有名な落合シェフが「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」を、銀座とはいえ、築地や新富に近い路地裏にオープンした時には、周囲にはほとんどイタリアンレストランのなかったこのエリア。
けれども、ここ数年で次々とイタリアンがオープンし、まるで『裏銀座イタリアンストリート』。
歌舞伎座の裏で、木造の家や路地が残っていて、粋な下町情緒溢れた雰囲気が、洒落ているけれども気取らない店を、というイタリアンのシェフたちのお気に召したのでしょうか。
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その前の4月には、20mくらい先に、ピザの美味しい「ヴォメロ」がオープンしています。
「ウチが新参者だと思っていたのに、その後も次々とオープンして」という長嶺オーナーシェフの言葉通り、歌舞伎座開場直前の 今年3月には、トリュフ専門店でイートインもできる「ムッチーニ」、カリスマシェフの「クラッチーニ」が立て続けにオープン。
更に引き続き、数店舗がオープンし、9月にはシチリア料理の「カンティーナ シチリアーナ」がオープンしています。
こんな激戦区で、各レストランは、イタリアから取り寄せた専用の薪窯でピザを焼いたり、パンから生パスタまで全て自家製の手作りだったりと、様々な個性でしのぎを削っています。
そんな中、前菜に凝っているのが、この「イル・ポンテ」。
メインやパスタより、まず前菜を挙げるのはシェフに失礼かもしれませんが、その他のメニューが美味しいのは当然ということで、ご容赦ください。
ランチは、前菜の盛り合わせにフォカッチャ、3種類のパスタから1つをチョイス、飲み物がついて1260円。
オプションでデザートもあります。
私が行った日は、前菜は無農薬野菜のバーニャカウダ・熟成インカのめざめのロースト・野菜の煮込みカポナータビアンコ・3種類のきのことドライトマトのマリネの4種類の盛り合わせ。
パスタはブロッコリーとホタテ小柱のクリームソースのペンネ、ボンゴレビアンコのスパゲティ、甲イカのマリナーラ(トマト・アンチョビ)のスパゲティの中からチョイスでした。
まずは4種類が1つのプレートに盛り付けされた、前菜。
一番手前は、最近見かけるようになったジャガイモの希少品種の「インカのめざめ」のロースト。
何度か食べたことのある「インカのめざめ」ですが、あまりにもホクホクして上品な甘さなので、伺ったら、一度収穫したものを寝かせて熟成させたワンランク上の物を使っているとか。
この甘さと、隣りのきのことドライトマトのマリネのソフトな酸味とが、絶妙なハーモニーです。
有機野菜は香りが高くてシャキシャキしてソースはクリーミー。
それぞれ単品で食べても美味しい品が、隣の品と交互に食べれば、更においしさが引き立つという、まさに「黄金の一皿」。
パスタは、ホタテか甲イカか迷ったのですが、スパゲティよりはペンネということで、ホタテの方にしました。
クリームソースはコクがあるものの強すぎないので、ブロッコリーとホタテの味がしっかりと出ていました。
最後のコーヒーは、その都度豆から挽いて入れているので、そんじょそこらのコーヒー専門店などよりも香りが高くて深みがあり、最後までこだわり抜いているシェフの心遣いが感じられました。
着席だと最大26人という小ぢんまりした店ですが、スタッフはオーナーシェフの長嶺さんと、シェフの荒木さんの二人だけ。
忙しいランチタイムなのに、パスタ選びに迷った私に、食べ終わった後に「いかがでしたか?」と声を掛けてくださいました。
(写真左:長嶺オーナーシェフ、写真右:荒木シェフ)
シェフは、イタリアのウンブリア地方にいらしていたとの事ですが、日本では広尾のお店等で働き、お二人はその時の先輩後輩なのだそうです。
荒木シェフは長嶺オーナーシェフを尊敬し、長嶺オーナーシェフは荒木シェフを信頼しているという雰囲気が感じられて、「イタリアの田舎をイメージしている」というコンセプトそのままの、ほのぼのとした気持ち良いお店です。
各種パーティーなどもOKで、自分で前菜やメイン、デザート等の組合わせができる「飲み放題コース」もあります。(4人以上)
お会計の時に「また来ますね!」と言ったのは、決して社交辞令ではなく、本当に何度でも行きたいお店です。(→クリックすると大きくなります)
イル・ポンテ
銀座2-14-16銀座二丁目レジデンスB1F
Tel (6264)1667
定休日: 日曜(土曜・祝日は営業)