時は本当に嬉しくなってしまいました。
この瓦は「幸せの鳳凰」と呼ばれているそうですが、確かに、四ツ葉のクローバーを見つけた時のように、ちょっぴり幸せな気分になりました。
特にお芝居を見るわけではなくても、歌舞伎座の近くでちょっと時間があったら、この「幸せの鳳凰」を見に行くというのは、いかがでしょうか?
なお、階段は狭いので、他の人の通行の迷惑になったり、夢中になって踏み外す等のないよう、くれぐれも安全な通行を心掛けるよう、ご注意下さい。